第296回 競合の可視化なくして自社の戦略はない その1
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「競合の可視化なくして自社の戦略はない」ということについてお話をしていきたいと思います。平たく言うと、競合調査の重要性みたいなところのお話をしていきたいと思います。対象は製造業、B2B、B2C問いません。対象市場は新興国全般ということになります。それではお話を早速していきたいんですが。
日本の企業の海外展開、新興国展開を見ていると、競合のことをやっぱり知らなさすぎるというのが1つの事実として大きいのかなというふうに感じます。この日本企業の海外展開の支援を20年やっていますけども、その中でもやっぱり競合のことをこれだけ分かっているのかという企業に出会ったことというのはそんなに多くなかったので、やっぱり競合のことをしっかり見るということはすごく重要で。なぜ競合を知る必要があるのかと言うと、結局、その市場、どれぐらい儲かる市場なのかという、この市場環境と、そこにどういう敵がいるんですかという競争環境、この2つなんですよね。この2つの組み合わせ、バランスの中に自分が飛び込んだときに何が起きるのかということがまさに戦略で。それに対応するために戦略をつくるわけなんですよね。そうすると、市場環境に関すること、これは、いわゆる経済指数的な話、業界の特異性、そして外資規制みたいな、この3つぐらいが中心になって市場環境を見ていくわけですけども、それは比較的、日系企業、どちらかと言うと、セカンダリー情報、2次データで十分補えるんですよね。セカンダリー情報ってどういうことかと言うと、いわゆるどこかの政府機関とか、シンクタンクが調べたものを見て学ぶということですよね。それこそOECDのサイトだったり、IMFのサイトだったり、一番親しみのあるところだとジェトロのサイトもいろんなデータが出ていますけど、そういったものをベースに市場を把握するという。もちろん実値で市場を把握するということも当然重要なんですけど、こちらは比較的メーカー自身が情報を取りに、積極的に取りに行ったら収集できる。容易に収集できる。コストもそんなに掛からない、容易に収集できるというのがこの市場の情報。
一方で、競合の情報に関しては、これはどちらかと言うと、敵、競合にしてみたら、皆さんの会社にその情報を出したくないですから、基本的には積極的に皆さんが取りにいこうとしても、なかなか取れないというのが大前提なんですよね。だから、調査会社、例えば、なんちゃら総研とか、外資のコンサルファームにお金を払って、情報を取りにいくということをするわけですけども。産業調査ですね。これは消費者調査ではなくて、産業調査系の部類に入るので、そういうことをやらないといけない。自分から、言ったら製造業が自分で競合の情報を取りにいくなんていうことは、ほぼやっていないというか、100%やっていないですよね。これは自分の営業マンが集めてこれるような情報なんていうのは、これは競合情報の類に入らないので、やっぱり専門機関にお金を払って集めてきてもらうということをやらないといけない。ここが日本企業はなかなかやれないので、戦略が非常に中途半端になってしまっているというケースがあって。さっきも申し上げた通り、市場と競合、この2つが理解、可視化されて、この2つのインプットがあるから初めて自分たちの戦略が立つわけですよね。敵がどう戦っているのか知らないのに、自分たちの戦い方を決めるなんていうことはできませんから、敵がどういうふうに戦っているんだろうかということをしっかりと見ていかなといけないというのは非常に大きいですよと。
ちょっとスライドをお願いします。「じゃあ、どんなところが競合になるの?」という話なんですが、基本的には欧米系、ローカル系、日経というふうに、この3つの競合が出てくるんですけれども、日系に関しては、これは自分たちのやっていることと50歩100歩なので、似たり寄ったりなので、そんなに日系企業を調べるということには費用や労力や時間を使う必要は、僕はないと思っていて。
うちでもやっぱり非常に多いのは、この競合、欧米系、それからローカル系の競合調査というのが非常に多くて、やっぱりここはね、欧米系は先進企業が非常に多くて、やっぱり、参入が圧倒的に日本企業より早いんですよね。そうすると、彼らの過去のあやまち、いっぱい間違いをおかしてきているわけですよ。それで今の成功が彼らはあるわけなので、そこを学んでいくということは非常に重要で。過去、彼らはどういうことをやってきて今の戦略になっているのかということを見るだけで、彼らの今の戦略がいかに理にかなったものかということが分かるわけなんですよね。自分たちが独自性ある戦略を展開しようなんて、そんなことはどうでもよくて、基本的には勝つ戦略をどれだけしっかりつくれるかということが重要で、模倣したっていいんですよね、戦略なんていうのは。敵が戦っていてうまくいっているんだったら、それに極力近づいていくということを考える必要があるし、結局、日本企業は今、市場で第1位になろうなんて思っていないわけで、まず、追いつけということであれば、二番煎じで十分なわけですから、競合の戦略をベースに自分たちの戦略をまず組み立てる、真似をしていくということも1つの戦略なので、そんなことをやっていく上でも競合を見るということは大変重要ですよと。
「時間だ、時間だ」というふうに言われているので今回はこれで一旦切りますけども、次回は第2部ということで、この競合の可視化、競合調査の重要性パート2ということでお話をしていきたいと思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。