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第350回 ディストリビューター選定で成否の7割は決まる その3

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、前回同様、ディストリビューター選びで海外展開の7割が決まってしまいますよということについてお話をしたいと思います。何回か前のこの番組で、「誰と売るか」よりも「誰に売るか」を先に決めろという話をしています。その「誰に売るか」が決まった段階で実際にディストリビューターを選ぶわけなんですけども、多くの日本の企業は、大企業含めて、「誰に売るか」よりも「誰と売るか」のほうが優先されてしまって。そうすると、結局、本来良いディストリビューターの定義というのは、「誰に売りたいのか」というものがあるわけなので、この「誰に売りたい」、売りたい相手に売れるディストリビューターが良いディストリビューターなわけですよね。このディストリビューターが大きかろうが小さかろうが、良い人だろうが悪い人だろうが、基本的には自分たちが売りたいターゲットに売れないディストリビューターは悪いディストリビューターだし、売れるディストリビューターは良いディストリビューターになるわけですよね。こういう基準で選定をしていかないといけないのに、日本の多くのメーカーのディストリビューターの選定基準があいまいなのはそういうことで、いわゆる大手がどうか、支払のリスクがないかとか、それももちろん重要なんですけども、本来、最も重要な「自分たちのターゲットに売る力のあるディストリビューターなのかどうなのか」というところの定義があいまいになってしまっていて。これがあいまいだと、海外の事業、特に中小企業の場合は「誰と売るか」ということがものすごく重要になってくるわけですよね、自分は進出しませんから。大企業でも輸出でやるというときは、結局、自分たちが商品を輸出した先の国で自分たちに代わって売ってくれる相手の存在というのは非常に重要になってくるので、この選定を間違えるとなかなかうまくいかないですよと。なので、「成功可否の7割がこの選定で決まってしまいますよ」というお話をしています。

スライドをお願いします。本来は、強固な販売チャネルというのは、われわれが日本の大手の製造業と一緒に販売チャネルをつくるときは、発掘選定、ディストリビューターの発掘選定をやって、契約交渉をやって、管理育成という、この3つのことをやるわけなんですけども、今、今日お話しているのは、この一番最初の発掘選定のところですよね。ここが、もう1枚目のスライドをお願いします。こっちのほうがちょっと分かりやすいので。これは黄色いところを拡大しているというか、黄色いところにフォーカスをした図なんですけども。結局、ディストリビューター選びというものを、自分たちが今、手の届く範囲のディストリビューターの中からディストリビューターを選ぶとか、出会いで決めてしまうと。海外に中小企業の社長が出ていって、日本語がしゃべれて「現地のことは任せろ」と、「私が全部分かっている」と言われたら、もうこんなに頼れる人はいないと思い込むんですよね。日本人というのは性善説で物事をやっぱり考えがちな民族なので。海を超えると特にそれが顕著で、海を越えてそんなことを言われた日には、もうグーッとのめり込んでいくということなんですけども。実は冷静に考えたときに、自分たちのターゲットに本当に売れるか売れないかということが重要であって、それ以外の要素というのは重要じゃないんですよね。そうなったときに、やっぱりディストリビューターというものをすべてリストアップをして、そして、それを自分たちが売りたい先に売れるのかどうなのかという基準でグーッと絞り込んでいく。これは1民間企業がやれるようなことではないので、しっかり専門業者に外注をする、依頼をしてやるというね。別に私の会社の宣伝をしているわけじゃないんですけども、餅は餅屋なので、専門家に任せるということはやっぱり重要で。そこの費用をケチるということをするのであれば、そもそも海外に出るべきじゃないし、選んだ相手を間違えれば、そこで3年5年は損をするわけなので。そう考えたら、その費用なんていうのは微々たるものだと思うので、しっかりと選定をしていきましょうねという話を前回、前々回とやったわけですね。

1枚目のスライドに戻ってもらって。2番目のこの契約交渉の青いところですね。契約交渉に関しては、基本的には中小企業、よくある日本企業の海外の新興国のディストリビューション契約というのは「単年度契約の非独占」というのが言ったらお決まりのパターンです、大企業も。なんですけども、これを敢えて複数年度の独占契約に持っていくということをすべきだというふうに私は思います。なぜならば、これ、単年度の契約って、なぜ単年度にしているかと言ったらメーカー側が安心だからですよね。何かあっても1年で一応見直しができるという安心材料として単年にしていますと。もう一方で、独占契約じゃなくて非独占にしているというのは、一応もう事実上この1社とやるわけで、ほかのディストリビューターを使いませんから、事実上独占なのに非独占契約にするという、これも安心したいからやっているんですけど。こんな意味のないことはなくて、本当に保守的な安心のための、相手のやる気をそぐというね。ディストリビューター側の立場になってみたら、「単年で切られるかもしれない相手に投資なんかしないよ」という話になっちゃうし、「どうせ独占でやらせてくれなくて、他のディストリビューターを使うかもしれない、そんな相手に投資なんかしないよ」というマインドセットにどうしても持っていっちゃうわけですよね。

海外で新たなモノを売る。日本企業だから大したプロモーション費用も出さないくせに、契約を単年にして、結局、結果的に独占なのに非独占契約にするなんて、それもすべては自分の安心のためにって、こんな身勝手なことをやっていたらディストリビューターは絶対に本気にならないので、ここを敢えてリスクを取りにいくということをすると。

ただ、これはリスクじゃないんですよね。結局、複数年度、3年の契約ですと、3年間頑張ってください。あなた、投資してくださいと。独占ですと、3年間あなたの独占ですと。なんだけども、最低売上保証みたいな項目をしっかりとコミットメントをつける。初年度で最低これだけは買ってください、次年度で最低これだけは買ってください、3年目でこれだけは最低買ってくださいと、そうすれば、複数年度契約の独占契約が維持されると。もしそれが買えなかったら単年度契約に戻せばいいわけなので、別にこれは達成しなかったから解約ですというつもりも別にないわけですよね。単年度契約に戻すということなので。そういうことをして複数年度の独占ということにしっかりしていくということが大変重要ですよと。

管理育成に関しては、中小企業で管理育成までできませんから、これは大企業でもできていないのに、これをやるということは難しい。ただ、1つ言えることは、この赤いところですね、図のね。ディストリビューター以上に市場を熟知する努力をすることは、やっぱり絶対にしないといけない。ディストリビューターが売る人だから、「自分たちはつくる人、ディストリビューターは売る人ね」ということで、売ることのすべてをディストリビューターに任せたら、結局これ、うまくいっているときはディストリビューターの言いなりになっちゃうし、うまくいっていないときはディストリビューターの言い訳を聞くだけになってしまう。そして、何か言っても、おまえたち分かっていないんだから、口を出すなと。最後、言い訳は、景気が悪い、為替が悪いということになってしまうので、こんなの戦略でも何でもないので。基本的にはディストリビューターに任せるんだけども、ディストリビューター以上に市場のことを熟知する、そして、ディストリビューターと議論できるレベルに自分たちを持っていく努力をしっかりするということが、最終的には管理育成につながっていくので、この3つをしっかりやれば、強固な販売チャネルは中小企業でもつくれるというふうに思いますので、ぜひ皆さんもやってみてください。

それでは今日はこれまでにして、また次回お会いいたしましょう。