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第278回 「地域一番店」的伝統小売の見分け方

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「地域一番店」的伝統小売の見分け方ということでお話をしていきたいと思います。

今日の話は、FMCG(Fast Moving Consumer Goods)、食品・飲料・菓子・日用品等の業界向けのお話です。対象地域はASEANとしたいと思います。

「地域一番店」的伝統小売の見分け方ということですが、FMCGのインダストリーにとって伝統小売の攻略というのは大変重要で、この番組でもディストリビューション・チャネルのつくり方等々、なぜ重要かということは散々お話をしてきましたが。その伝統小売の中でも効率良く伝統小売のストア・カバレッジを伸ばしていこうと思うと、やっぱり地域一番店から手を付けていくということが非常に重要です。要は、大きい伝統小売から獲得していきましょうよということが非常に重要です。どうやって大きい伝統小売を見分ければいいのか。見た目でデカかったらその店そうなんですけど、基本的には見て大きい小さいというのは物理的に分かるので、大きいところから攻略していけばいいんじゃないの?ということなんですが。それはそうなんですが、やっぱり地域一番店的な伝統小売というのがその地域にあって、それをどういうふうに見分けていくのかというふうなことで今日はお話をしていきたいんですが。

まず、写真を見て、サイズが大きい小さいで大きいのを選んでいくというのはもちろんそうなんですけど、それ以外にもやっぱり地域一番店的伝統小売の見分け方のポイントというのはあって、この写真の通り、いわゆる欧米の先進的なグローバル消費財メーカーが力を入れているような伝統小売って非常に有望なんですよね。彼らがもうすでに散々関係を持って調べてそこをそういう位置付けに置いているので、そこはやっぱり非常にその地域では有力であるということは判断の1つの材料になる。

例えば、この写真だとユニリーバが力を入れているわけですよね。左にセレクタってありますけど、これはフィリピンなんですけど、ユニリーバはアイスクリームのブランドですけど、ASEANだとインドネシアとかだとウェールズというブランドでやったりしますけど。これ、ユニリーバは二重のハートのマークでアイスクリームを売っているわけですけど、世界中で国によってブランドがちょっとずつ名前が違うので、この二重のハートのマークを見たらユニリーバのアイスだというふうに思ってもらったらいいと思うんですけど。基本的にアイスって冷凍庫をメーカーが支給するんですよね。あれはつくるのに1,000ドルまではしないですけど、数百ドルするわけなので、それを伝統小売の店舗はそんなもの買いませんから、言ったらただであげるんですよね。そうすると、やっぱりアイスで回転するようなところにしかアイスの冷凍庫をユニリーバはあげませんので、ユニリーバのアイスの冷凍庫があるところはある程度顧客が回転しているというふうに思ってもらって問題ないのかなと。こういうふうに大々的にユニリーバが看板を出していたりとか。

あと、携帯、ASEANというか新興国の最大の特徴って携帯がプリペイドということなんですよね。なぜ携帯が新興国中で流行ったかと言ったら、プリペイド式にしたからというのがあるんですけど。ちょっと話が逸れちゃうので、この話はしませんけども。なので、プリペイドのSIMが売っているところとか。これはある程度キャッシュがないとSIMの販売ってできないので、そういうところ。これは買ってきますからね。なので、そういうところは非常に有望ですし。

あと、コカ・コーラ。コカ・コーラというのはもう世界中どんな僻地に言っても、水はなくてもコカ・コーラはあるみたいな、そういうメーカーなので、コカ・コーラの冷蔵庫がしっかりと常備されていて。重要なのは、冷蔵庫があるというのも、やっぱりこれも冷蔵庫も数百ドルしてつくってそれを店に差し上げて、ここにキンキンにコカ・コーラを冷やして顧客に売ってくれと言っていますから、基本的にはあげているわけなので、あまり売れないところには冷蔵庫をあげませんから、冷蔵庫が置いてあるか否かというところはしっかり見たいんですけど。もっと言うと、冷蔵庫の中、コカ・コーラの冷蔵庫の中がちゃんとコカ・コーラ製品だけかということをしっかり見る。例えば、スプライト、コカ・コーラ、ファンタみたいな、そういったものだけがしっかりと入っている。ということはどういうことかと言うと、コカ・コーラの営業マンがしっかりと足を運んでいますよと、ほかのを入れないでね、おばちゃんとか、ほかのが入っていたら端に寄せて、コカ・コーラを表に持ってきたりとかそういうことをしていますから、基本的に冷蔵庫をもらってしばらくすると、お店のおじちゃんおばちゃんはいろんなものをそこで冷やしますからね。ある程度、コカ・コーラがしっかりと目立つような状態になっていたら営業マンがしっかり来ているということにもなるので、そういうのもやっぱり地域で、ここは強いな、弱いな、ということを見分ける1つのポイントになります。

