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第216回 中小企業の海外展開 – 参入戦略の作り方

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も皆さんからの質問にお答えをしていきたいと思います。前回から続いて中小企業シリーズということで、中小企業の海外展開についてのお話を引き続きやっていきたいと思います。

前回、中小企業の製造業の方から質問をいただいていて、ちょっとどういう質問だったかを振り返りたいと思います。「中小企業の海外展開で…、いつも大手の話なんですが、中小企業に関する質問をしてもよいのか悩みますが、分かれば教えてください」ということで、「中小企業が海外に展開する際に陥りやすい過ちなどを教えてください」と。「また、成功するポイントなど、分かれば教えてくださいということ」で、自分たちが今まさにそういう過ちに陥っているんじゃないかということで心配されて、中小企業の方が、これはB2Bだと思うんですけども、製造業の方が質問されてきていると。前回、失敗する中小企業の法則みたいなお話をさせていただいたんですが、今回は成功するための参入戦略のつくり方ということで、中小企業がどうやって参入戦略をつくったらいいのかという話をしていきたいと思います。
前回のお話で、この質問にはお答えをしていると思うんですが、引き続き、中小企業ってなかなかこの番組でお話することもなかったので、3部作でちょっとお話をしていきたいなと思っていて、前回が失敗する企業の法則、今回が成功するための参入戦略のつくり方の話をして、次回、第3回までやるって、僕言ったのかな、3回やると。中小企業が海外で成功確率を格段に上げるポイントみたいな話を次回やっていこうかなというふうに思っています。

今回の成功するための参入戦略のつくり方なんだけども。まず、中小企業だから戦略要らないというのは、もう大きな嘘で、よくあるのが、中小企業さん、社長のバイタリティでドーンと行って、ドーンと失敗して、終わって帰ってくるというケースが非常に多い。もしくは、社長のバイタリティでドーンと行って、ちょっとよく分からなくて、下にグワーッと押し付けて、いつしかふにゃふにゃふにゃ…とこう停滞していくという、こういう海外展開が非常に多くて。戦略がないと駄目なんですよ、中小企業でも。中小企業だから戦略要らないなんていうのは全くの嘘で、中小企業ならではの戦略をつくる必要があって。問題は、まず何年でいくらやりたいのかということを明確にすることなんですよね。これによって戦略って全然変わってくるわけですよ。だって、「戦略。戦略」と言うんですけど、「一体戦略って何?」という話で。大企業が数百億やりたいのと、中小企業がまず数億円やりたいのじゃあ、これ、数億やるのと数百億やるのって100倍違いがあって、100倍違いがあるものって、もちろん戦略って大きく異なるわけなので、そんなに難しいことを、中小企業は戦略をつくるっていううえで考える必要ってなくて。いかに自分たちが、いくら、何年でいくらやりたいのかということが非常に重要。3年で3億やるのと、1年で3億やるのじゃ、これ、また3倍スピードが違うわけなので、何年でいくらやりたいのか。まずそれを明確に決めて、そこから逆算で戦略をつくっていくということをしっかりやらないといけないと。なので、中小企業に戦略は要らないなんていうのは嘘ですよということが1つと。

あと、何年でいくらやりたいのかということを明確にする。まず出て、様子見て、どれぐらいできるかな、みたいな探るって、これ全くもって戦略的な展開じゃないので、まず何年でいくらやりたいのかということを明確にするということは必要ですよ。

戦略というのは、アウトプットなんですよ、アウトプット。このアウトプットという戦略を出すには、何が必要かって、絶対インプットが必要なんですよね。インプットって情報なんですよ。海外の市場でどういう市場でどういう敵がそこにはいて、自分たちがそこに参入すると何が起こるんだろうという、そういう情報をインプットするから、じゃあ、こう戦おう、ああ戦おうという戦略のアウトプットができる。このインプットのない会社にいいアウトプットなんて絶対出ないんですよね。人間もそうですよね。インプットのない人間がアウトプットを出せないのと一緒で、少ないインプットでは、やっぱり少ないアウトプットになってしまう。質の低いアウトプットになってしまう。もちろんインプットの量が多ければ、そのまま=高いアウトプットが出せるかと言ったら、それも違う。知識と経験が、この脳みその中で化学反応を起こして革新的な戦略に変わるわけなので、ひたすらインプットを詰めても、それが=アウトプットにはならないということはもちろんあるんだけども、最低限やっぱり必要なインプットというのは入れないといけない。そのインプットをもっと具体的に言うと、やっぱり調査なんですよね。情報なんですよね。情報というのは、調べないと手に入らない。調査しないと手に入らない。もちろんただで手に入る情報もあるけども、最低限やっぱり市場環境と競争環境に関係するような情報というのは、自分たちでしっかり調査フィーを払って収集しないことには、なかなか戦略って立てにくい。これは公的機関で情報を得たり、JETROや何やで情報を得たりというのは、これはもう最低限の情報は得られるけども、やっぱり無料のレベルの情報ではなくて、市場性、その市場に出ると自分たちはどれぐらい儲かる可能性があるのかということの分析に使える情報と、その市場には当然競合がいるわけで、出たらその人たちと戦うことになるわけですよ。そうすると、どういう競合がそこには存在して、どれぐらいの脅威になるのかということは、やっぱりしっかり見ないといけない。彼らの戦闘能力を100とした場合に自分たちの戦闘能力はこれ70、80だったら出て戦う意義はあるかもしれないけども、これ、自分たちの戦闘能力10、20じゃ、出ても秒速でやられてしまうので、これ、じゃあ本当に出ることが正しいのかと言ったら、そうじゃなかったりするわけなので、そこをしっかり調査するということがやっぱり非常に重要ですよと。あと、最低限知っておくべきマーケティングというものがあるので、グローバルやろうといったときに、やっぱりマーケティングを毛嫌いしているとなかなかちょっと難しい。最低限知っておくべきマーケティングというのはしっかり勉強をしておく。マーケティングの基礎知識ぐらいは頭に入れておく必要がありますと。

