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第259回 戦略のベースは「マーケティングの基本プロセス」

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「海外事業における戦略のベースはマーケティングの基本プロセスにある」ということについてお話をしていきたいと思います。

今日はこの「マーケティングの基本プロセス」というフレームワークを使って、どのようにして海外事業戦略をつくっていくのかということをお話していくわけですが。これが理解できると、皆さんの海外事業における戦略の精度というのは格段に高まると思います。多くの企業が意外に初歩的なミスで海外事業を失敗している。むしろこれは基本プロセスをしっかりやっておけばこんな失敗しなくてよかったのに…ということで、海外事業の大半は失敗をしているので、そういった基本的なミスをおかすということがかなり高い確率で防げるようになると思います。今日は、「海外事業における戦略のベースはマーケティングの基本プロセスである」ということについて一緒に学んでいきましょう。

スライドをお願いします。まず、「マーケティングの基本プロセス」って一体何なんだ?ということなんですが、このスライドの通り、「R」「STP」「MM」で構成されております。「R」というのはリサーチの略でございます。そして、「STP」。Sがセグメンテーション、Tがターゲティング、Pがポジショニング、そして最後の「MM」というのは、マーケティング・ミックスの略で別名4Pというふうにも言われております。もうこの時点でもう嫌だというふうになるのがマーケティングなんですが、それをかみ砕いて簡単に今日は説明をしていきたいと思いますので、皆さん、どうか、もう嫌だというふうにならないでいただければと思います。

次のスライドをお願いします。この「R」「STP」「MM」、さらに嫌だなというふうになると思うんですけど、この「R」というのは3つのもので構成されているんですけど、1つがマクロ環境分析、そしてミクロ環境分析、そしてSWOT分析です。「STP」というのは、さっき言ったセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの略で、「MM」というのはマーケティング・ミックス、別名4Pというふうにも言われますし、この図の通り、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションですよね。これが基本的には「マーケティングの基本プロセス」と言われて、この「R」をやって、「STP」をやって、「MM」をやってという流れでずっと来るわけなんですが。こんなにアルファベットとかカタカナとか、環境分析と言われても、マクロ、ミクロ環境分析、一体何のことか分からないし、SWOT分析って名前は聞いたことあるけど、もう忘れちゃったよみたいな方がたぶん大半だと思うので、かみ砕いてお話をすると。

次のスライドをお願いします。こういうことなんですよね。まず最初に海外事業をやろうかなというふうに検討に入ったときにリサーチをするわけ、「R」をするわけなんですけど、そのときにマクロ環境分析って、どんな市場なの?ということを可視化することなんですよね。どんな市場って、極論言うと、儲かる市場なんですか、どうなんですかということをいろんな観点で可視化する。ネットで「マクロ環境分析」というふうに引いていただくと、どういう観点で可視化すれば良いのかということがいっぱい出てくると思います。例えば、ファンダメンタルズで可視化をする。それから、法律、外資規制が海外はいろいろありますから、外資規制を見るとか、文化とか商習慣とか、いろんな観点で可視化ができるわけですよね。自分たちの事業に応じて、さまざまな観点、基本的には経済指標をファンタメンタルズを中心として、あと、外資規制を中心として可視化をしていくことになると思うんですが、あと、商習慣ですね、この3つを中心として可視化をしていくことになると思うんですが。どんな市場なの?本当に儲かるんですか、ここ、なぜここじゃなければいけないんですか、なぜA国でもB国でもC国でもなくて、なぜここが先なんですか、ということを理由付けしていくということがこのマクロ環境分析なんですよね。どんな市場なの?どれぐらい儲かるの?ということを可視化する。

一方で、ミクロ環境分析というのは、そこにどんな敵がいるんですか、競争環境はどうなっていますか。自分たちが儲かる市場だということがマクロ環境分析で分かっていても、実際にそこには、儲かる市場ということは確実に脅威がそこには存在している。競合が存在している。そうすると、どれぐらいのレベルの競合がそこにどれぐらいの数いるんですかということを徹底的に調べる、まさに競合を可視化するということがミクロ環境分析なんですよね。

SWOT分析というのは、その魅力的な市場、けど競合がたくさんいる市場に自分たちが参入したら、一体どんなことが起こりそうなのかということを分析していくのが、SWOT分析なわけですよね。

これをしっかりやっておけば、そうそう失敗するということは、海外事業、半分のハードルはクリアできるんですよね。ただ、多くの日本企業の場合、この半分の課題もクリアせずにうわーっと行ってしまうので、基本的には、ここまでやれればかなり精度の高い進出ができるはずなので、まず「R」をしっかりやるということが非常に重要です。

