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第300回 主要競合の組織体制の可視化

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「主要競合の組織体制の可視化」ということでお話をしていきたいと思います。

前回に引き続き、対象はFMCG(Fast Moving Consumer Goods)、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーになります。B2Bの製造業メーカーの方は、自分たちの事業に置き換えて聞いていただければと思います。

それでは早速お話をしていきたいと思いますが、「主要競合の組織体制の可視化」ということでお話をすると、前回ですね、ちょっと図を出してもらおうかな。前回、この図を使って主要競合A、Bと、日本企業、自社ということで、それぞれのディストリビューション・ネットワークの可視化をしたと思うんですよね。A社・B社は100社のディストリビューターを使って20万間口獲っていますよ、10万間口とっていますよ。でも、自分たちは1社のディストリビューターでMT500間口しか獲れていませんよみたいなお話をしたと思うんですが、この今回の組織体制の可視化というのは、まさにそれがどういう組織で実現されているかというのをさらに見ていきましょうという可視化で。結局、そのディストリビューション・ネットワークって、どういう組織が、どういう活動をして、結果としてそのネットワークになっているのか。言ったら、そのディストリビューション・ネットワークからあみだされる利益とかシェアとか、アウトカムですよね、アウトカムがつくられているのかということになるので、どんな組織体制で、どんな管理育成をしているのか、どんな活動をしているのかというのは非常に重要で。ストラクチャーだけ真似ても駄目なんですよね。ディストリビューターの数、「相手が10社なので自分たちも10社にしました」、これは10社の質をまず比べないといけないから、数だけ真似ても駄目ですよ。質も比較しないと駄目ですよというのは1つですし、もっと言うと、「どういう組織がそれぞれのディストリビューターにあるんですか」と、「その組織がさらに言うとどういう活動をしているからこの高いシェアという結果が出ているんですか」ということを見ていかないといけないので、基本的には組織体制というのは非常に重要になってくると。

次のスライドをお願いします。主要競合A、B、日本企業と自社ということで見てみると、この主要競合は担当エリアを10エリアに分割して、10ですよね、10エリアに分けて、統括部長が1名いると。この統括部長がどういうスキルセットを持ったどういう人物なのかなんていうのは絶対に調査をしないといけなくて、できればこのエリアマネージャー10名ぐらいはもうバイネームでしっかりと理解をするということができればですね。非常に重要。A社からB社に人が行ったり、B社からA社に人が行ったりなんていうことは全然あるんですよね。こういうエリアマネージャーとかの優秀な、アカウントマネージャーとかエリアマネージャーとかの優秀な人達を日本企業はなかなか獲得できていないので、その下で働いていた人がマネージャーだったみたいな話で日本企業に結構いったりしているんですけど、全然レベルが違いますみたいなことがあるので、やっぱりそこをしっかり見ていく。これを見てみると、A社もB社も担当エリアを10に分けて、そこに10人のエリアマネージャーがいるわけですよね。その下に800人の自社勢力を持っていたり、500人の自社セールスを持っていたりするわけですね。さらにその下に100社程度のディストリビューターを抱えていると、こういう構造になっていて、結果の20万間口とか10間口があって、人数で割ると1人あたり250間口を担当しているとか、1人あたり200間口。間口というのはストアですね、ストアの数、ストアカバレッジですね。こういうものを担当していると。

一方で日本企業はどうかと言うと、統括部長はもちろん日本から駐在5年目の日本人の○○さんということで基本的には日本人で、その下にマネージャー、現地のマネージャーがいると。その間には通訳がいるなんていうケースが往々にしてあるんですけど。そして10名の自社セールスがいるんだけども、兼務をしていますよと。このマネージャーが日本語ができるマネージャーみたいのがいて、基本的には日本語ができないと統括部長と会話が成り立たないので、基本的には優秀な人間が日本語ができるという前提の中でしか選択されないので、当然優秀度合いが落ちたりするわけですよね。だって、日本語ができて優秀なのと、日本語はできないけど優秀なのの絶対数って、母数というのは圧倒的に日本語ができないほうが多いですから、外資系がそういう優秀な人たちを採っていっているというのが現状ですと。

ディストリビューターも1社ということで、間口は500、1社あたりの間口カバレッジは50ですということで、もうこれだけ、1人の担当カバレッジ、要は1人が何間口担当しているかなんですよ。1人が何ストアを担当しているかの掛け算なんですよね。その1人の能力がもちろん人の2倍3倍やるというのであれば掛け算は変わってきますけど、基本的に人1人ができることなんていうのは限られているので、この1人が何間口、何ストアを担当しているのかで、それが掛け算、どれぐらいあるからどれぐらいの間口があるのかということなので。もう、この組織体制を見れば、「この組織体制だと毎年1万間口獲得するのは無理です」と。「せいぜい3,500です」みたいなことがまあ見えてくるので、こういうところをしっかり見ていくと、自分たちの組織は何が足りていて、何が足りていないのかということは見えてくるので、これも一夜にして組織をお金かけてバーンと競合と同じようにすればいいかと言ったらそういう問題じゃなくて、徐々にやっぱり組織をあるべき姿に持って行かないといけない。

そうすると、洗うべき姿、目標とすべき姿がないのに、ただ、今の組織の延長線上で人を増やしていったら、これは競合と戦っていますから、いかに目標にした時期に競合に追いつけ追い越せをしないといけないとなると、明確に競合の組織体制の今をしっておく。それで自分たちの目標が明確になるわけですから、やはり組織の可視化というのは大変重要になってくると。

次のスライドをお願いします。次のスライドは、では、その組織、さっき言った数の組織がどういう活動をしているんですかというのがこの図なんですけども。例えば新規顧客と、GT、TT、TTの新規開拓と既存店のフォローをどういう配分でどういうふうにやっているのかというようなことをしっかり見ていくと、「自分たちの新規開拓って弱いよね、自分たちの既存店フォローって弱いよね」ということがしっかり見えてくると。ただ、日本企業の場合はもうTTにおける活動を、FMCGだと言っているのに、消費財だと言っているのに、日本では中間層をターゲットにしているにもかかわらずベトナムに出ていって、中間層じゃなくて、なぜか富裕層をターゲットに、上位中間層とかっていう富裕層をターゲットにしている。そういう日本の消費財メーカーは非常に多くて、結果として、「間口カバレッジ500、もう進出5年以上経っているのにいまだに赤字です。ベトナムの工場の歩留まり、非常に悪い」というような企業は決して少なくないので、やっぱりこの組織体制とその組織がどういう活動をして、どういうアウトカム、成果が出ているのかということをしっかりと見るということは大変重要になってくると思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。