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第338回 中小企業の「海外に出ない戦略」 その1

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も、前回に引き続き、中小企業の海外展開ということでお話をしていきたいと思います。

対象国は新興国全般なので、ASEANに限らず、南米でもいいですし、インドでもいいですし、アフリカでもいいですし、新興国全般というふうにしたいと思います。製造業が対象です。中小企業の製造業で、中小企業の定義はいろいろなんですが、ここでお話したい中小企業は、売上数十億円~数百億円前半のしっかりと利益が出ている企業ということでお話をしていきたいと思います。利益が出ていない中小企業が海外に出るということはほぼないと思いますので、基本的にはそのレンジを中小企業と定義付けたいと思います。

中小企業の海外展開の中で1つ私が、弊社は2割ぐらいは中小企業がやっぱりクライアントなので、その2割のお客さんと事業を進める中で推奨している戦略の1つに、「出ない戦略」というのがあります。「出ない戦略」というのはどういうことかと言うと、海外に法人であったり工場であったり合弁会社を設立しない、いわゆる法人設立をしないという進出の方法なんですよね。つまりは輸出でやりましょうと。まったく0の状態で現地に生産工場をつくったりとか、現地に販売拠点を持ったりとか。これは例えば生産拠点をつくって、そこでつくったものが現地の取引先、日系の取引先にもうすでに売れることが決まっているとか、現地で安くつくったものを日本の輸入し直して、日本で消費できるということが決まっているのであれば、これは工場を現地に持つということは全然問題ではないんですが。

現地で売る場合のための工場ですよね、現産して現販するための工場は安易に出すべきではないし、まず最初に販路を持つべきだし。現地に販売法人をつくって、そして、日本から輸入したものを現地で売っていくというようなことをやられる中小企業がまれにいるんですけれども、こういうのも多くが撤退という結末を迎えている。なぜかと言うと、中小企業の弱点って何かと言ったら、圧倒的な経営資源の少なさなんですよね。経営資源が少ない中で、現地に法人を持ってしまうと、売上がしっかり立って利益が出るまでの間に当然コストが掛かるわけですよね。法人維持費が掛かる、人件費が掛かる、あらゆる経費が掛かってくる。そうすると、出血をしていくわけなんですけども。当初想定しているよりも新興国で利益を出すっていうことは大変難しい。つまりは、3年で黒字化を当初は予定していたんだけど、これが5年、6年、7年になることなんてざらにあるんですよね。大企業でもそういうことが非常に多いのに、中小企業だとますますそのリスクが高くなる。その中で結局出血に耐えられなくてもう閉じてしまうと、損切して撤退をするというケースが非常に多くて。

出血をしないでまず海外をやるということはすごく重要で。それが1つ輸出なわけなんですけど、製造業なので。輸出でしっかり販路を築いてから、輸出ってもう天井があるので、B2CでもB2Bでも、ある一定の売上までくると、輸出ではもうそれ以上伸びないという天井がきます。その天井がきて初めて現地に法人を出す、現地に工場を出すということを検討すればいいので。まずは輸出の天井にぶつかりましょう、ということがすごく重要。

例えば、B2Cでも、輸出でやるということは、例えば食品・飲料・菓子・日用品等のFMCG、お菓子をつくっているメーカーでもいいですよね。輸出でやるということは、基本的にはあらゆる関税であったり、輸出のコスト、運送コストが乗ってくるので、日本で売っている金額よりも高くなるんですよね。1.5倍~2.5倍ぐらいになる、ものによってはですね。そうすると、当然これは新興国の最大の特徴である伝統小売には置くことができないので、基本的には近代小売が中心になるし。そもそも新興国と言っても、やっぱり国を狙うのではなくて、都市を狙うことになる。首都、最も1人あたりGDPの高い首都を狙うことになるし。また、国によってもASEANだけとっても、SMTをやるのとVIPをやるので、輸出をやるんだったら圧倒的にSMTなんですよね。SMTというのは、シンガポール・マレーシア・タイ、先進ASEANですよね。VIPみたいな、8割以上が伝統小売、Traditional Tradeの市場は、輸出でやっても近代小売の数がそもそも少ないのでなかなか儲からない。そうすると、やっぱりやりにくい国、難易度の高い国になるので。そういう切り分けをしながら、自分たちが勝ちやすい国から優先的に輸出を進めていくということをやっていく。ある程度天井にぶつかったら、さあ、いよいよ現地法人だという話になっていくわけですけども。

B2Bでも同じですよね。B2B、部品をつくっている会社で、もしくは設備の一部をつくっている会社、これもやっぱり外資系…、日系から狙う、外資系から狙う。ローカル系はやっぱり中国の安い部品を使うし、そこと競合しないといけないし、中国の安い設備を使うし、そこと競合する、なかなか太刀打ちができないということがありますので、基本的には日系外資になってくる。またこれもB2Bの場合は国の成熟度で進出先を決めるのではなくて、産業集積地で進出先を決めるということをしていかないといけない。必ずしも国が発展しているところでB2Bの消費が、需要があるかと言うと、そうではないですよね。そこに産業集積がされていて、その工場でその部品を使うから売れるんだとか、産業が集積されていて、その工場でその設備を使うから売れるんだということになっているので、B2Cとはそこがちょっと違うということで…。

時間ですね。すみません。今日はこれぐらいにして、最近、話が長くてすみません。また次回続きをやりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。また次回お会いいたしましょう。