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第268回 「海外売上比率」ではなく「現地シェア」を見る

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「海外売上比率」ではなく「現地シェア」を見るということについて、お話をしていきたいと思います。

この「海外売上比率」と「現地シェア」というのは視点が全く異なります。グローバルビジネスにおいては、この視点の違い、大変重要です。今日は、「海外売上比率」ではなく「現地シェア」で見ることの重要性について一緒に学んでいきましょう。

まず、言葉の定義の整理からですが、「海外売上比率」というのはどういうものかと言うと、その名の通りなんですが、日本の売上を軸とした場合に海外の売上がどれぐらいの比率があるかということを示す指標が「海外売上比率」。一方で、「現地シェア」というのはその名の通り、自分たちが現在グローバルビジネスを行っている現地のマーケットシェアが、対競合に対するシェアがどれぐらいあるのかというのが「現地シェア」であると。この2つは全く異なる視点を持っていて、現在グローバルビジネスを行う企業は「現地シェア」の視点でビジネスを行わなければなかなか現在のグローバル競争には太刀打ちできない、ということについて今日は詳しくお話をしていきたいんですが。
じゃあ、どういう視点が違うのかということで、スライドをお願いします。前回もこの番組でこのスライドを使いましたが、「海外売上比率」というのは国際マーケティングの視点なんですよね。国際マーケティングの視点、つまりは前回の番組を見ていただいたら分かりますけども、日本から相手の国を見る視点である。つまりは、インターナショナルであり、国際的、国際間の、自国を中心として考える、自国と他国の2国間、日本か海外かのマターのお話で。現在は、もう今インターナショナルなんていう言葉というのはなかなか使われなくなって、インターナショナルという言葉はグローバルという言葉に置き換わっていますけども、グローバルというのが一方で地球全体の、世界的なとか、地球全体を1つとして捉えて考える。複数カ国、同時、連関している、日本か海外かの議論じゃないんですよね。もう宇宙から地球全体を見る視点、ちょっと宇宙と言うと大げさですけども、それぐらいの視点で地球全体を見たときにどうなんだと。日本か海外かでビジネスをしていては、グローバルビジネスはなかなかうまくいかないと。これだけ視点が違って、国際マーケティングというのは1960年代ぐらいに言われていた言葉なんですよね。それぐらいから言われ始めていて、どちらかと言うと、輸出とか貿易、戦後、輸出、貿易が非常にグローバルに盛んになった時代に行っていたものが国際マーケティングで。この視点を持ったまま、現在、グローバルビジネスを行っていると、「海外売上比率」という話になっちゃうんですよね。そこの指標を非常に重要視しちゃう。けど、「海外売上比率」なんていうのは、あくまで日本の売上に対して海外の売上がどれぐらいあるのかという話であって、株主は喜ぶかもしれませんが、現地でのマーケットシェアがどれぐらいか、現地での自分たちの競争力がどれぐらいかということには触れていない指標なので、全く意味がないんですよね。海外の売上比率がどれぐらいあるかなんていうのを競ったって、その各国各国の「現地シェア」がどれぐらいあるかということを競わないと、実は事業としてはあまり意味がなくて。1960年代に、さあ、「現地シェア」がどうこうという前に、とにかく海外に輸出しましょう、貿易しましょう、みたいな時代の話なのであれば「海外売上比率」という指標は非常に有効な指標として使っていても問題なかったかもしれませんが、現在これだけグローバルが近くなっている中で、この視点でビジネスを行っていてはやっぱりなかなかまずいですよ、というのが今日のお話です。

次のスライドをお願いします。やっぱり、輸出ビジネス、この番組でも、ちょっと検索してもらったら、過去に「輸出ビジネスとチャネルビジネスの違い」みたいな話をしましたけども、輸出ビジネスをしている企業、多くの日本企業は、発想、思考、思想みたいなものがやっぱり輸出ビジネスになってしまっていて、すごく発想がドメスティック。そういう企業というのは、やっぱり「海外売上比率」を重要な経営指標としていて、結果としてグローバルのシェアはどうなのかと言うと、やっぱり低いんですよね。一方で、先進的なグローバル企業は、もうすでにチャネルビジネスを行っているし、発想がグローバルであると。各国のシェアを重要な経営指標としているので、やっぱり結果としてグローバル市場におけるシェアが非常に高いというのは、これは事実としてあるわけで。先進グローバル企業がなぜあれだけ先進的にグローバルのシェアが高いのかって、これはやっぱりまさに「現地シェア」へのこだわり、「現地シェア」を重要な経営指標として、1社の例外もなく、先進的な企業で「海外売上比率」みたいなものを重要な指標として気にしている会社なんてないんですよね。例えば、欧米、アメリカの企業で、アメリカの売上と世界、海外の売上どうなんだとか、ヨーロッパの企業でも、自国の売上と海外の売上比率どうなんだなんていう指標を、先進的な企業で重要な指標にしている企業はないと。重要なのは、現地のシェアがどうなんだということが大変重要なので。この一見耳障りのいい「海外売上比率」50%です、60%ですと言うと、もう売上の5割6割は海外なんだ、すごいな、グローバルだな、というふうに一見聞こえるので、非常にトリッキーな言葉なのかもしれませんが、実は「海外売上比率」が5割あっても、各国のシェアが数パーセントだったら、これは全く海外に強いとは言えないわけなので、やっぱり、これからの日本企業がグローバルビジネスをするうえでは「現地シェア」がどれぐらいあるのかということを1つ重要な指標として見ていく必要があります。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。