第34回 STPの重要性

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テキスト版

戦略をたてる際、多くの日本企業は「ターゲティング」と「ポジショニング」を誤ってしまいます。この2点を改善すれば、マーケットシェアは格段に変わります。そこには、必ず抑えたいポイントが存在するのです。マーケティング手法である「STP」の解説と共に、この2点の重要性について解説します。

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みなさんこんにちは。スパイダーの森辺です。
今日はSTPの重要性についてお話します。多くの日本の消費財メーカーはアジア新興国展開において、STPでボタンの掛け違いを起こしてしまいます。それが故に現地で高いマーケットシェアを取れないという結果につながる企業は少なくありません。逆に言えば、このSTPを正せば、現地でのマーケットシェアは格段に変わります。今日はSTPの重要性について一緒に学んでいきましょう。

まず、最初に申し上げたいのは、多くの日本の消費財メーカーはSTPの最初のSであるセグメンテーションは無難にこなします。問題はターゲティング とポジショニング。この2つを変える必要があるのです。STPとはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの略で、最初 のセグメンテーションとは市場の中で同じような欲求や行動を持つ集団をいかにグループ化すること。これはいわゆる現状を可視化し整理をするということですので、多く の日本の消費財メーカーもここまでは無難にこなす。ただ、このターゲティング。ターゲティング とは、セグメンテーションをした市場から、自社にふさわしい市場を決めること。市場の魅力と自社の能力でセグメントを選ぶというのがターゲティングになるわけですが、ここ で大きな間違いを犯してしまう。多くの日本の消費財メーカーは自分たちの商品は、いい原材料を使い高い技術力でいいものを使っているので、中間層が大切だと、アジア新興国では莫大なボリュームゾーンである中間層が大切だということを頭では理解していても、それが自社にふさわしい市場という理解をしません。結果、耳障り のいい富裕層や、上位中間層という言葉に流され、ターゲットが上振れする。上振れしてしまう結果、アジア新興国の様な中間層が大多数の市場に出ながら、ごくわずかな特殊な富裕層や、上位中間層というところにターゲットを置いてしまう。
結局多くの日本の消費財メーカーの本当の心の中には、できれば日本で売っている商品をあんまり変えずに、価格もちょっと下げるくらいでアジアで売れたらいいな、という気持ちがどうしてもある。したがって中間層を自社にふさわしい市場と決めることが出来ない。そして、結果 ポジショニングとは、製品やサービスをターゲットの心の中に独自化すること。独自化とはその製品やサービスがターゲットの心の中で、他とは異なる特別な存在として認識させること。言ったら自分 たちの製品はいいものなんだ、他社とは違うんだよということをポジショニングしたがる。が故に、また中間層を狙えない。しかし、ど真ん中の中間層を狙っているユニリーバや、ネスレ、のポジショニングが決して下かというとそんなことはない。彼らは中間層以下を最大限狙った上で、高いポジショニングを発揮している。
つまり申し上げたいのは、アジア新興国の最大の魅力は中間層です。そして、中間層にターゲットを置く、ターゲティング が中間層であるということが絶対的に重要なのがアジア新興国のマーケット。したがって、自社にふさわしい市場。みなさんにとってふさわしい市場は中間層でなくてはならなくて、その 中間層に合う製品をどう開発するか。中間層に合う価格帯にどう抑えるかということが重要で、ボタンの掛け違いはこのターゲティングで起きているのです。このターゲティングを改善すれば、みなさんのマーケットシェアは格段に上がります。

それではみなさん、また次回お会いいたしましょう。