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第258回 海外事業の立ち上げは第二創業と同じ

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「海外事業の立ち上げは第二創業と同じ」ということについてお話をしていきたいと思います。

今日のお話を聞いていただくと、海外事業の立ち上げに必要な能力って一体どういう能力なんだろうということ、そしてまた、海外事業の立ち上げに必要なスキルセット、どういうスキルセットを持った人材が海外事業の立ち上げには適しているのかということについて学んでいただけると思います。今日は、「海外事業の立ち上げは第二創業と同じ」ということについて一緒に学んでいきましょう。

それでは、スライドをお願いします。日本国内のビジネスと海外でのビジネスということで、ある・ないを整理をさせていただいている図ですが。結論から先に申し上げると、日本国内でのビジネスと海外でのビジネスは、求められるスキルセットが全く違います。どういうことかと言うと、日本国内は、現状の1を2に、2を3にする能力が求められる。言ったら、すでにあるものをより大きくすることが求められるのが国内の事業。そして、海外の事業というのは、全く無の状態から、0をいかにして1をつくるか、0からいかにして1をつくるかという能力が求められる。だから、第二創業というふうに申し上げているんですが。これは第一創業じゃなくて、敢えて第二創業と言っているのは、全くの無ではないんですよね。日本での実績がありますから、これが第一創業だとしたら、海外の事業というのは、日本での実績は多少の影響は受けますので第二創業というふうに言っていますけども、そういうふうに0から1をつくるという能力です。

これはどういうことかと言うと、この図の通り、知名度、日本国内では皆さんの会社は、知名度はもう十分にある。消費者の支持、B2Cだったら消費者の支持、B2Bだったらユーザーの支持、これも十二分にある。そして、B2Cだったら小売の信頼があります。販売チャネルももうすでに持っている。しかも強固な販売チャネルを持っている。国内津々浦々、自分たちの商品が流通する販売チャネルをしっかりと持っています。そして、事業を行うノウハウももう十分持っているわけですよね。そして、オペレーションももう十分に最適化されたオペレーションがあるというのが、これ皆さんがやっている国内の事業。このあるあるの状態から、いかにこのあるをもう1つある、もう2つあるにつくり変えていくかということが皆さんが求められることなので、1を2に、2を3にするということなんですよね。

一方で、海外でのビジネスというのは、全く知名度がないとは言いませんけど、日本国内ほどの知名度はないし、B2Cなら消費者、B2Bならユーザーの支持も日本国内ほどない。そして、B2C、小売りの信頼も日本ほどないし、販売チャネルも日本ほど強いものではない。そして、ノウハウも日本ほど、言ったら、整っていない。そして、オペレーション、これも日本に比べたらまだまだ回っていないので、オペレーションもまだまだ脆弱であるということが言えます。なので、いかに0から1をつくるかということが求められるわけなんですよね。
この能力ってもう本当に違っていて、ある出来上がっているものをどうやって量産していくかということが得意な人と、全くないところから1を生み出すということが得意な人って、全く分かれるわけなので、やっぱり海外で事業をしていくと言うと、特に新規の国でやっていくと言ったら、この第二創業の要素がものすごく強くなっていくわけなんですよね。そうすると、やっぱりそういう人材がそこには向いているし、そういう能力が必要になってくる。これってもうマーケティングに例えても、例えば、日本でわざわざ3C分析したり、4P分析したり、SWOT分析するなんていうことって、そんなフレームワーク、そもそも今の皆さんの日々の事業で、仕事で持ち出すということはまずほとんどないですよね。新規事業の立ち上げとか、そういうことをしない限り、わざわざ古臭いフレームワークを持ってきて、それを駆使して何か基礎的なものをつくり出すみたいなことというのは全くやらないわけですよね。

ただ、一方で、海外は全く何もないですから、3Cもやるし、SWOTもやるし、4P分析もやるわけですよね。それをやらないと何も土台がつくられない。日本国内では土台がしっかり整っている。海外事業では土台がないので、そういった基礎的なフレームワーク、古臭くないですね、基礎的なフレームワークをしっかりと使って戦略をつくっていかないといけない。これがやっぱり圧倒的に海外事業と国内事業の違い。

もう1つ注意しないといけないのが、海外事業というのはやっぱりどうしても日本国内での成功体験がベースになって海外の事業をつくってしまうという企業が、日本企業の場合、著しく…、著しくというか普通のことなんですけど、非常に多い。これをやってしまうと、やっぱりなかなかうまく事業が現地で回らない、現地適合化も世界標準化も難しくてできないというケースが多くて。人間というのは過去の成功体験とか、失敗体験の積み上げで出来上がっているので、過去を捨てるというのは、言ったら、自分の過去を否定するということと同じになるので、なかなかこれはできないんですけども、日本での成功体験を1回どこかに置いておくということがすごく重要で。こうしないと、0ベースで何かを考えるなんていうことはできないんですよね。0から1を生むなんていうことはなかなか難しくて。異国で市場環境も競争環境も違う中、日本での成功体験を引き提げて、そこで新しい0→1を生もうと思ったら、やっぱり日本での成功体験に引っ張られちゃう。そうすると、失敗の始まりなわけなので。過去の成功体験や失敗体験は必ずそのうち役に立ちます。なんですけども、一旦ちょっと横に置いておいて、0ベースで新しいマインドセットで考えるということが必要で。「New markets, New Mindsets」ってある学者の先生が言いましたけども、新しい市場ではやっぱり新しいマインドセットで考えないと、過去の成功体験、失敗体験を引っ張りだしてくるとなかなかうまくいかないということなので、そこはしっかりと注意が必要になってきます。

それでは今日はこれぐらいにして、皆さん、また次回お会いいたしましょう。