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第364回 【Q&A】伝統小売への導入率を上げる方法 その1

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、皆さんからの質問にお答えをしていきたいと思います。よろしくお願いします。

早速スライドをお願いします。今日は、伝統小売への導入がなかなか進まないということで、消費財メーカーからの質問でございます。「近代小売(MT)への導入率は比較的はよいのですが、伝統小売(TT)はなかなか導入が進みません。伝統小売における導入率を上げるにはどうしたらよいでしょうか」ということです。

結論を先に申し上げると、モノとチャネルを変える必要があります。モノというのは、モノそのものを本質的に変えるということよりも、梱包形態を変えるというふうに言ったほうがいいですかね。販売チャネルに関しては、これはもうストラクチャーがそもそも伝統小売に合っているのか、合っていないのかということになるので、その辺についてちょっと詳しく説明をしていきたいなというふうに思います。

その前に、この質問をしている企業の背景を含めて、どういう企業であれば伝統小売に入れるのかということも含めてザッとお話をしていきたいんですが。まず、伝統小売は輸出では狙えません。ということは、この質問をしてきている消費財メーカーは、ある程度規模の大きな現地法人を持っているような会社であろうということでございます。近代小売への導入率は比較的よいということなので、近代小売にはすでに入っていて、現地に法人があって、それで伝統小売をどうしたらいいのかと。おそらく9割方の日本の大手の消費財メーカーの課題ってここなんですよね。基本的には、非常にマーケットの大きい国にはすでに現地法人があって、現地で近代小売は何とかやっているんだけども、結局、伝統小売になかなか入りきれていないんだと。マーケットがまだまだ小さい国では輸出でやっていますよと。メインの棚で売るというよりかは、どちらかと言うと、高級食材とか高級消費財として輸入品棚に置かれたり、日系の匂いのするような小売でしか売られていなかったりという、こういう感じのアジア新興国展開をしていると。

この中で、伝統小売に売るということは、まず考えるべきは、ある程度のステージまで進んだ企業でないと伝統小売を狙うなんていうことはすべきではないですよと。輸出でビジネスがアジア新興国全体でできていないのに、いきなり伝統小売をやるというのは。伝統小売でアジアと言うと、もうベトナム、インドネシア、フィリピンなんですね、中心は。ベトナムの伝統小売って50万店ぐらいあります。フィリピンが80万店、インドネシアが300万店で一番大きいんですけども。あと、メコン経済圏ですよね。ミャンマーは今あんなことになっていますけど、ミャンマーとかカンボジア、ラオスみたいなところが伝統小売の主戦場です。このASEANの今申し上げた3、3の6カ国というのは非常に難易度が高いので、マレーシア、シンガポール、タイが終わっていないのに、いきなりそこへ行って伝統小売をやるなんていうのはもう論外だし、ベトナムやインドネシア、フィリピンを攻略できていないのに、いきなりミャンマーをやる、カンボジアをやる、これも論外なので、順番がありますよということを1つ理解をするということは必要です。

あと、伝統小売というのは、近代小売の売れ筋しか扱いません。どの国へ行っても伝統小売というのは非常に店の幅が小さい、奥行きも小さい、店員が1人みたいなところに商品が置かれている。もちろん伝統小売も大・中・小とあるので、店員が2~3人いるようなところもあります。地域の一番店みたいなところですね。ただ、基本的には伝統小売で売るものというか、伝統小売のオーナーは何を売りたいかと言うと、あの狭い店舗に売れないものをずっと置いておくことはできないので、いかに近代小売で売れ筋になるかということが非常に重要です。先ほどの、いわゆる難易度の高い国、低い国の順序のように、伝統小売をやる上でもその国の近代小売をまず制してからでないと伝統小売には行けませんよと。近代小売で売れ筋になっていないのに、伝統小売のオーナーに頼み込んで。人情で置いてはくれます。置いてはくれるんだけども、結局売れなかったら埃を被るだけなので、返品されるわけですよね。もしくは返品を受け付けなかったとしても、それはそのまま二度と注文されないということになるので、また敗者復活戦をやろうと思っても、なかなか入れなくなるということになるので、基本的にはその国の近代小売の導入が先ですよと。近代小売で売れ筋にならないと、なかなか伝統小売では扱ってくれませんよという大前提があります。

この順序を持って、じゃあ、いよいよ「伝統小売の導入率を上げるにはどうしたらいいんですか」というお話になってくるんですけども。まず、伝統小売で買う人ってどういう人なんだろうということを考えていったときに、決して貧困層が伝統小売で買うんじゃないんですよね。お金のない人が買うのではない。これは誤解している人が結構いるんですけど、お金持ちは近代小売で買って、お金のない人は伝統小売に行くんだ、そうじゃないんですよね。われわれにとってコンビニのような存在で、家からパッと出たら数メートル先に伝統小売があって、日用品なんかはそこで買ったりするわけですね。

また、伝統小売がどんなメリットがあるかと言うと、実は伝統小売って近代小売よりもモノは高いんですよ。これはびっくりされるんですけど、モノは高いんです。例えば、1個単価とかグラム単価で考えると伝統小売のほうが圧倒的に高い。ただ、何がすごいかって、近代小売では10個入りでしか売ってないものを1個からばらで売ってくれるというのが伝統小売の最大の魅力で。アジア新興国の人たちっていうのは、キャッシュ・フローがないんですよ。貯金がないんです。なので、来月、再来月まで使うような大きいボトルのシャンプーを買えない家庭もあるわけですよね。シャンプーを毎日しない家庭もある。週に2回だと、3回だと。なかなかASEAN、最近それは少なくなってきましたけどね、首都に関してはね。でも、インドとかバングラディシュになんかに行ったらまだまだそういう人たちはいるわけですよね。出掛けるときにシャンプーするんだと。週に1回シャンプーするんだと。そうすると、日本人みたいにこんなでっかいプッシュボトルのシャンプーを買って、それを棚の下にもう2つぐらい備蓄しておいて、そんなこと絶対できないわけですよね。頭が痛い。頭痛薬が欲しい。でも、24錠。24錠って、もしかしたら、これを次使うのは来年かもしれない。そうなったときに1錠から買えるということはすごく重要で。これができるのが伝統小売。そうなってくると、さっきモノを変えなきゃいけない、梱包形態を変えなきゃいけないという話はまさにここの話で、いわゆるどれだけ消費者が買いやすい状態をそこで実現できるかということなんですよね。ばら売りしなさいということなんですよね。近代小売で10個で売っているものを1個から売れるようにすると。結局、近代小売よりも10%15%高いんですよ。何なら20%高いかもしれない、1個あたりの単価で考えたら。でも、それでも消費者は自分のキャッシュ・フロー、使うキャッシュ・フローは全然小さいわけです。少ない金額で済むわけですから、そっちのほうが彼らにとってはメリットがある。だから、伝統小売を使うわけなんですよね。

伝統小売を使う理由というのは2つあって。めちゃめちゃ便利ですと。家から数メーター先にすぐあると。帰り、バイクでブーンと帰っている路上にそのままバイクを停めてすぐ買えるという、こういう利便性も1つですけども、いかに自分が今欲しい分だけが買えるかということが最大の伝統小売の魅力なので、これを満たせる商品形態にするということがもう絶対重要で、これが満たせていないと伝統小売の導入には至らないというのがまず1つ。

ちょっと時間が来ちゃったので、今日はこの辺で切りますけども、引き続き、次回またお話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。