あと、中小企業のターゲットは、大企業と異なりますよと。例えば、大企業というのは、海外に出ても100億200億、何なら500億1,000億のビジネスをつくらないといけない。そうすると、例えばB2Cだったら圧倒的に中間層になるんですよね。中間層を狙うということは、近代小売だけじゃなくて、伝統小売を狙うということになるわけですよ、B2Cの消費財メーカーなんかはね。一方でB2Bの製造業なんかは、これも500億1,000億の事業を狙っていこうと思ったら、現地に出ている日系企業とか外資系企業だけで留めていたらそれは行かないので、やっぱりローカル系を押さえなきゃいけないとかって、幅広く取っていかないといけないわけですよね。一方で、中小企業の数億円を狙うんだったら、もう日系だけにB2Bだったら特化をするとか、B2Cだったら本当に富裕層の行く、近代小売の中でも本当に上位近代小売だけに特化をするという戦略になるので、全くターゲットが変わってきますよということが1つ。ターゲットが変わると戦略も変わるということになるので、そこは1つ認識をしておかないといけないですよということと。

あとね、ターゲティングと4Pなんですよ。さっき、最低限知っておくべきマーケティングってありましたけど、マーケティングの基礎知識みたいな本は本屋で洗いざらい読んでもらったらいいと思うんですけど、その本を読むと、この「ターゲティング」と「4P」が何なのかということが分かるので、このターゲティングと4P、この2つがマーケティング活動、ものを売っていく、特に中小企業の数億円とか10億円をつくるうえでは本当に重要で、「自分たちは誰に売るんですかということ。その売るというものを、じゃあ、どう売るのかというのが、この4Pなので、これしっかり、ターゲティングと4Pを固める。もうターゲットはバイネームで明確にする。4P、Product、Price、Place、Promotionを、もう、競合と比較してどれぐらい優れているかということをしっかり明確にするということが必要で、この2つが最適化できれば絶対ものは売れますと。その狙っている数億円規模の売上が経ちますよということが必要。これをもうちょっと深く話をすると、深くというか、もうちょっとシンプルに話をすると、結局、誰に何をいくらでどう売るかということなんですよね。誰に何をいくらでどう売るかということが、しっかり最適化できれば、ものはセルアウトしていく。その誰に何をいくらでどう売るかということをしっかりとフレームワークを使って導き出すのがこのターゲティングと4Pなので、このターゲティングと4Pだけやりなさいよと申し上げています。

最後に、戦略というのは、つくるよりもやっぱり実行するということが非常に重要で。でも、この戦略があるということは仮説があるということなんですよ。仮説があって実行しますと。仮説からずれました。それを、仮説をまた修正して、次の仮説をつくって進む。これ、学びのある展開なんですよね。ただ、何の仮説もなく、何となくアバウトでドーンと突っ込んでいって失敗しましたと。これって、改善しない無駄な失敗になっちゃうんですよね。戦略を持つということは、つまり仮説を持つということなんですね。仮説を持つと、企業や人というのは進化をしていく。その仮説からずれますから、ずれたら、じゃあどう修正していけばいいんだということを考えて修正をします。修正行動を取ります。そうすると、また仮説がより一段と高まっていって、最終的には成功するという、こういう循環サイクルになっていくので、仮説を持って実行するということは非常に重要ですよというのがポイントでございます。

今回はこれぐらいにしたいと思いますが、次回は中小企業が成功確率を格段に上げるポイントについてお話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。