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第274回 ストア・カバレッジとシェアの相関関係

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「ストア・カバレッジとシェアの相関関係」についてお話をしていきたいと思います。

今日のお話しもFMCG(Fast Moving Consumer Goods)、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財、そして対象エリアはASEANになります。結論から申し上げると、ASEAN市場は伝統小売、TTが非常に重要な市場で、このTT、伝統小売におけるシェアを上げていくにはストア・カバレッジが大変重要ですよと。このストア・カバレッジとシェアというのは非常に近しい関係にある、その相関関係を学んでいきましょうという回になります。それでは、今日はストア・カバレッジとシェアの相関関係について、一緒に学んでいきましょう。

スライドをお願いします。このスライドをもってお話をしていきたいなと思うんですが、伝統小売のTTですよね、Traditional Tradeのストア・カバレッジ。ここにもTT間口と書いていますけども、私がストア・カバレッジと言ったり、間口と言ったり、すみません、癖で両方使うんですけど、言ったら店舗のことですよね。Traditional Trade、伝統小売の店舗の数とシェア、いわゆるマーケットシェアの相関関係を表した図になります。結論から言うと、ストア・カバレッジとマーケットシェアというのは比例するんですよね。この図は、縦軸は上がシェアが高い、下がシェアが低い。横軸は右が間口が多い、左が間口が少ない、つまりはストア・カバレッジが多い、少ないというふうになるわけなんですが。

基本的にシェアが高い企業というのは、特に先進的なグローバル消費財メーカー、ネスレとか、ユニリーバとか、P&Gというのは間口数が圧倒的に多いんですよね。結果、シェアが高い。これはもちろん店舗への間口数ということはセルインをしている数なわけですけども、当然セルアウトして初めて売上ですから、セルアウトの重要性というのは次回以降話していきますが、今回はセルアウトではなくて、セルインにフォーカスをしてお話をしたい。ストア・カバレッジ、間口についてお話をしたいと。これは縦軸のセルアウトというのは、インストア・マーケットシェアと言って、次回以降しっかりとお話をしていきますので、今回はセルイン、ストア・カバレッジ、間口というところにちょっとフォーカスをしていただいて。間口が多ければ、当然そうですよね、置いてある店舗数が高ければそれだけシェアが高くなるわけで。一方で間口数が少ないということはシェアが低いわけなんですよね。

右下と左上、これは現実的には存在しないゾーン、グレーのゾーンなんですね。つまりはどういうことかと言うと、間口が多いのにシェアが低いというのは、これはいわゆるたくさんの店に商品が置かれているのに全然売れていないよねと、セルアウトしていないよねということになるわけなんですが、実際にはもう数カ月セルアウトしなかったら棚から撤去されますから、現実的にはこの右下というのは絶対に存在しないわけですね。3カ月間、短期的に存在はするかもしれないですけども、継続的に恒久的には存在しないというエリアになります。

左上、現実的には存在しない、これも。シェアが、間口が少ないのにシェアが高いというのは、置かれている店舗数が少ないんだけども、その店舗でもうめちゃめちゃ売れていると、そうするとシェアが高いというふうになるわけですけども、基本的にはそれも存在し得ない。例えば、日本の消費財メーカーなんかを見てみると、TTの攻略がなかなかできなくてMT中心になる。例えば、ベトナムは主要なMTの数が3,000店舗、一方でTTの数は50万店と言われる中で、3,000店舗でどれだけ頑張っても、仮に100%の配荷率、ストア・カバレッジを獲ったとしても、これはなかなか3,000店舗だと、日本だとコンビニだけ、セブンイレブンだけで2万店舗ありますから、3,000店舗だと週販どれだけ売ってもシェアは絶対に高まらないというのが分かると思いますが。現実的にはASEANの市場は圧倒的にMTの数が少ない、一番多いインドネシアですら3万5,000店舗、うち3万店はアルファマートとインドマレットの2強のローカル系のコンビニになりますから。一方で伝統小売は300万店存在するわけなので、インドネシアは。なので、間口が少ない、ストア・カバレッジが少なくてシェアが高いというのも、これはあり得ないんですよね。

基本的にはシェアが高い企業というのは、必ずこの間口、ストア・カバレッジが多い。やっぱり10万、20万という間口を持っているわけですよね。それぐらいの間口、最低でも5万間口ぐらい持っていないと、なかなか消費財で利益を出していく、シェアに食い込んでいくということはできませんので、万単位のストア・カバレッジをつくっていくという必要がある。じゃあ、万単位のストア・カバレッジをつくるためには、それがつくれるディストリビューション・チャネルをつくらないといけないという、こういうことになるわけなんですが、シェアを上げたければストア・カバレッジを伸ばすということはもう絶対に必須になります。

次回、このストア・カバレッジは横軸で、次回は縦軸のインストア・マーケットシェア、どうやって置いた商品をセルアウトさせていくのか。セルアウトさせることの重要性について一緒に学んでいきたいと思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。