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第283回 デファクトスタンダードへのこだわり

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「デファクトスタンダードへのこだわり」についてお話をしていきたいと思います。

対象地域はASEANで、インダストリはFMCG(Fast Moving Consumer Goods)、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財ということにしたいと思います。ただ、B2Bの製造業にとっても、今日のお話を置き換えて考えていただければ十分活用できるかと思いますので、B2Bの製造業の方はぜひ自分たちの事業に置き換えて考えてみてください。

では、この「デファクトスタンダードへのこだわり」についてお話をしたいと思いますが、結論から言うと、欧米の先進的なグローバル消費財メーカーで現在マーケットシェアが高いもの、高い企業、P&Gとかネスレ、ユニリーバみたいな会社は、デファクトスタンダードに過去数十年こだわり続けてきたんですよね。従って、デファクトスタンダードにこだわる企業というのは進出が速い。例えば、今言ったような3企業は、ASEANの市場をもう1980年代には魅力的な市場というふうに捉えて、将来大変魅力的になるポテンシャルのある市場と捉えて、すでに本格的に進出をしていた。これはなぜこれほどまでにデファクトスタンダードにこだわるのかというお話なんですが、デファクトにこだわるから早く出るわけなんですよね。なぜこんなにデファクトにこだわるのかと言うと、やっぱり消費財というものは、初めて使ったものとか、初めて口にしたものが消費者のデファクトスタンダードになるんですよね。

例えば、われわれがアメリカのメーカーのお菓子を食べたときに、ちょっと違和感を感じたり甘すぎると感じたりする。けど、それ、生まれたときからそれをずっと食べて、最初に口にしたのはアメリカのチョコレートですと、ずっと口にしていると、それがよくなってくるわけですよね。最初にやっぱり口に入れるということがすごく重要で、それがデファクトになっちゃうんですよね。マクドナルドのハンバーガー、まあまあおいしいですけど、あれよりもおいしいハンバーガーはいっぱいある。なのに、なぜかたまにダブルチーズバーガー、マックのダブルチーズバーガーが食べたくなっちゃうのはまさにそのデファクトスタンダード、一番最初に口に入れたハンバーガーがマクドナルドのハンバーガーだからなんですよね。これ、だから彼らはマーケティングの戦略として、子ども向けの誕生日をマックでやったりとか、そういうことをずっとやっていますけど、子どものときのあの経験、あの味がずっと大人になっても続いていくと。消費財のビジネスの最大の魅力は、いかにたくさんの人に、いかに速い頻度で、いかに繰り返し、永遠に買い続けてもらうかという、この「永遠」を獲るためにデファクトになるということが非常に重要なんですよね。

アメリカのチョコレートメーカーが、先にASEANのアジア新興国の人たちの口にチョコレートを入れて、「これがチョコレートのデファクトの味ですよ」と。そうすると、彼らは「これがチョコなんだ」ということでもう記憶しちゃっているわけですよね。あとから日本企業が出ていって、いくら良い原材料で、「私たちの高い品質でもっと良いチョコレートをつくりましたよ」と言っても、「しょせんは消費財のチョコでしょう。ヨーロッパの国がつくるような、ベルギーがつくるような高級チョコレートじゃないですよね」となってくると、やっぱり最初に口に入れたものを取ってしまうというふうになってしまうので、デファクトになるということは大変重要である。

もう1つは、消費財の場合、やっぱり小売との交渉力が圧倒的に変わってくる。デファクトになるということは、中間層を押さえているということなんですよね。中間層を押さえられているということは、アジア新興国の場合で言うと、MT、近代的な小売だけじゃなくて、伝統的な小売も押さえていると。非常に強いディストリビューション・チャネルを持っているということになるんですよね。そうすると、MTと言われるアジア新興国だと棚代と言って、商品を陳列してもらうだけなのに、陳列代を取られるわけですよね。1SKUに対して何全円と取られるわけですから、そういった小売との交渉が楽になる。本来5,000円取られるところが3,000円で済むとか、もしくは、年に4回ある半強制的なプロモーションに優位に融通してもらえるとか、基本的にはいろんな小売との優位な交渉が可能になる。当然そうですよね。TT、伝統小売を含めて非常にマーケットシェアが高くて、その国の国民のデファクトスタンダードになっているような商品は、MT側としてもぜひ置きたいと、置いていないと恥ずかしいということになるので、小売との交渉力が大変強くなる。結果として、消費財の場合、やっぱり利益としてリターンされるわけですよね。結局、さっき申し上げた通り、いかにたくさんの人に、いかに速い頻度で、いかに繰り返し、永遠に買い続けてもらうかということがビジネスのコアですから、ここに最短でどう行きつけばいいのかということを考えたときに、デファクトになるということは大変重要だというふうに先進的なグローバル消費財メーカーは理解しているというお話でした。

今日はここまでにして、また次回お会いいたしましょう。