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第291回 3C分析でファクトを把握する

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「3C分析でファクトを把握する」ということについてお話をしていきたいと思います。

今日のお話は、対象は製造業です。B2B、B2C問わず製造業が対象で、対象地域は新興国全般というふうにしておきたいと思います。今日のお話は「3C分析でファクトを把握する」ということなんですが、内容としては、参入戦略をつくっていく際に非常に有効なフレームワークとして3C分析や4P分析が使われるわけですけども、その中でも今日は少し3C分析についてお話をしていきたいと思います。どういうふうに3C分析を解釈すればうまく参入戦略に役立てることができるのかということについてお話をしていきたいと思います。

では、早速お話をしていきたいと思いますが、「3C分析とは何ぞや」ということなんですが、これに関してはもう皆さん十分ご存じかと思いますし、また、Googleで検索してもらえればたくさん分かりやすい説明が出てくると思いますので、その説明は割愛させていただきます。今日ここでは、3C分析を新興国市場に参入する際の参入戦略をつくるときにどういうふうに活用していけばいいのかということについて、中心にお話をしていきたいと思います。

3C分析というのは「市場」「自社」「競合」ということになるわけですけど、ちょっとスライドを出してもらって、このスライドの通り、3C分析と4P分析があって、これをうまく使ってインプットを入れて、戦略というアウトプットに変えていく。そして、その戦略というアウトプットを今度は実行して、成果というアウトカムに変えていくという、こういう3段階構成になっているわけですけども。参入戦略をつくるときに、私はこの番組でも過去にお話しましたけども、マーケティングの基本プロセスが非常に重要ですよと。このマーケティングの基本プロセスの中にもこの3C分析、4P分析というのは実は含まれていて、その3C分析のお話で。

1つ覚えておいていただきたいのが、この3C分析はファクトの把握なんですよね。事実をシンプルにそのまま把握をすると。「市場」「自社」「競合」のこの3つの「C」の事実をシンプルに把握するということが重要で。一方で、4P分析というのは競合との比較なんですね。自分たちの事実というのは、これは非常に主観的にしか見れないので、客観的に見ることが非常に重要だし、なおかつ競合と比較するということが非常に重要なので、全く視点が違うということだけ、まずは覚えておいていただいて。今日は3Cの話なので、ちょっと3Cのほうに戻りますけども。

「市場」「自社」「競合」ということで、「市場」から説明をしていきましょうかね。この「市場」に関してなんですが、私は参入戦略をつくるときに、あまりアカデミックに難しくなる必要はなくて、3C分析は「市場」の事実と、「競合」の事実と、「自社」の事実を見ましょうと。これは、マーケティングの基本プロセスの最初の「R」なんですよね。マクロ環境分析、ミクロ環境分析、SWOT分析というのがありますけども、それとまさに一緒で。「市場」を見るというのは、一体この市場は本当に儲かるんですか、どうなんですか、ということを見ていくんですね。「競合」を見るというのは、じゃあ、その儲かる市場にはどれぐらいの脅威がそこに潜んでいるんですか、ということを見ていく。そして、「自社」というのは、自分たちは果たしてその市場に飛び込んだときに本当に勝てるんですか、ということを客観的に見るというのがこの「自社」なので、実はマーケティングの基本プロセスの最初の「R」の部分に等しいのが、この3C分析になります。

じゃあ、「市場って一体どういうふうに見ればいいの?」ということなんですが、私は視点としては、いわゆる経済指標的な経済数値を1つ把握するということと、あと、業界数値を把握するということ、これをすごくやるんですね。マクロとミクロに分けて。例えば、経済数値ってどういうことかと言うと、その国の経済規模がどうなんですかと。ごめんなさい。あとね、法律的な視点。なので、経済の視点と業界の視点と法律の視点、これで「市場」を見ていくということがすごい重要で。参入戦略をつくるときにね、特に新興国市場のほうで。経済の視点って何かと言うと、「その国の経済成長度合いがどれぐらいなの?」ということを見ていく。例えば、1人あたりのGDPもそうだし、その国のGDPの推移だってそうだし、ファンダメンタルズを反映するような経済指標ってそれ以外にもいっぱいあるわけなので、可処分所得もそうだし、いろんな数値をマクロで取っていく。IMFのデータも使えれば、OECDのデータも使えるし、いろんなところがそういうマクロ関連の経済数値を出しているので、そういったものをまず見ていって、大きく市場を捉えると、本当にこの市場って十分私たちが潤うだけの経済規模がある市場なのかどうかということを見ていく。

もう1つの次のステップ、それが見れると今度は業界、「自分たちの業界はどれぐらいなんだろう?」ということを見ていく。例えば、エレベーターとかエスカレーターを売っているような会社さんだったら、一体、近代的なビルが、5階ぐらいまでだったら新興国市場は階段しかついていませんから、いわゆる高層ビルと言われるような近代的なビル、エレベーターやエスカレーターの設置を伴うようなビルが何棟ぐらい建っているんだろうというところを見ていく。こんなの、言ったらビルの何か設備を売るような会社じゃないと必要じゃないデータですよね。だから、業界データと私は呼んでいるわけですけども。例えば、エレベーターとかエスカレーターを売っているような会社さんだったらそういうふうな業界。街灯でもいいですよね。街灯というか、ライトですね。ライトを売っているようなものだって、ビルの棟数によって使われるライトの数というのは変わってくるわけですから、そうやって見ていったりとかするわけですよね。業界に特化したデータを集めていく。

もう1つ、最後の法律的な視点というのは、規制を調べるということがすごく重要で。市場には必ず規制があると。外資規制というものがあって、外資の参入の障壁になっているような外資規制があるので、「どういう外資規制があるんだろう?」ということを見ていくというのが、この「市場」なんですね。

次に「競合」なんですけども。「競合」に関しては、基本的にはその市場に日本企業というのはどの市場においても後発になっていくというのは、これは残念ながら事実でございますので、既に存在している競合の戦闘能力を見ていくということは非常に重要で。だいたい分別すると、自分たちと同じ日系の競合、これは見なくてもだいたい日系の競合って自分たちで想定がつくので、調べるべきは欧米の先進的な競合と、あと中国系、地場系の競合のこの2~3種類ぐらいになってくると思うので。こういったところの競合の、特にわれわれなんかがしっかりと見るのは、ディストリビューション周りのところ、いわゆる販売力のところですよね、チャネル周りのところ。ここの競争力、製品の競争力ってだいたい公開されているので、調べるもクソもないんですよね。一方で、どれだけユーザーとか消費者を捉えているかというのは、もうチャネルの力によって全然売上が変わってくるので、ディストリビューション・チャネル周りの情報をしっかりと見ていくということは必要。

最後の「自社」みたいなところに関しては、これは先ほど申し上げました通り、客観的にどれだけ自分を見れるかなんですよね。自分の強さ、戦闘能力を客観的に見る。これは自分の能力を過信し過ぎても駄目だし、過小評価し過ぎても駄目だし、本当にファクトを捉えるということはまさにそういうことで、事実として客観的に見たときに、自分たちはこの市場、この競合、ここに入ったときに勝てるんですか、どれぐらい勝てるんですか、それとも負けてしまうんですかということを客観的に見ていくということは重要で。
この3つのファクトが揃うと、だいたい自分たち、この市場に入るべきか入らないべきかということは判断できるので、この3C分析は参入戦略をつくる上で非常に重要。どのように入っていけばいいかということを見極めるための非常に重要なフレームワークだと思いますので、こんなふうにシンプルに捉えていただければよろしいんじゃないかなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。