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第337回 海外展開における「人脈」の罠

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、新興国展開をする上での人脈についてのお話をしていきたいなというふうに思います。

対象は引き続き中小企業、しばらく中小企業を対象にしてお話をしていきたいと思います。弊社も2割ぐらいのクライアントは中小企業ですので、中小企業向けのお話をしていきたいなというふうに思います。ここで言う中小企業というのは、売上数十億円~数百億円ぐらいの規模の会社を中小企業というふうに定義をしております。

それで、中小企業の人脈についてなんですが、新興国に展開すると、人脈というものが非常に重要になってくるんですよね。一方で、誤解をされている中小企業の社長さんってたくさんいて、人脈を戦略の代わりに使おうとされているというケースが非常に多いんですね、中小企業の場合。これは大企業になればなるほど減っていくんですよね。人脈というような俗人的なものに頼るということはしなくなってくるので、基本的には戦略ベースで、戦略ありきで人脈を使っていくということは非常に重要なんですけども。中小企業になればなるほど、自分たちが戦略をつくることに難易度を抱えるので、その難易度を人脈で補おうとする。そうなったときに事業って失敗をする、騙されたりとか、うまくいかなかったりというケースが非常に多くて。中小企業の海外展開の失敗の要因のかなりのウエイトを、この人脈というものが占めているというふうに言っても過言ではないと思います。私が申し上げたいのは、人脈ってすごく重要なんですけど、戦略の代わりにしては駄目ですよと。人脈って俗人的で、戦略って操縦可能、コントローラブルなんですね、戦略というのは。なぜならば、戦略というのは仮説検証を繰り返してつくっていきますから、ちょっとずつずれていったときに対策を打てるんですね。対策パッチどんどん打っていける。一方で人脈というのは、その人に委ねる、すがるということになりますから、これはアンコントローラブル。そもそもこういうふうにできると言っていた人脈ができませんと途中で言ったときに、えっ、話が違うじゃないかとなって、そこに対して対策がもう打てなくなってしまうんですね、その人脈頼りでずっときていますから。ですから、絶対に新興国に展開するときに、戦略の中心に人脈を置いては駄目だということを理解をしなきゃいけなくて。人脈というのは絶対に重要です。重要なんだけども、それは戦略という土台があって、その上で人脈を活用していくというふうにしないといけないということを注意する必要がある。

最近だともうそんなに多くはないと思いますけども、一昔前、20年とか、15年20年ぐらい前の中国もそうですけども、共産党員のコネクションが、強いコネがあるんだとか、武装警察と強いコネがあるとか、ASEANのほうに行けば財閥がどうだああだって、そういうことを口にする人がたくさんいたんですけども、私、この20年間、中国・ASEAN・インドで仕事をしてきて、人脈でどうこうなったことなんてないんですよね。戦略がなくて人脈だけですべてがうまくいったなんていう例は1例もなくて、人脈だけでうまくいった人も1人も見たことがない。確固たる戦略があって、そして初めて人脈がうまく機能したという、こういう例はたくさん見ています。もっと言うと、一中小企業のために日本では想像もつかないような雲の上の人脈が、何か手を差し伸べて経済合理性を与えてくれるというか、経済合理性というか、何か中小企業のために便宜を図るなんていうことはあり得ないんですよね、それって経済合理性がないので。誰にとっての経済合理性があるんですかと。なぜその中小企業は特別視されるのかってまったくもってそこに経済合理性はないので、そんなことはもうおとぎ話みたいな感じで絶対にあり得ない。今のアフリカでもあり得ないですよ、そんなことは。僕、仕事でアフリカにもコロナ前はずっと毎年行ってましたけども、アフリカでもあり得ないものが、今のASEANとか中国であり得るかと言ったら、絶対にあり得ないので、そんなことはないと。事実、人脈があれば人に会いやすいとか、話をしやすいとか、商談しやすいって、そういうのは事実あります。ただ、人脈ですべてがポンポンポンとうまくいくなんていうことは絶対にあり得ないので。日本の常識だと考えられないような発言をしてくる。例えば、共産党に強いコネがあるとか、財閥に強いコネがあるとか、この人は何って、そんなの日本で聞いたらもう詐欺師確定という話なので、そういう日本で聞くと違和感のあることを新興国で聞くとなぜか日本人ってスッと受け入れてしまうということが往々にしてあって。いや、ちょっと待ってよと、日本で置き換えてくれと。日本でこの話聞いたら、私どう思うだろうということを考えていただいて、いやいや、日本でこんな話を聞いたら絶対信じられないと思ったら、同じように新興国でも信じないということが鉄則になると思います。中小企業はそういうものをどんどん信じてしまうので。

重要なのは…。人脈は重要です。人脈を否定しているわけではありません。ただ、人脈というのはアンコントローラブルなので、その人脈、期待していた人脈が途中であてにならなくなったときに対策が打てませんよと。一方で戦略というのはコントローラブルなので、想定外のことが起きても、そこに対して対策を打ち続けていけるという、こういうメリットがあります。人脈は重要ですけども、戦略の代わりに人脈を使ってはいけない。戦略というものが土台としてあった上でどうやって人脈を生かしていくかということを考える必要があります。

ということで人脈のお話でございました。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。