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第321回 ASEANのディストリビューターの特徴

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「ASEANのディストリビューターの特徴」ということでお話をしていきたいと思います。皆さんがASEANのディストリビューターと契約交渉する際、もしくは施策を一緒に展開する際に、この彼らの特徴をしっかり押さえておくことは、これら契約交渉や施策を優位に持っていくことが可能になります。逆に、彼らの特徴を理解せずに、日本のディストリビューターとお付き合いをするような感覚で彼らと付き合ってしまうと、契約交渉や施策はうまい方向には進みません。今日は、ASEANのディストリビューターの特徴について一緒に学んでいきましょう。

では早速お話をしていきたいと思うんですが、まずスライドをお願いします。「ASEANのディストリビューターの特徴」ということで、いくつか大まかな特徴を書かせていただいております。
ASEAN、主にはASEAN6、シンガポール、マレーシア、タイ、それからベトナム、インドネシア、フィリピンということで、ASEAN6を中心にお話をしていきたいなというふうに思うんですが、いろんなインダストリーのディストリビューターがいると思いますが、なんとなく今回は少しFMCG、食品とか飲料、菓子、日用品なんかのディストリビューターを想像しながらお話をしようかなというふうに思いますが、あながち他のディストリビューターでもそんなに大きくはずれてこないと思いますので、そんな観点で聞いていただければなというふうに思いますが。

ディストリビューターは華僑が8割です。もう華僑、ほとんど華僑です。優秀なディストリビューターになればなるほど華僑です。完全なる一族経営で、だいたい今、世代交代が入って、歴史も短くて、長くても30年程度というふうに記載しておりますが、一部の財閥系は除いて、だいたい今、3代目への世代交代が始まりかけているみたいな、そういうステージが多いんじゃないかなというふうに思います。なので、社歴がそんなに長くない、そして、完全なる一族企業なので、基本的にはファミリーの利益というものを最も優先的に考える傾向が非常に強い。もちろん上場しているようなディストリビューターとか、はたまた財閥系のディストリビューターというのはもう会社がコングロマリットでいろんな事業をやっていて、ものすごく巨大な企業体になっているので、そういう企業は、一族の利益ということよりも、やっぱり対外的な株主がいたりとかしますので、そういう意味ではそんなに一族一族していないんですが。多くの場合は華僑が8割、そして、一族経営ですよというのが特徴です。この一族の利益と会社の利益というものが、日本で言うと、一族経営とかって言うと、どちらかと言うとイメージとしてはワンマンだし、あまりポジティブに捉えられない側面がやっぱりあるんだけども、ASEANではそんなことは全くなくて、スーパーポジティブで、会社はファミリーのもの、個人のもの、何が悪いのという、そういう認識がまだまだ多い会社があるので。「彼らの一族の利益に本当になっているのか」ということを見ていくと、自分たちがやりたいことと彼らのやりたいことが、一緒にビジネスしているとずれるんですよね。コンフリクトが起きると、メーカーとディストリビューターの。そのときに考えるのが、この一族の理にかなっていないことを、もしかしたらこちらから要求しているのかな、そういうケースが多々あるので、この「一族」というのは少し注目をしたほうがいいですよというのは1つですね。社歴が短い。当然ながら異文化で。この「異文化」というのを、異文化への理解って、これは非常に難しいんですけど、「なんとなく言葉では分かります。海外に行ったら文化の違い、文化を尊重しましょう、異文化を尊重しましょう」みたいなことは、言葉では分かっているんですけど、本当に彼らの文化を理解するということをやっぱりしっかりやるべきだし、文化に対する学習をちゃんとしていないケースというのが非常に多くて。彼らの国がどういう生業でできあがって、どのような文化があるのか。その異文化を象徴するようなイベントって、ほとんどが祝日に反映されているので、その祝日が意味するものは何なのかということを解きほどいていくと、彼らの文化に対する理解が非常にできる。実感値として異文化を理解する必要は全くなくて。ただ、知識として、どれだけ彼らの異文化を理解しているかということは、彼らとコミュニケーションを取るときに、「こんなに自分たちの国のことをよく分かってくれているんだ」って、これはやっぱりすごく好印象で、そのあとのコミュニケーションの濃さとかスピードみたいなものが全然変わってくるんですよね。なので、彼らの異文化を実感値として理解、それはもう何十年とかかるので、そこまでは求めないんですが、知識としての理解はしっかりしたほうがいいというふうに私は思います。

