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第299回 主要競合のディストリビューション・ネットワークの可視化

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「主要競合のディストリビューション・ネットワークを可視化する」ということについてお話をしていきたいと思います。

対象は、FMCG(Fast Moving Consumer Goods)、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財になります。B2Bの製造業の方は自分たちの事業に置き換えて考えていただければ、聞いていただければ参考になることも多いと思います。

早速ですけども、このディストリビューション・ネットワークということですが。「ディストリビューション・ネットワークって何なの?」ということなんですけども、ディストリビューターを複数活用して、それをネットワーク化したものがディストリビューション・ネットワークなんですけども、欧米の先進的なグローバル消費財メーカーは、このディストリビューション・ネットワークの構築が非常に長けていて、一方で日本の消費財メーカーは残念ながらこのディストリビューション・ネットワークのつくり方が非常に下手と。多くの日本の消費財メーカーは、理由なき1カ国1ディストリビューター制みたいなことを敷いてしまっていて、管理が大変だからとか、自社内競合をしてしまってはよくないので、ということで、理由がほとんど、そんなことは理由にならないので、理由がないまま1カ国1ディストリビューターみたいなことになってしまっていると。

一方で、「消費財メーカーにとって一番重要なことって何ですか?」と言うと、10円、数十円、数百円のものを売っているということは、もう、数なんですよね。中間層が重要で、いかにたくさんの人に、いかに速い頻度で、いかに繰り返し、永遠に買い続けてもらうかということが消費財メーカーにとっての最大のビジネスのポイントになるわけですよね。これが1箱1万円のチョコレートを売っているとか、1瓶1万円の化粧水を売っていると言うと、ターゲットは中間層ではなくなるので、今私が言ったような、いかにたくさんの人に、いかに速い頻度で、いかに繰り返し、永遠に買い続けてもらうかということは必要なくなるんですが、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品なんかは基本的にはそれが必要になる。

そうすると、例えばベトナムなんかでも、50万店の伝統小売があって、近代小売なんて高々数千店舗、3,000店舗とかなわけですよね。そうすると、近代小売だけでビジネスをしていても、これはまったくもって儲からないということが、もう出る前から分かっていて、いかにこの50万店を獲るか。食品が置ける伝統小売というのは30万店なので、食品だったら、じゃあ、30万店獲るかということが大変重要になってくる。そうすると、もう普通に考えて1社のディストリビューターで自分たちの担当をしてくれる営業マンが10人いて、10人で30万店獲るなんていうのは不可能なわけですよね。計算していくと、「はい、10人で30万店獲るのだと150年かかります」みたいな計算になってしまうので、基本的には数が重要、営業マンの数が重要ですと。そうすると、1社で賄えない場合は、やっぱり複数のディストリビューターを使わないといけない。これはインドネシアなんかで、フィリピンなんかも80万店の伝統小売が存在して、近代小売は高々6,500ぐらいだと思うんですね。一番近代小売が多いところでも、インドネシアなんですけど、3万5,000店。でも、一方で伝統小売は300万店以上存在するということになるので、基本的には複数使っていかないといけないということがもう出る前から分かっていますよと。

図をお願いします。これはベトナムの例ですけども、競合A社・B社は、100社程度のディストリビューターを使って20万間口を獲っていると、B社は100社程度のディストリビューターを使って10万間口を獲っていると。これは1社あたりの間口カバレッジって2,000ですよね、1社あたり2,000カバレッジしてくれていて、そして、もう1個は1社あたり1,000カバレッジしていますと。この赤い丸が比較的規模の大きいところ、緑が中堅、青い丸が小規模というところで、これだけ全土にわたって、1,500km以上縦長の国というのがベトナムの特徴ですから、基本的にはこれだけまんべんなくディストリビューターを置いていかないといけない。日本列島と同じですよね。長いかたちをしている。なので、こんなふうなかたちになっているわけで。それによって20万カバレッジ獲っていますよ、10万カバレッジ獲っていますよ。

一方で一番右の日本企業を見ていただくと、1社のディストリビューター、ホーチミンにある1社で500間口しか獲れていないので、1社あたりの間口カバレッジ500ですということで、もうこれは全然、500間口と10万、20万なので、まったくもってシェアも売上も違ってくる。なおかつ、500間口というのはもうほぼ近代小売で、ほぼというか、完全に近代小売で留まっているので、伝統小売には到達できないということになっているので。ディストリビューション・ネットワークを見ていくと、より具体的に自分たちがどう至らないのかということが見えてくるので。

このディストリビューション・ネットワークって一夜にしてできるものじゃないんですよね。これはもう何年も何年も、じゃあ、今年はここまで広げた、ドミナントでやっていく必要があるので、エリアベースでやっていくんですよ。「じゃあ、今年はホーチミンの1区と2区と3区と4区終わりました。来年は5区6区7区です」みたいなことをドミナントでやっていくので、もう本当に今年来年再来年と1年1年投資をしていかないといけないんですよね。何となくうわーっとやっていてもこれは絶対に増えないので、本当に1年1年が重要。

小売の近代化というのは進んでいるんだけども、それよりも速いスピードで伝統小売のデジタル化というのが進んでいて。伝統小売がデジタル化してくると、今まで考えていたように、先進国のように伝統小売はどんどんなくなって、近代小売になるんじゃないか、伝統小売がコンビニ化するんじゃないかみたいな議論がもう今非常に薄れていってしまっている。ウーバーとかグラブのような、日本にはない、バイクのいわゆるライドシェアみたいなものが配達をやり出してくると、ますますこの伝統小売のデジタル化が意味を成してくるので、本当にこのディストリビューション・ネットワークを今築いておくということが本当に重要で、もう遅すぎるぐらいで。早くそこに投資をしていかないと、先進的なグローバル企業ともっともっと差がついてしまうので、このディストリビューション・ネットワークの可視化というのが大変重要になってくるので、ぜひ競合のディストリビューション・ネットワークを一度可視化するということをやってみていただければと思います。

今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。