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第217回 【Q&A】中小企業の海外展開 – 成功確率を上げるポイント

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も皆さんからの質問にお答えをしていきたいと思います。前回、前々回から引き続き、中小企業に関するお話なんですが、前々回ですかね、中小企業のB2Bの製造業の方から、「中小企業が海外展開する際に気を付けるポイントみたいなのはありますか?」という質問があって。非常に、中小企業に関するお話って、この番組でもそんなにしてきていないので、非常に面白いなということで、3部作で…、3部作って大げさな言い方ですけど。(笑)3回に分けてお話をしてきていて、今回がその3回目ですということで。1回目が中小企業、失敗する企業の法則のお話をして、2回目、前回が成功するための参入戦略のつくり方ということで、いくつかポイントのお話をさせていただいて。今回は中小企業が海外展開する際に成功確率をグンと上げていくためのポイントの話を少しさせていただこうかなというふうに思います。

早速なんですが、中小企業が成功確率を海外市場で、アジア新興国市場で上げていくというときに、大企業と戦い方が違うということをまず認識するということは非常に重要で。つまりは、なんで違うかと言うと、狙っている売上が違うわけですよね。大企業というのはもう数百億とか、数千億の事業規模を海外で狙うわけで、最終的には。でも、中小企業というのは取りあえず数億円、数十億円、最終的には100億円いったら御の字だなと。10年かけて、20年かけて100億つくろうって、こういうスピード感だし、まずは目の前の数億円を伸ばしていこうって、こういう規模感の話。そうすると、数億円をまずやろうと言っているのと、数百億円やろうと言っているのと、戦略が大きく変わってくるわけですね。やることが全然違う。どういう時間軸でいくら目指しているか、やりたいのかということによって戦略って大きく変わってくるので、まずそこが全然違いますよと。中小企業がまず数億円やりたい、10億円やりたい、20億円やりたいというところで、1カ国、アジア新興国で。そういう場合に、まず「出ない戦略」というものを、私は徹底してほしいなというふうに思います。この「出ない戦略」というのはどういうことかと言うと、物理的に海外に拠点を持たないということです。これ、海外に拠点を持つということは何かと言うと、オーバーヘッドが掛かるわけですよね。いわゆる固定費が掛かってしまう。コストが掛かります。オフィスの地代・家賃、それから人件費、諸々の営業費用、変動費、固定費、いっぱい掛かってくるわけですよね。多くの中小企業がこれを賄うだけの売上を上げられない。1年2年3年は覚悟して、4年目から単黒しようと思ってもなかなか4年目でも単黒しない、5年目でも単黒しない、6年目でも単黒しない、ということで赤字を垂れ流して最終的には撤退ということになってしまっている事例が非常に、過去20年多いわけなので。とにかく数億円ぐらいの売上ではまず出ないということが非常に重要で。最終的には、事業規模が数十億円とかになったら出るということはもちろん必要だし、現地に工場を、生産工場を持って現地で販売をしていくということはすごく重要。ひと昔前の中小企業の海外展開って、海外に工場をつくりに出ていたわけですよね。そこでつくったものは、現地に進出している日系企業が買ってくれたし、もしくは進出している日系企業に「出てこい」と言われて出ていったというケース。もしくは、日本国内でつくっていたんじゃ日本の納品先にもう高くて納めることができないので、中国に工場をつくりました、タイに工場をつくりましたと。でも、そこでつくったものはほぼ100%は日本に輸入してきて、それを日本のクライアントに納めるという、こういう形態だったので、海外に法人を出ていったわけですけど。いざ、海外市場を、アジア新興国市場をマーケットと捉えた場合は、まず出ないということをベースに戦略を組むということが非常に重要ですよというのは、中小企業の失敗をしないという意味では非常に重要であるということと。