次に「STP」というのは、どんな層に自分たちは売ったらいいんですか、自分たちが売るべき層、セグメンテーションですよね。だいたいインダストリーで分けるんですけど、B2Cだと本当に、言ったら、中間層というところが、たぶんほとんどのB2Cはもう中間層以外のセグメンテーションはないので、基本的には中間層。その中でも具体的にどういう中間層なの?どのエリアのどういう生活をしているどういう中間層なの?というのがターゲティングですよね。例えば、27歳女性とか、都市部に在住している1人暮らしの27歳の女性を狙うんですと言うとターゲティングだし、その前のセグメンテーションではもっと大きな層ですよね。どんどん絞っていく。では、そのターゲットに対して自分たちがどういう立ち位置を取りますかということがポジショニングで。自分たちのポジショニングですよね、どういうふうな顔を自分たちはターゲットに対して見せるんですか。消費者に対して見せるんですか。これがB2Bだったら、ユーザーに対して見せるんですか。もしくは、どういう位置付けの企業になるんですか。安い企業のイメージで売っていくんですか。それとも自分たちは高いけども希少価値のある商品を売っているという、こういうイメージなんですか。いろんなたぶんポジショニングがあると思うんですけど、どういうポジショニングを取っていくか。ポジショニングも今言ったような観点もあれば、別の観点もあるので、いろんな観点でポジショニングを決めていく。

「STP」の後の「MM」というのが、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションなんですけども。どういう製品をいくらで、どういうチャネルを使って、どういうふうに知ってもらうのかという話なんですが、何が求められているのか、どんな製品を市場は求めているんだろう、いくらぐらいだったら市場はその製品を購入することができるんだ?賄うことができるんだ?そして、どこなら彼らは一番買いやすいんだろう?どうしたら競合他社ではなくて自分たちを選んでもらえるのかということを可視化していくというのが「MM」なわけですよね。

特に、次のスライドをお願いします。日本企業は「R」のミクロ環境分析と「MM」のプレイスが非常に弱い。敵の脅威を徹底的に知るということをしない。むしろ、自分たちの商品は品質が勝っているので競合じゃないという、品質が高いほうが強いみたいな、そういう概念を信じていくわけなんですけども。品質だけでもう評価をされるような世界ではないので、品質が良いのは当たり前、それ以上どうやって消費者なりユーザーに訴求するんですかという、いわゆるマーケティングサイドのアクションが非常に重要になってくるのが昨今のグローバル市場なので、やっぱり敵の脅威を知るということをやらないといけない。品質では敵のほうが劣っていても、チャネルで敵のほうが勝っていたら、敵のほうがマーケットシェアが高くなるということは十分にあり得るし、むしろ今世界ではそういうことが起きているわけなので、そこをやっぱりしっかり見ないといけない。中国企業に日本企業が負けるというのはまさにそういうことですよね。品質では、いや、自分たちのほうがまだまだ技術はまさっているんだ。けど、彼らの販売チャネルは長けている。なので、彼らのほうがマーケットシェアが多い、なんていうこと例は往々にしてあるわけで。なので、このプレイスとミクロ環境分析というのは、日本企業は特に弱いですよと。

こうして考えると、「マーケティングの基本プロセス」ってそんなに難しい話ではなくて。どんな市場なんですか、どんな敵がいるんですか、何が起こりそうですかと、そんなのはもう参入しているわけだから、そんなこと日本の市場でわざわざやらないわけですよね。「STP」だって、もうセグメンテーションもターゲティングも自分たちのポジショニングだって日本ではもう確定しているわけですよ。それをわざわざやるということはしないし。「MM」に関しては、新商品を販売すれば多少なりともやるけども。どこなら買いやすい、これも決まっている。どうしたら選ばれる、プロモーション、これも決まっている。だいたい前例があるわけですよね。どういうものが求められているのか、いくらなら賄えるのか、これもだいたい前例があるので0ベースでやるということはやらないわけですよね。なので、これは本当に「マーケティングの基本プロセス」というのは、実は海外事業のときに初めて多くの人が手に触れるもので、基本プロセスと言いつつも、実は初めてだったりすることというのが非常に多いので、ここをしっかりやると、本当に海外事業、今、日本企業が過去過ちをしてきたことというのはほとんどがたぶん解消されると思います。

最後のスライドですけども、この「マーケティングの基本プロセス」とは、分からないことを可視化して課題を整理することなんですよね。ファクトをしっかりと見るということをやるのがこの「マーケティングの基本プロセス」なので、分からないことを分からないまま進むとか、一番怖いのは分かっていないことに気付いてないで出て行くとか、自分は分かっていると思っているというのが一番怖くて、海外事業の失敗はだいたいそれなんですよね。「あー、もう俺分かっているから」と、「海外長いし、分かっているから」とか、分かっていないことに気付いていないで失敗をして、もうどうしようもならないところまで打ちのめされて初めてそこでハッと気付くという。そこで最後やることは、相手のせいにする、パートナーのせいにする、市場のせいにする、現地従業員のせいにするみたいな。それで失敗をしてしまうんですけども、結局は「マーケティングの基本プロセス」ができていなかったということが多いので、分からないことを可視化して課題を整理するということができますよ、「マーケティングの基本プロセス」は。そして、課題を整理して、課題が分かってくると対策を人間は考えるようになりますから、この対策を考えるという行為がまさに戦略なんですよね。戦略をつくるということなので、本当にこの「基本プロセス」というのは、何か壁にぶつかったら必ずback to 基本プロセスで、「マーケティングの基本プロセス」はあらゆるフレームワークがありますけど、結局、最終的にはここに結び付いてくると思いますので、ぜひ皆さんも海外事業は、この「マーケティングの基本プロセス」をしっかりやってもらえればというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。