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第282回 「現地適合化」ではなく「戦略的」な先進グローバル企業

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「現地適合化」ではなく「世界標準化」を目指すということについてお話をしていきます。

この「現地適合化」の議論も、こと海外の事業となると非常によくされる話でございます。なので、正しい理解をするうえで、この「現地適合化」ではなく「世界標準化」を目指すということについて、今日はお話をしていきたいと思います。対象は製造業、B2C、B2B問わず製造業に向けてのお話になります。対象エリアはアジア新興国を中心とした、アジアじゃなくても新興国全体のお話になります。

この「現地適合化」なんですけど、非常に重要なことです。いかに現地に適合していくかということなわけですけども、ググってください、「現地適合化」の意味は。非常に重要なこと。ただし、これと言うのは、「世界標準化」というしっかりとした土台がないとうまくワークしないですよというのが今日のお話で。前回、プロダクトアウトが正しいのか、マーケットインが正しいのかという話をしましたけど、あの議論もよくされるんですが、この「現地適合化」が重要だみたいな議論もよくされる。ただ、私がこうしてやってきた中で言うと、「現地適合化」ばかり躍起になってやっても、これは部分最適にしかならず、全体最適にならないんですよね。「世界標準化」がしっかりあったうえでやっぱり「現地適合化」というものがなければならないので、そこの誤解をしている企業が非常に多いので、今日はその話をゆっくりしていきたいと思います。

では、スライドをお願いします。「現地適合化」と「世界標準化」なんですが、「現地適合化」は、商品もブランドも価格もチャネルもプロモーションもオペレーションも、すべてが各国でばらばらに実施されちゃうんですよね。結局、根幹も枝葉もすべてが国毎にばらばらになっちゃうので、効率が非常に悪い。そして、ブランド力が浸透しない。
要は、例えばASEANでもA国ではこういうブランド、B国ではこういうブランド、C国ではこういうブランド。じゃあ、ASEANではこういうブランド、けど、インドに行くとこういうブランド、ここに行くとこういうブランドと、これはブランドの浸透はしにくいですよね。ノウハウも貯まりにくいんですよね。だって、各国でばらばらですから、「現地適合化」をするということは。オペレーションも管理しにくいので、結局これは非効率のかたまりになっちゃうんですよね。ある程度、大陸によって、アメリカ大陸ではこう、ヨーロッパ大陸ではこう、アジアではこう、みたいな話はあるんですけども、細かく国ごとに「現地適合化」を…。本来はユーザーとか消費者のことを考えるとカスタマイズしていくのが絶対いいんですよね。究極は、消費者のビジネスなんていうのは個人個人のそれぞれに応じてカスタマイズしていくのが究極としてはいいわけなんですが、そんなことをやっていたら、言ったらオートクチュールみたいな話になって、とてつもない金額になってしまうので、ビジネスとしてはワークしない。だから、ある程度型にはめていくということが重要なわけなんですが。言ってもこの「現地適合化」というのは、やっぱり新興国ビジネスをやるときには、これはなぜ「現地適合化」ということがこんなにワード自体がもてはやされたのかと言うと、あまりにもわれわれのいる先進国、日本と違うので、現地の目線で考えないと駄目ですよと、現地の人たちに合った、もしくは現地の企業に合ったサービスを提供しないと駄目ですよ、商品を提供しないと駄目ですよということで「現地適合化」という言葉だけが先走ったんですよね。

でも、実際はそれはそうではなくて、新興国であればあるほどチャンスなんですよ。だって、何もないんですから。そこでいかに最初にデファクトを取るかということはすごい重要で。だからこそ、世界の標準をそこにあてはめていく。そうすると、世界の標準がデファクトになるわけですよね。そして、枝葉の部分だけを現地適合してあげれば、非常に効率がよくなる。

ちょっとスライドをもう1回お願いします。「世界標準化」というのは、商品もブランドも価格もチャネルもプロモーションもオペレーションも、すべてが世界共通で標準化されている、根幹部分は変わらないですよ。枝葉だけが「現地適合化」しますよと。これはどういうことかと言うと、めちゃめちゃ効率がいい。ブランド力の浸透がしやすいし、ノウハウ、だって、どの国でも同じブランドなわけですよ。

例えば、LAXを見てください。LAXって、この髪の毛サラサラのヒャーっていう宣伝、外国人を使っていろんな国でやっていますけど、あれはどこへ行ったってLAXはあれなんですよね。あんなのって、もうアメリカかどこかの国でCMを使って、タレント変えて、各国バージョンのタレントにして、ワーッと展開するので非常に効率がいいですよね。そして、「LAXと言えばこれ」というツヤツヤサラサラみたいなものがもう浸透するわけだから、こんなに素晴らしい「世界標準化」ってなくて。オペレーションも管理しやすいし、ノウハウだって貯まりやすいわけですよね。欧米の先進的な企業というのは確実に「世界標準化」なんですよ。コカ・コーラだってそうです。ディストリビューションのつくり方もそうだし、商品そのものがどこの国に行ったって、多少の原材料の違いや多少の炭酸量の違いというのはあれど、基本的にはあれがコカ・コーラなわけですよね。なので、ザ・コカ・コーラカンパニーの戦略というのはもうまさにあれだし。キットカットだってそうですよ。スニッカーズだってそうですね。メントスだってそうだし、基本的には「世界標準化」をして。

けど、じゃあ、メントスも、この国ではこの10何個入りの筒形のものだけども、この国ではちっちゃいもので出そうとか、この国では、例えばオレオなんかも、この国ではちっちゃいビスケットにしてバケツに入れて売ろうみたいな、そういうところは「現地適合化」して。それをすることによって価格を安く抑えるとか。むしろ、チャネルのほうを「現地適合化」していく。よりTTが多い新興国に関しては、TTに強いディストリビューション・チャネルをつくるとか、そっちのほうに「現地適合化」を寄せるということをやっているので、基本的には「現地適合化」は重要ですよと。重要なんだけども、「世界標準化」という土台がしっかりあった上に「現地適合化」を乗せるということをしないと、なかなかうまくワークしていかないですよと。どっちかをやるということは違っていて。違っていてというか、「現地適合化」だけをやってしまうと、これは各国ですべてがばらばらになってしまうので、効率がただ単に悪くなるというだけなので、基本は「世界標準化」というのが、企業にとっては効率を考えると非常にいい。ただ、それではなかなか浸透していかないので、その土台の上に「現地適合化」を乗せていきましょうねということになります。

今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。