あと、「ディストリビューターの役割が日本とは異なる」ということなんですが、これは、例えばASEAN6で言うと特にベトナムなんですけど、ディストリビューターって、日本で言うと、自分たちのメーカーの商品を買って在庫して、それを顧客に営業して、顧客に納品、配達をして納品をして、代金を彼らが回収するという、そういう機能をディストリビューターというふうに呼んでいると思います。だから、1つはセールスをしてくれるという、営業をしてくれるという機能と、あとデリバリーですよね、配達・設置・納品、アフターサービスというこの3つですかね。ものによってはアフターサービスが付くものがあるので、基本的にはセールスとデリバリー、ものによってはアフターサービスという、この3つ、2つ3つの機能だと思うんですけど。例えば、ベトナムなんかで言うと、ディストリビューターって、デリバリーをする会社のことを言うんですよね。セールスはメーカーがやるものなので、セールス機能はついていません。日本だと、例えばディストリビューターにプロモーションをやらせるなんていうことはなくて、プロモーションはメーカーの仕事です。セールスをディストリビューターがやってくれます。デリバリーもディストリビューターがやってくれますという話だと思うんですけど、プロモーションはメーカーがやるものは当然だけども、セールスもメーカーがやるんです。決めてきたところに自分たちは商品を納品しにいくんだ、運びに行くんだというのがディストリビューターというケースというのが往々にしてあるんですよね。これって、「いやいや、それはディストリビューターじゃないじゃない。ヤマトさんじゃん。佐川さんじゃん」という話になるんですけど、「郵政さんじゃん」みたいな話になるんですけど。定義がそもそも違う、ディストリビューターの。なので、セールス機能が付いているか、付いていないか、ということはしっかりやったほうがいい。別の回でディストリビューターの機能みたいな、どういう機能がディストリビューターにはあって、どういう機能をメーカーとしては求める必要があるのかという番組をやりますけども、まあまあそうやって、役割が日本とは異なる、配達するだけでディストリビューターだったりもするので、それはディストリビューターのレイヤーによっても変わるし、インダストリーによっても変わるので、機能で見ていくということはすごく重要ですよ。日本のディストリビューターの定義が必ずしも世界のディストリビューターの定義じゃないということをしっかりと理解をする。

あと、甘え上手、言い訳上手、これはね、うまくいかなかったときのディストリビューターさんの対応と、うまくいっているときのディストリビューターの対応というのが、どの国もそうかもしれませんけど、日本ってそんなにあまり表に出さない雰囲気がやっぱりあるんですよね。うまくいっているからと言って、ガーンと威張ったりもしないし、うまくいってないからと言って、じゃあ、言い訳をするかと言うと、そういう文化ではない。ただ、一方でASEANのディストリビューターはうまくいってなかったときの言い訳がやっぱり半端ないですよね。最終的にどういうところの言い訳になるかと言うと、メーカーが協力してくれないからだ、プロモーションを出さないからだとか、為替だとか、景気が悪いとか。景気とか為替を問題にしてしまうんだとすると、そもそもビジネスじゃないじゃん。景気や為替というファンダメンタルズの前提条件があって、そこでどうビジネスをしていくかということが重要なので、そこを言い訳にしたらもうすべて終わっちゃうよねという話なんですけど、そういうことは平気で言い訳になったりもする。最終的には「メーカーのプロモーションが弱いからだ」とか、「メーカーの協力がないからだ」みたいな話にも非常になりがちなので、どれだけマーケティング戦略をガッチリしたものをメーカー側が持って、KPIをしっかり決めて、それを一緒にやって、その経過をしっかり追っていくということをやるかということですよね。ボーンと任せて結果が出てみて、蓋を開けたら駄目だったら言い訳、よかったらどうだと。「おまえら、分かっていないんだから黙っておけ」みたいな話になってしまうので、そこはやっぱりね、任せるということ自体は別に否定はしませんけども、自分たちが戦略をしっかり持って、すべてを理解した上で任せるのと、全くよく分からないからおんぶに抱っこで丸投げですでは、得られる結果が全く違うので、そこはしっかり注意したほうがいいですよ、というのが1つですね。

