第288回 参入戦略策定までの6つのステップ その1
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「参入戦略策定までの6つのステップ」ということでお話をしていきたいと思います。今日のお話は、製造業がアジア新興国市場、アジア問わず新興国市場に参入する際にどのように参入戦略を立てればいいのか、その具体的なステップ、何をすべきなのかということについてお話をしていきたいと思います。対象は、製造業、B2C、B2B問わずの製造業で、対象市場は先ほど申し上げた通り新興国と、ASEAN問わず、インドでも、アフリカでも、南米でも、新興国全般としたいと思います。
それでは、早速お話をしていきたいと思いますが、「参入戦略を策定する上で重要なことって何か」と言うと、インプットなんですよね。インプットの量と質と、もう絶対的にインプットがないと参入戦略というのは立たないんですよね。どのようにその市場に入っていけばいいのかということをつくり上げるわけですから、それをつくるためには、その市場がどういう市場かというインプットがないと、全くもって具体的なアプトプットというのは立たない。要は、市場のことが分からなければ、適切な参入戦略というのはつくれないんですよね。なので、まず最初に理解すべきは、絶対的にそのターゲットしている市場の情報を得るということがものすごく重要で、それがないと参入戦略というのはつくれませんよと。情報なくして戦略はつくれないので、とにかく情報を集めるということが大変重要になってくる。
スライドをお願いします。では、どのような情報を収集する必要があるのか。このスライドでは「可視化」というふうな表現を使っていますが、市場環境の可視化をまずしていくということは5つの可視化をしないといけないですよね。一番最初が市場環境の可視化。2つ目が競争環境の可視化。3つ目が流通環境の可視化。4つ目が消費者の可視化。これはB2Cだったら消費者だし、B2Bだったらユーザーになるわけですね。ユーザーの可視化。そして、5番目がディストリビューターの可視化。そして、もちろんこれら5つの可視化をやって初めてインプットが得られるので6番の参入戦略の策定に移ることができる。
では、「市場環境の可視化って一体どういうものなの?」ということなんですが、これは非常にマクロなお話、ファンダメンタルズな情報、こういったものが必要になってくるんですけど。例えば、その市場の経済市場率とか、GDPの推移とか、1人あたりGDPの推移とか、特に外資が参入するとなると外資規制というのが大変重要になるので、外資規制はどういう規制があるのかと。外資が参入しようとするといろんな壁が存在する、障害が存在するので、そういったものがどういうふうにあるのかということを例えば見ていく。考えられる、言ったらね、分かりやすく言うと、もう、「どんな市場なんですか」ということを見るための、いろんな観点からそれを見ていくんですよね。これは企業によって違うので、今申し上げたのは例えばだと思うので、そういったことをしっかり見ていかないといけない。
次の競争環境の可視化、これは、言ったら、その皆さんがこれから出ていく地域には必ずと言っていいほど競合が存在する。その競合が具体的にどれぐらいの戦闘能力を持っているのかということをしっかり可視化していかないといけない。これが日本企業はどこも非常におろそかになってしまっている部分、比較的、市場環境の可視化はセカンダリーデータを応用してやれるものですから、セカンダリーデータというのはいわゆる誰かが調べたもの、シンクタンクが調べたものとか、公的機関が調べたようなもの、一般的に公開されているようなものを中心に収集をするということは可能なんですよね。なので、比較的皆さんやられている。一方で、競合調査というのは非常にカスタマイズベースなものになってくる。企業によって競合が違いますので、非常にプライマリーな情報になってくるわけですね。セカンダリーな情報ではないので、従って非常におろそかになりがち。でも、非常に重要。どういう敵がそこに存在しているのかということで、自分たちの戦略を変えないといけない。競合が「A」という戦略と取っているんだったら、自分たちはその「A」という戦略で追随すべきなのか、それとも「B」という戦略、別の戦略にすべきなのかということも考えないといけないので、この競争環境の可視化というのも非常に重要で。
3つ目の流通環境、これはチャネルですよね。ディストリビューション・チャネル、いわゆるその業界、自分たちの業界の流通、独特の流通環境ってどういうものなのか。日本とは全く違う流通環境がそこには存在いていたりするわけなので、それがどういうものなのかということを見ていくというのが、これが例えば流通環境の可視化。
そして、4つ目の消費者の可視化というのは、日本人とは違うニーズであったり、感受性を持った消費者がそこにいるわけで、彼らが何を実際本当に欲しているのかという潜在的なニーズも含めて見ていく、B2Cだったら。B2Bだったらユーザーですよね。ユーザーもいわゆる日系もいれば、外資系もいるし、現地のローカル系もいるわけですよね。大きく分けても3つのユーザーがいて、それぞれのユーザーがどうなのかということを見ていかないといけない。そして、自分たちの商品を取り扱ってくれるディストリビューターというものが一体どれぐらいいて、どれぐらいの配荷レベルなのかということもしっかり見ていかないといけない。
最低限この5つの情報を可視化をしないと、参入戦略というのはやっぱりなかなかつくれない。参入戦略をつくること自体はそんなに難しくないわけですね。どちらかと言うと、どれだけ実態に即した事実を可視化して、それを見通せるかということが非常に重要で、それがやっぱりないと参入戦略というのは全くもってつくれないので、「可視化が重要ですよ」ということを覚えておいていただければと思います。
参入戦略ができると、実際にチャネルの構築、チャネルの管理育成というふうになって、7、8へと進んでいきますので。また、この7、8については次回…、次回なのかな、今後お話をしていきたいと思います。
それでは今日はここまでになります。皆さん、また次回お会いいたしましょう。