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第357回 中小企業の海外市場における5つの戦い方 その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、「今は海外に出ない」も立派な経営判断ですよということで、中小企業向けのお話をしていきます。
シリーズでずっと中小企業向けのお話をしてきましたが、今日で中小企業向けの話は一旦終わりになります。また、中小企業の定義ですけども、ここで言う中小企業の定義とは、売上数十億円から数百億円で、EBITDAでしっかりと利益が出ているということが最低条件になります。

シリーズで、私どものクライアントはなかなか中小企業が少ないと、選ばざるを得ないということで8割が大企業になってしまっているので、中小企業向けの話をこの番組でする機会が少なかったんですけど、今回15回…、20回ぐらいやったんですかね。だいぶ中小企業向けの話ができたんじゃないかなというふうに思います。

その総集編ということで、中小企業は大企業と同じ戦い方をしても駄目ですよと、しっかりと準備が整っていないのであれば、出ないという経営判断を…、これは別に今出ないという経営判断も立派な経営判断だし、いずれ出る必要があるのかもしれない。だから、われわれは出ないで国内だけでやっていくんですというのももちろん選択肢なんだけども、われわれが出なくても攻め入られるということも一方で考えていくと、やっぱりいずれは戦えるような状態をつくっていかないといけない、そんなふうに思います。

中小企業は大企業に比べて経営資源が圧倒的に少ない中で、大企業と同じ戦い方をすべきではないし、中小企業が海外で求めている売上がそもそも大企業みたいに100億、200億、ひいては500億、1,000億って、そういう世界じゃないわけですよね。まずは数億、そして数十億というレベルの中で、やり方をやっぱり中小企業のやり方に変えていかないといけない、その話をずっとこの番組でもしてきたわけですけども、その中で非常に重要な、中小企業が海外で成功するために重要な、新興国で成功するために重要な5つのポイントについて、今日はちょっと解説をしていきたいと思います。

スライドをお願いします。まず1つ目、出ない戦略の徹底ですよという。これはどういうことかと言うと、とにかく海外に法人をつくるということをしない。これはどういうことかと言うと、言ったら、海外に生産拠点を設けて、そこでつくったものをしっかりと日本で買ってくれる先がもう確定しているとか、現地で買ってもらえる親会社的なところがしっかりとあるということであれば、生産拠点を現地につくるということは構わないと思います。投資対効果が容易に計算できるので。ただ、現地でつくって現地で売るみたいなことを安易に判断してやらないということはすごく重要で。また、営業法人を現地にポーンと置いて、現地で売上を上げていくんだと。結局、まったく無の状態から販売チャネルもない、知名度もない、信用もない、顧客もない、何もない状態で法人を現地に設置すると、固定費が掛かるわけですよね。当然、最初は持ち出しで赤字を抱えていくんだと。赤字を3年で計画していたのが、3年で黒字化するなんていうことはまずないんですよね。計画の倍ぐらい伸びていくわけですよ。大企業でも5年経っても6年経ってもまだ黒字にならない。無理やり本社から数字の調整をして、無理黒みたいなことをして黒字化している企業だってあるぐらいなのに、中小企業が計画通りに黒字化を達成するなんてことはほぼなくて。そうすると、現地の固定費が重くなる。現地で雇用した人を解雇しないといけない。いろんな問題が出てくるので、まずは輸出でできることをやるということはすごく重要で。

輸出でどこまでできるかということをやっぱり見極めないといけない。輸出でできる範囲で、必ず天井が来るんですよね、輸出でできることは、B2CでもB2Bでも。天井が来たタイミングで徐々に現地化に切り替えていくと、ある程度の売上がある前提で海外展開が、海外進出ができるので、非常にリスクが少ないので、とにかく最初から出ないという戦略を徹底しましょうね、輸出ですよということが1つですね。

話が長いので、今回1回で終わらないかもしれないですね。

2つ目、攻めやすい国、都市を選ぶということ、これもすごく重要で。なぜ海外、一番最初のASEAN展開でベトナムなんですかと。ベトナムってVIPと言われる、VIPの一角でベトナム、インドネシア、フィリピン、言ったらASEANの中で最も人口が多いグループですよね。ベトナムで1億弱、フィリピンで1億強、インドネシアで2.7億という、こういう巨大市場で、将来、最も成長するだろうと言われているASEANなので、確かに大きいんですけど、もっと攻めやすい国ってASEANの中にはあって、SMT、シンガポール、マレーシア、タイ、これがやっぱり先進ASEANと言われて、特に首都に関しては、われわれ日本と変わらない、もしくは日本以上に進んでいる。その次にVIP、これはまだまだ、小売で言うと、B2Cで言うと伝統小売の市場であったりするわけですよね。B2Bで言うと産業集積地が非常に限られている。次にメコン経済圏、ミャンマー、カンボジア、ラオスということで、言ったらもう本当に難しい市場。その中で突然ベトナムに出たりとか、支離滅裂なわけですよね。やっぱり成功しやすい国というのはあるので、ASEANよりも容易な国、例えば台湾とか、香港、今は日韓関係のあれがありますけど、韓国とか、こういったところはより攻めやすい国でもあるし。

もっと言うと、都市なんですよね。タイをやるのではなくてバンコクをやると、マレーシアをやるのではなくてクアラルンプールをやるということなので、都市を攻めるというマインドに変えないといけない。日本みたいに、沖縄から北海道まで全国フラットな市場じゃないわけですよね。首都と、ごめんなさい、都市を狙うというか、首都を狙うですね。首都とそれ以外とでこんなに差がある、所得の差がある市場で、これ、国を狙うなんていうマインドでやっていたら成功はしないので、やっぱりそこは首都を狙っていくということは中小企業は重要で。高々数億やるのに、タイ全土なんか要らないんですよ。バンコクだけやればいいんですよね。なので、とにかく中小企業の海外展開は選択と集中、スピードを上げないといけないですから選択と集中、経営資源で戦わないということはすごく重要で。

ちょっと時間が来ちゃったので。すみません。今日で最後と言いましたけど、もう1回やらせてください。次回、その3をやっていきたいと思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。