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第269回 戦略の軸は中間層獲得

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、アジア新興国ビジネスは中間層の獲得が戦略の軸になりますよ、「戦略の軸は中間層の獲得である」ということについてお話をしていきたいと思います。

今日のお話は消費財メーカーさんに向けてのお話です。消費財メーカーがアジア新興国市場で高いマーケットシェアを獲ろうとしたときに中間層が戦略の軸になってきますよと、絶対的に中間層が重要ですよと、なぜ中間層が重要なのか、そして、先進的なグローバル消費財メーカーはどうしているのかという事例を交えながら、今日はお話をしていきたいと思います。

では、早速お話を。スライドをお願いします。この図は現在と2030年のアジア新興国市場の中間層の数を比べたものなんですが、現在15億人の中間層は2030年には倍の30億人になる、10年後に30億人に中間層が膨らむと。ここで整理ですけども、アジア新興国市場の最大の魅力は何かと言うと、この爆発的に拡大している中間層なんですよね。もう、あと10年で30億人にまで拡大をしていくと。かつて非常に貧困層が多かったアジア新興国市場、貧困層がどんどん、どんどん、裕福になっていって中間層になっていった。所得が増えていきました。そして、この中間層が爆発的に伸びている、そして、それが30億人という日本の人口の20数倍ですね、ここがアジア新興国の最大の魅力で。この人たちが所得が上がってくるとどうなるかと言うと、この人たちがいろんなものを買うわけですよね。B2C、いわゆるコンシューマーをターゲットにしているような企業が潤っていく。B2Cの企業が潤っていくと、今後はB2Cの企業に商品を販売している、もしくはサービスを提供しているようなB2Bの企業が潤って、社会全体、産業全体、国全体が潤っていくという、こういう構造になっているので、まず中間層が拡大するということは非常に重要です。

今日のお話は消費財メーカーに向けてのお話です。消費財メーカーってどういうメーカーかというと、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCGと言われる、Fast Moving Consumer Goodsと言われるインダストリーの消費財メーカーにとってのお話なわけですけども。そういう人たちにとって中間層がもう絶対的に重要ですよと申し上げている理由は、このFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーのビジネスの最大の肝は、いかにたくさんの人に、いかに早い頻度で、いかに永遠に、繰り返し買い続けてもらうかということは非常に重要なんですよね。ビジネスのもう一番のセンターピンになるわけですよね。

どういうことかとい言うと、ウーロン茶を売るということでも、自分たちのお茶をできる限りたくさんの人に飲んでほしいわけですよね。別に1本100円ですから、富裕層に飲んでもらう必要もないわけですよね。100円のお茶ですから、100円であれば富裕層でも中間層でも貧困層でも出せますから、基本的には数が一番大きい人に、大きい牌を狙いたいわけですね。なので、100円のお茶を富裕層をターゲットにこれを売っていたら、これはビジネスとしては全くナンセンスな話で、1万円のお茶を富裕層に売るんだったら正しい選択ですけども、基本的には中間層であると。

結局、いかにたくさんの人に、いかに早い頻度で、いかに繰り返し、永遠になので、数の原理なんですよね。この消費財ビジネスというのは所詮は100円200円のものをたくさん数売って回転させるということが非常に重要で、高級化粧品を売っているんだったら、アジア新興国市場でも中間層がターゲットではなくて富裕層です。もしくは、日本で本当に富裕層をターゲットとして何かものを売っているのであれば、これはもうアジア新興国に行っても富裕層がターゲット。ただ、日本国内で中間層をターゲットとしているような消費財メーカーは、アジア新興国市場に行ってももう確実にターゲットは中間層じゃなきゃいけないんですよね。だって、富裕層の数でいったらまだまだG7のほうが多いですから。そうすると、アジア新興国に行く意味がそもそもないよねという話になってしまう。なので、中間層を絶対にターゲットにしないといけない。

先進グローバル企業はこの中間層のターゲティングからブレないというのが戦略の強さなんですよね。端から中間層をターゲットにした戦略を逆算でつくるんですよ。彼らは30億の中間層を獲るためにはどうすればいいのかというところから戦略の議論が始まるので、30億の中間層がどこで商品を買うのか、MT(Modern Trade)、近代小売が2割、伝統小売、TT(Traditional Trade)が8割、MTとTTは何なのかというのはこの番組で過去にもたくさんお話していますから、それを見ていただいて。そうすると、その接点に自分たちの商品が置かれないといけない。そのためのチャネルづくりをやりますということを端からやるわけですよね。なので、逆算で、じゃあ、初年度はまずMTを制覇しましょう。そして、次年度はTTの1万店を獲りましょう。3年目は3万店までいきましょう。4年目で5万店までいきましょう。こういうことを逆算して獲っていくというのが先進的なグローバル消費財メーカーの戦略になるわけですよね。

一方で、日本企業は積み上げをしていくので、いわゆるこうあるべきだとか、ここが目指すべき姿であるというビッグピクチャーを最初に描かないんですよね。基本的には、まず目の前のタスク、自分たちが今できることをまずやります。そして、それが終わったら次何ができるかなということをやるので、競争のスピードが全然違うわけですよね。そして、なかなかマーケットシェアの戦い、苦しい戦い、今、アジア新興国で日本の消費財メーカーは強いられているんですが。戦略、中間層が重要だということは分かっていながらも、彼らは頭では分かっているんですね、頭では分かっているんだけども、それが実際に戦略に生きてこない。本当に御社の戦略は中間層を軸とした戦略になっているかと言うと、やっぱりそうじゃなくて、富裕層に振れてしまっている。自分たちの商品はいい原材料を使って、高い技術力で、いいものを提供しているんだから、アジア新興国、多少は安くするけども、基本的にはまずはアッパーから狙っていきましょう、みたいなことをやって。もちろんそのうち中間層には行くんだけどもと言って、なかなか行けなくて、TTの攻略に非常に苦労している。なので、TTの攻略までしっかりとできている会社と言うと、やっぱりこの国ではできているけども、インドネシアではできているけども、そのほかの国では駄目だとか、そういうケースが多いですし、本当に胸を張ってしっかりできていると言うと、ユニ・チャームとか、味の素とか、そういう限定的な、ヤクルトとか、そういう限定的な企業になってしまうので、まだまだ多くの消費財メーカーは、アジア新興国でこの中間層を軸とした戦略がしっかりと描けていないというのが現状だと思います。

消費財メーカー、もう先進グローバル企業の成長のスピードというのは費用に速いので、そんなに残された時間というのはないので、やっぱり本当に中間層が重要であるということを今一度認識をして、戦略の軸をしっかりと中間層に持っていくということをすることをお勧めしたいと思います。

今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。