あと、タイに出るとか、インドネシアに出るとか、中国に出るとかって、よく話を、ベトナムに出るとかって言うんですけど、それは違うんですよね。中小企業の場合、国じゃなくて都市なんですよ。これはB2CでもB2Bでもそうなんですけど、B2Bは必ずしも首都とは限らない。なぜならば、中小企業のB2Bというのは部品やパーツをつくっている会社で、産業集積地でスペックインしなかったら、そんなものは一生スペックインできないわけなので、どの国のどの都市でそこの産業が集積しているのか、いわゆる自分たちの部品を買ってくれる企業が集積されているのかということを考えないといけないので、B2Bなら産業集積地への展開になるし。あと、B2Cは結局首都が経済規模が一番デカいわけですよ。例えば、ベトナムを取ったってホーチミン、首都はハノイですけど、ホーチミンでベトナム経済の5割だと言っているわけですよね。ハノイが3割、ダナンが1割、その他で1割、これで100%なわけで。そうすると、やっぱりホーチミンを攻めるということはベトナムだし、じゃあ、マレーシアはクアラルンプールとシンガポールつながりのジョホールとか、タイはもうバンコクですよね。インドネシアはあれだけの島、主要島でも5個6個あるわけで、その中でやっぱりジャカルタをまず押さえるというのはインドネシアだし。フィリピンだったらメトロマニラだし。あと、言ってないところはないですかね、首都を押さえるということになるわけですよ。いわゆる地方部になればなるほど、近代小売の戦いよりも伝統小売の戦いのほうが重要になってくるわけですよね。近代小売の数が圧倒的に少なくなっていくわけですから。そうすると、輸入品で伝統小売やるなんて無理なわけですよ。ただでさえ関税が乗って100円で売っているものが150円、200円、250円になって売るわけですから。そうすると、結局は首都集中型なので、タイに出るのではなくてバンコク、タイを攻めるんじゃなくてバンコクを攻める、インドネシアを攻めるんじゃなくてジャカルタを攻める、フィリピンを攻めるんじゃなくてメトロマニラを攻める、ということで戦略を切り替えていくということは非常に重要ですよ、ということと。

あと、B2Bの製造業も、B2Cの製造業も、誰に売るのかをもう明確にしないと、これ中小企業の場合、数億円の売上立たないですよ。この3億をまずやりたいんだったら、3億円は、B2Bだったら「どのユーザーに売って3億円が形成されるんですか」ということを考えないといけないし、B2Cだったらどの消費者、さっき首都って決まったので、メトロマニラの、「じゃあ、どの地域に住んでいる、どういう所得層の、どういう属性の消費者に売るんですか」ということをもう明確にする。ターゲットが明確になっていない会社に戦略なんて明確になりませんから、ターゲティングが分からなければ4Pなんて組めないので、ターゲットを明確にするということが非常に重要ですよ、ということと。誰に売るのかですね。

それから、どのディストリビューターとやるかで、もう成果が、これは中小企業の場合、本当に変わってくる。「出ない戦略」を徹底しろと言っているわけですから、基本的には現地に自分たちの販売拠点というのはないわけですよ。そうすると、ディストリビューターにある程度お任せをするということなんです。これ、頼りきるということではないですよ。ある程度お任せをする。戦略自体は自分たちで完全に把握をして、その中でこの「売る」という行為をディストリビューターにお任せをする。そうなってくると、このディストリビューターが優秀か優秀でないかで、もうその後の苦労が本当にもう段違いに変わってくるので、やっぱりお金と時間と労力をかけても、いいディストリビューターを選ぶということはすごい重要で、たまたま出会った陳さんや、たまたま出会った王さんとやっちゃ駄目なんですよね。本当に、ほかの人たちと比べて、この王さん、この陳さんが優秀なのかということを科学的に比較を、分析をして、そのうえで王さんだ、陳さんだということを決めていかないといけないので、ディストリビューター選びにはお金を掛けなさい、時間をかけなさいということ、どうせ後々苦労するので。ディストリビューターを替える苦労というのは、もうこれはひと苦労あるので、そこは1つしっかりやらないと駄目ですよ、ということと。