あとね、ディストリビューターによっては、皆まで言わなければ伝わらないし、皆まで言っても伝わらないというケースがやっぱり往々にしてあって、日本で言うと、この日本人同士の阿吽の呼吸、言わなくても目の前の人が何を考えているか分かる、左隣、右隣の人が何を考えているか分かるって、この感覚ってやっぱりこの単一民族が1つの島国に住んで、その何千年の歴史の中で得ている感覚なので、こんなこと全くないんですよね。言わなきゃ分からないし、言っても分からないという、これぐらいのふうに思っておいたほうがいいですし、あと、契約書に書いていないことは守らない、やらない、ぐらいの話、これが世界の常識、ASEANの常識だったりするので、そういう意味では言う、言いにくいとかっていう感覚はもうなくしたほうがいいですよね。「いやー、これを言うと、ちょっと相手が悪い気するしな。言わなくてもきっと分かっているだろう」なんていう感覚は、もう一切必要ないので、しっかり言わないと伝わりませんよ、ということが大変重要ですよ。

図のほうに戻ってもらって、必要以上にコミュニケーションをやっぱりするということはすごく重要で、これも現場のレイヤー、経営のレイヤー。ディストリビューターは言ったって数百億、取り扱っているものが大きければもっと大きいところもありますけど、そのレベルの規模なので、これはやっぱり日本の担当役員がしっかりとディストリビューターの社長とコミュニケーションを取る、日本のマネージャークラスが、マネージャークラスというのはいわゆる主任さんとか課長さんレベルで向こうのディストリビューターの社長と会話をするって、これはなかなか、やっぱり、それなりの経験値に裏付けされたような主任さんとか課長さんみたいな、だいぶ頭2つ3つ出ているような人間力のあるような人じゃないと、なかなか話も聞いてもらえないと思うんですけども、なので、担当役員を引っ張ってこいという話なんですが、そこの各レイヤーでしっかりコミュニケーションを取るということと、あと、戦略をしっかり共有するということはすごく重要で、多くの日本企業は戦略がないですよね。「これは私たちの製品です。とてもいいです。ハイスペックです。売ってください。以上」みたいな。いや、そうじゃなくて、「自分たちはこう考えているので、ここのターゲットに対してリーチをしたい。ここのターゲットにリーチをする方法はこうなんです。それに対する経営資源がこうです」みたいなことをしっかりと整理立てて、マーケティングロジックにあてはめて考えていかないと、問題は必ず起きるんですよ。問題が起きたときに対策が打てないというのがもう最大の損失、損害なので、しっかりと戦略を共有する。KPIを共有する。それをベースにやっぱり管理育成をするということはすごく重要で、「いやいや、日本のメーカーがディストリビューターを管理育成なんて」って思われるかもしれませんけども、基本的にはディストリビューターよりも現地に市場のことを広く深く理解をしていなければ、ディストリビューターなんて使えないし、それぐらいやっぱり理解をしなければ。やれなくていいんです、やるのはディストリビューターなので。ただ、理解をするということは可能なので、理解をしないと、やっぱり問題が起きたときに対策が打てないし、どうやってうまく生かすのかということもなかなか難しいので、しっかりとそこはやっていくということは重要かなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。