次のスライド、これはフィリピンのTTですけど、サリサリというふうに呼ばれますけど、サリサリってSSSとかって現地では言われていますけど、ちょっと治安の悪いところだと金網が付いたり、アフリカの南アフリカとかスパザと言うんですけどね、こういうTTは。この今の写真って、これなんか思いきりガシャガシャやったら網が取れちゃいそうですけど、アフリカなんかはもう鉄格子になっているので、お店はコンテナみたいなね。だから、銃撃されたら閉めるみたいな、そんなつくりになっていますけど。こんな小さいところはやっぱり月の売上で数千円とかというのは全然ざらにあるし、こういう小さいやつって住宅街の中にしかないんですよ。基本的には近所の子どもが買いにくるとか、そういうレベルで。お菓子しか置いていないとか、もうお菓子しか置いてなかったらこれ絶対売上は上がっていないですから、近所の子どもしか来ないので。

基本的には何が売っているかということは、さっきの図の通り、SIMカードを売っているとか、アイスを売っているとか、コカ・コーラを売っているとか。あと、生活用品なんかを売っていたら結構売上、要は半分八百屋みたいになっているTTとかもあるんですよね。そういうのもやっぱり地域一番店になっている感じになりますから、そういうのもしっかり見ていく。

あと、やたらね、この写真、次の写真をお願いします。人が並んでいたり、袋菓子でも20個入りとかのやつがブワーッと置いてあったりとか、こういうのは結構、地域一番店ですよね。三輪車とかもね、これは上に吊られていますけども。

これも、この図はね、真ん中の白い服を着ている人の横の左のところに卵がありますけどね、卵、卵はこれ賞味期限がありますから、1日でこれだけ売れるということは、これだけの人がここに来ているんですよ。だから、卵とかパンとかという賞味期限付きのものが結構表にドーンと来ているということは、もう地域の人の固定が必ずその分だけ要るということなんですよ。腐っちゃいますからね。なので、こういうのもしっかりと見ていくと、地域で強いんだなということが分かると思います。こういうのもね、卵がチラッと映っていますけども、これだけ吊るしていて。店員が、これは1、2、2人ピンクのシャツ着た人と奥にもピンクのシャツ着た人がいますけども、基本的に伝統小売って1人ですから、それが2人、3人、奥にも人がいたら、奥から商品取ってくるんですよね。これ表は表で、奥にドーンと広くなっていて、倉庫みたいになっていて、商品が奥から出てくる、「あれちょうだい」と言うと、奥から出てくるという、こういうところはもう完全に地域一番店。

あと、バイクとか周りに置いてあって、ある一定の時間、例えば、昼2時~4時までは配達しているとか、朝と夕方配達しているとか、地域のいわゆる伝統小売、TTに配達していたり、問屋機能がくっついたりとかというケースもありますから、そういうところを見ていく。

次の図が、いわゆるこの前々回ぐらいかな、この図を使って説明しましたけども、MT、GT、TTというふうに弊社では分けていますよというお話をして。このGT、グローサリーね、グローサリーも基本的にはMTと、GT・TTはもうひとくくりでTTというふうにくくっちゃうことが多いので、こういうもう、いわゆるグローサリー系のTT、これは確実に見た目がデカいので、必ず冷蔵庫はあるし、冷凍庫もあるし、店員は複数人いるし、大手のメーカーが看板やらパラソルやらいろんなものを贈呈しているので力入れていますよと。大手メーカーの商品を見てみると、陳列が非常にきれい。ということはどういうことかと言うと、営業マンが足を運んでいるということになるので、そういうところを見て地域一番店を判断してもらえれば。

TTの攻略というのは、規模のデカいところ、交通量の多い道路沿いにあるTTとか、もう本当に1日の来客数が多い住宅街の中にあるTTみたいなところ、大きいところから狙っていくというのが鉄則で、それがもうROIが高いし、あとまた問屋機能を有しているようなTTもあるので、とにかく大きいところから狙っていくというのがストア・カバレッジを上げる上でも大変効率的ですよというお話でした。

今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。