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第292回 4P分析は競合との比較が重要

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「4P分析は競合との比較が大変重要である」ということについてお話をしていきたいと思います。
今日のお話、対象は製造業です。B2C、B2B問わずの製造業、そして、対象地域は新興国全般というふうにしたいと思います。内容ですけども、新興国市場に参入する際の参入戦略の立案において、いかにこの4P分析を活用していけばいいのかということについてお話をしていきたいと思います。日本企業が陥りやすい間違った4Pの使い方なんていうのも、少しお話をしていきたいと思いますので、ぜひお役に立てていただければと思います。

では、早速ですが、前回この参入戦略をつくるためには重要なのは、3C分析と4P分析が非常に重要ですよと、重要というか、非常に使えるフレームワークですよというお話をして、そして、3C分析というのはファクトの把握で、いかに3つの「C」の事実を把握するかということが重要で。

一方で、この4P分析というのは、自分よがりの4P分析になりがちなので、いかに競合と比較して4Pをつくるかということが大変重要ですよと。事実の把握と競合との比較ということで3C側のお話を前回はしました。3Cの整理としては、「市場」「競合」「自社」みたいなところのお話、ちょっと図を出してもらおうかな。まさにこの話ですね、3C分析と4P分析。3Cはファクトの把握が非常に重要で、4Pは競合との比較が重要ですよと。3Cに関しては、「市場」「競合」「自社」、この3つの「C」の事実を調べていくんだと、マーケティングの基本プロセスの「R-STP-MM」の「R」の部分とニアリーイコールですよという話をしました。

今日は、競合のほうの、4P分析のほうのお話なんですが、4Pのフレームワーク自体が何かというのは、もう皆さん、この番組を見ている方は知らない方はいらっしゃらないと思うので割愛させていただきますが、この4Pというのは3Cとは違って、いかに競合と比較するかということが重要で。この図の通り、「プロダクト」「プライス」「プレイス」「プロモーション」なわけですけども、この「プロダクト」「プライス」「プレイス」「プロモーション」を日本企業がつくっていくとこういうふうになっちゃうんですよね。できれば日本で実績のある商品をベースに、できれば新興国なので多少安くはするけども、私たちの商品はプレミアムなのである程度高い値付けのまま、そしてプレイスは、できれば、新興国だと言っているのに伝統的な小売というよりかは近代的な小売を中心に、そして、プロモーションは実績が出るまであまり投資をしたくないみたいな、こういう自己都合4Pみたいなのが日系企業の場合は非常に出来上がってしまっていて、その4Pのまま突き進んでいくんですよね。

日系企業の皆さんは優秀ですから、「この自己都合4P、まずいんじゃないかな」というのを頭のどこかでは思っているんですが、それでも製品に対する絶対的な自信があるので、それで突き進んでしまって、市場でなかなか成果が出ずに打ちのめされるというような企業が大変多い。打ちのめされたあと、すぐ改善するかと言うと、そうでもなくて、「いやいや、市場がきっと追い付いてくるだろう。私たちは市場のいわゆる時代の先端に行ってしまっているんだ。市場が追い付いたときには必ずわれわれに風が吹くだろう」みたいな、こんな妄想の中、進んでいくというケースが多くて。

やっぱり4Pを競合と比較するということがすごく重要で、やってみるべきはシェアの高い企業の4Pを見るということがすごく重要なんですよね。シェアの高い企業が、どういうプロダクトを、どういうプライスレンジで、どういうディストリビューション・チャネルを通じて配荷をして、そして、どういうプロモーションをATL、BTLをやっているのかということを見ていくと、日系企業の場合はプロダクトは負けていないんですよね。プライスも意外に頑張っているじゃないかと。もっと努力すれば頑張れるんだけども、原材料を変えたら、問題が起きたら誰が責任を取るんだとか、そういう問題になるのでなかなか1つ線を超えられないんですけど。その線をもう1つ2つぐらい越えられるので、たぶんプロダクトとプライスは問題なくて。一番の問題はもうこのプレイス、チャネルなんですよね。チャネルがうまくいくと配荷が進むので、セルインが進むので、プロモーション投資をしようという気になるわけですよね。成果が出ると分かっていたら、それは投資しますよね、プロモーションにね。だって、プロモーションに1億2億投資しても、それがドーンと売上に跳ね返ってくるということが何となく想定できれば、それだけの投資をするというマインドになりますから。

でも、そういうマインドになれない、売れたら投資するというのは、やっぱり、「これいいんだけど、売れないんじゃないか」というのがどこかにあるからなんですよね。たいがい比較するとこのプレイス、ディストリビューション・チャネルが全く駄目で、一部の特定の、例えばB2Cだったら近代的な小売にしか配荷ができないようなチャネルになっているとか、B2Bだったら日系企業にしか、言ったら配荷ができないというか、顧客がつくれていない、ローカルの企業に全く入れていない。もっと遡っていくと、ローカル企業が求めているスペックの商品になっていないとか、そうなっているので。

やっぱりシェアの高い企業、成功している企業と4Pをいかに比較するかということをやっていくと、自分たちの4Pがいかに間違っているかということに気付くので、ぜひそれをやっていくということを考えていただきたいなと。失敗している企業で4Pがしっかりしている企業なんていうのは絶対あり得ないんですよね。私は過去20年間見てきましたけども、失敗している企業というのは必ずその要因が4Pにある。4Pというのはターゲットに対していかに適切な4Pを最適化するかですから、1つだけよくても駄目で、4つが全体最適していないといけないので、競合と比較して自分たちの4Pの参考にするということをぜひ1回やってみてもらえたらと思います。

今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。