HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第346回 「誰と売るか」よりも「誰に売るか」が先 その1

動画番組 スパイダー・チャンネル

第346回 「誰と売るか」よりも「誰に売るか」が先 その1

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、中小企業向けのお話をしていきたいと思います。

この番組で過去中小企業向けの話というのはそんなにしてこなかったんですが、私のクライアントが大企業中心であるということもあって、中小企業向けの話ってそんなにしてこなかったんですけど、最近2割ぐらいが中小企業になってきましたので、今日も引き続き、中小企業向けの話をしていきたいと思います。あと何回かにわたって中小企業のシリーズということでやらせていただきたいなというふうに思います。ただ、中小企業向けと言っても、大企業の1部門のグローバル展開とか海外展開というのはまだまだ中小企業1社ぐらいのお話であるケースというのが多いと思うんですよね。売上数億円、数十億円ぐらいの事業部で海外展開、輸出でしかやれていないとzいうところはまさに中小企業1社と同じぐらいですので、大企業の部門にとっても十分役に立つ話だと思います。

繰り返しになりますけど、ここで言う中小企業というのは、EBITDAでしっかり利益が出ているということが条件です。俗に言う、零細企業を中小企業というふうに解釈をしている定義もありますけれども、私の定義は売上数十億円~数百億円で、EBITDAでしっかりと利益が出ているということが条件になります。

今日のお話なんですが…。今日のお話は「誰と売るか」よりも「誰と売るか」を徹底的に考えるということで、ターゲティングの重要性についてお話をしていきたいと思います。中小企業じゃなくても、これは大企業でも一緒なので、特に今日の話は中小企業向けじゃないかもしれませんけども、特に新興国に限った話ではなくて、これは先進国だろうが新興国だろうがどちらでも同じなんですが、多くの失敗をしてしまう企業というのは、「誰に売るか」ということよりも「誰と売るか」ということのほうに神経がいっていて、「パートナーを誰にしよう」とか、「大手だから安心だ」「財閥系だから安心だ」「商社にお願いすればリスクがない」とか、こっちの「誰と売る」というところにフォーカスがいってしまうんですよね。でも、実はすごく重要なのって、「誰に売るか」ということのほうが「誰と売るか」よりも圧倒的に重要で。実際に、マーケティングでは「誰に何をどう売るか」ということがマーケティングですから、この「誰に」というものが一番最初に来ないと「何を」売るかも決まらないし「誰と売るか」も決まらないんですよね。

日本企業の大手の失敗事例というのは、だいたいパートナーとの失敗というのは、結局、「誰に売りたいか」ということを明確にしなかったから、この「誰に売れる人」と本当は一緒に売らなきゃいけないのに、「誰に売りたいか」を後回しにしてしまって、「誰と売りたいか」を先に考えてしまったので、いわゆるこの「誰に売れる」、売りたい相手に売れる相手を探すのではなくて、「規模がでかい」とか、「財閥系で安心できる」とか、そういうあまり関係のない理由で選んでしまっている、実は一見向いてそうで不向きな相手を選んでしまっているという例が非常に多くて、それが原因で失敗をしてしまっているので、狙うべきターゲットを明確にするということはすごく重要で。

ちょっとスライドをお願いします。この図の通り、「誰に売るか」ということをまず考える。B2Cであれば、実際には消費者なんですよね、B2Cの場合は。富裕層、中間層がいたときに、「どの消費者に売るんですか」「女性なんですか、男性なんですか」「年齢層はどうですか」とか、いろいろあるんですけど、基本的に新興国と言ったときに、消費者ってB2Cは、大手はボリュームを取っていきたいので、ボリュームゾーン、中間層、つまりは中間層であるということは非常に重要なんですけど、中小企業の場合、求めている売上、輸出額が1億円とかね、いっても10億円とかだとすると、基本的には必ずしも中間層に限らない、富裕層だったりもするんですよね。なので、本当はこの「どういう消費者に売るべきなのか」というのが本来の「誰に売るのか」なんですけども、中小企業の場合は、B2Cに限っては「どこのお店で売りたいのか」ということを「誰に」と置き換えても構わないというふうに私は説明をしています。

例えば、「富裕層を狙いたい」とした場合に、首都圏の富裕層が買い物をする小売はA社とB社とC社であると。D社、E社、F社になってくると比較的中間層も混じってくるし、郊外に店舗があるので、これはターゲットじゃないと。なので、自分たちが売りたい売り場というのはA社、B社、C社なんだ、A小売、B小売、C小売なんだということで小売を特定するんですよね、先に。先に小売を特定すれば、じゃあ、「A小売、B小売、C小売に商品を配荷できるディストリビューターはどこなんだ」ということで、次に「誰と売るか」ということを決められるわけですよね。先に「誰と売るか」を決めると、どのディストリビューターも「私たちに任せておけ」と、「私たちはもうすべての小売と取引をしているし、すべての小売と強い関係がある」とみんな口を揃えて言うと。だた、この「強い」の度合いが分からなくて、結局、よさそうだなと思って試してみたんだけども、実は自分たちが最も売りたいA小売、B小売、C小売には全然商品が配荷できてなくて、それ以外の小売に売っているディストリビューターだったと。ここといくらやっても永遠にA小売、B小売、C小売には商品入らないよねという結果になってしまっているということは往々にしてあるわけなんですよね。なので、基本的には、「どの小売に売りたいのか」ということを決めていくと。

B2Bの場合は、まずインダストリーですよね。「自分たちの商品をどのインダストリーの企業にまず売っていくんですか」と。なぜならば、インダストリーによっていわゆるセールスのプロセスが標準化できるわけですよね。違うインダストリーにモノを売っていくということは用途が違ったりするので標準化しにくいので、基本的にはインダストリー毎に分ける。「どのインダストリーに売るのか」というだけではもう不十分で、「どのインダストリーのどの企業に売りたいんだ」とバイネームでやっぱり企業名を洗い出していくということはすごく重要で。そうすると、「これらの企業にセールスができるディストリビューターってどこですか、もしくはエージェントってどこですか」ということでパートナーを探していくことになるので。まず、やっぱり「誰に売るか」ということを考える。「誰と売るか」よりも「誰に売るか」が重要。「誰に売るか」を先に考えれば、そこに売れる先が「誰と」になるので、必ず「ターゲティングファーストで、パートナーはセカンドですよ」ということを注意をするということは大変重要です。

時間なので今日はこれぐらいにして、また次回続きをやっていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。