第24回「良いモノ」を作って売るではダメなのか?
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テキスト版
グローバル事業を展開する際、日本企業は総じて「良いモノ」さえ作れば売れる、という概念を持っています。しかしこれは大きな足かせになっているのです。消費者の「欲しい」というニーズは必ずしも「買う」という結果を生まないのです。その2つの理由について具体例を挙げ解説します。
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みなさんこんにちは。
スパイダーの森辺です。
今日は「良いモノ」を作って売るではダメなのか?についてお話しします。まず、最初に申し上げたいのは、日本の企業は総じて良いモノさえ作れば売れると、こういった概念を持って海外展開をしていきます。しかし、この 良いモノさえ作れば売れる、という概念がみなさんの海外事業の大きな足かせになっているのです。今日は何故、「良いモノ」を作って売るではダメなのか?について一緒に学んでいきましょう。
まず、アジア新興国では、消費者 の欲しいというニーズは必ずしも買うという結果を生みません。消費者の欲しいというニーズは買わない、もしくは買えない、さらには別のものを買うという結果を生み出すことも少なくありません。その理由は2つ存在します。
まず1つ目の理由。これ は、日本企業しか元々作れなかった多くのものは、今では中国や韓国、アジアの企業でも作れるようになっている。したがって消費者 にとっての選択肢が広がった。日本企業しか作れなければ、良いモノの価格が仮に高くても、日本企業の製品を買うという選択肢しか消費者は持っていなかった。しかし、選択肢が増えた現在においては、品質が良くても価格が高ければ、消費者にとっては別のものを買うという選択肢が生まれる。つまりは、競争環境が劇的に変わってしまっている。なので、良モノを作ってもその値段が高ければ売れない。例えば、三洋電機。もし良いモノを作って売れるのであれば、三洋電機は今でも存続し続けているはずです。しかし消費者は三洋電機の方が品質が良いとわかりながらもハイアールの家電を買う。メリアの家電を買う。コンカの家電を買う。その結果が三洋電機の事象に繋がっているわけで、良いものを作っても売れない。競争環境が劇的に変わった、というのが1つ目。
そして2つ目。2つ目 はこの良いもの、何を持って良いものと言っているのでしょうか。日本人 の思う良いものでなくて、現地の消費者にとっての良いものとは何なのかを考えなければならない。例えばチョコレート菓子。日本では100円というのが、一般のチョコレート菓子の相場ですが、アジア新興国の現地では、150円200円で食事がとれる。そうなった時に100円というチョコレート菓子の値段はどんなにチョコレート菓子の品質が良くても良いモノにはならない。したがって現地の20円チョコレート菓子。品質は日本より劣るんだけれども、そっちの方が現地の消費者にとっては良いモノになる。つまり、誰にとっての良いものかを考える必要があるのです。
まとめですが、良い ものさえ作れば売れるという概念は日本企業の海外展開の大きな足かせになります。競争環境が劇的に変わったということと、誰にとっての良いものなのか。現地にとってのいいもの。ここを突き詰めていく必要があるのです。
それではみなさん。また次回お会いいたしましょう。