あと、継続的に売る、売れ続けるためには、販売店契約と販売店管理の方法を学ばないといけない。これは、販売店契約ってコツがあるんですよ。結局、ありきたりの契約、いわゆる守りが完璧な日本企業がよくやる販売店契約をしても、これ、売上なんて本当に上がっていかないので、どれだけ攻めの契約ができるかということが非常に重要で。また、その件に関しては別途ちょっとしっかりそのことだけで番組でまたお話をしていきたいなと思いますけども。じゃあ、どれぐらいの期間で、どれぐらいの売上を、どの顧客に対してやるのかということと、それを実現するためのマンスリー、ウィークリー、デイリーのKPIをどういうふうに決めていきますか。それをどう報連相してもらって、確認を取って、メーカーとしてすべきシーンをしていきますか、みたいなことをかっちり決めたうえで契約ということをやる。その契約ができたらそれを管理育成するということは、レポートをtoしてもらって、彼らが困っているところに手を差しのべていくということをやっていかないといけなくて。「はい。ディストリビューター決まった。あとはお任せ。どうでした?」って、この結果指標の確認だけをしていったら、これは絶対売上が上がらないので。たかが数億円だったとしても、ここはきっちり効率的にやらないといけない。これもなかなかノウハウものなので、やったことない中小企業がいきなりできるかと言うと、そうではないと思うので、われわれみたいな会社に相談してもらったらいいと思いますけども。そこはしっかりやらないといけないですよ、ということと。

あと、やっぱり日本の市場では負けているわけですよ。中小企業と呼ばれている時点で、大企業には負けていると。ただ、それをグローバルで見たときに、大企業も、結局日本ではシェアが高いけども、グローバルでなかなかうまくいっていないという企業って多くて。例えば、海外売上比率は日本と世界で見たときには海外売上比率は高いけども、結局、「その国でどれぐらいのシェアを獲っているの?」「シェア争いでどうなの?」といったときには、なかなか勝てていないなんていうB2C、B2B企業なんていっぱいいるので、日本で負けて世界で勝つというのは1つ浪漫なんじゃないかなというふうに思うので、そこも1つ頭に入れておいてもらったらいいのかなというふうに思います。

あと、重要なのが、結局、今回3回いろいろお話をしてきて、限られた時間の中で早口でうわーっとお話をしてきて分かりにくいところもあったかもしれないんだけども、私が言ってきたようなことをやっていかないといけない。じゃあ、それを具体的にどうやるかというのは、また別の機会にお話をしていきたいと思いますけども。それに対して、しっかりと労力やお金や時間を掛けられない会社は、やっぱり海外に出ちゃいけないと思うんですよね。「今は海外やらない」ということも、僕は立派な経営判断だと思うので、自分たちには今これは無理だと思ったら、きっぱり海外を諦めるというのも、中小企業が生き残っていくために必要なことだと思うので。適当に海外できないんですよ。圧倒的に国内のほうが中小企業にとっては易しい市場。だって、自分たちの市場ですから。そうすると、自分たちの経営資源を国内に投下するのと、海外に投下するのだと、得られる成果というのはやっぱり国内のほうが簡単なわけですよね。それでも海外をやらなきゃいけないというのは、もちろん少子高齢化、これからの人口減少を考えたときに、海外の市場獲得というのは至上命題だから、中小企業であっても海外をやらなきゃいけないということは変わらないんだけども、今そこに対して経営資源を掛けられないんだったら、今はやらないと。ただ、こういうふうに計画を立てて準備をしていって、2年後にやるんだ、3年後にやるんだということでも、僕は、それは立派な経営判断じゃないかな、というふうに思います。

それでは、今回で全3回、中小企業の海外展開ということでお話をしましたが、また機会を見つけて中小企業の話は引き続きこの番組でもしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。