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第394回 【本の解説】グローバル市場における日本企業の立ち位置

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日からちょっと新しい企画というか、新しい内容でお話をしていこうかなというふうに思っているんですが…。

去年、私が出した本で、日本実業出版社からこういう本を出しています。『この1冊ですべてがわかる グローバル・マーケティングの基本』ということで、こういう本を出しているんですが。動画の概要欄にもリンクを貼っておきますけども、この本の解説を1章ごとにしばらくやっていこうかなというふうに思っています。僕もそうなんですけどね、本を書いておいてこういうことを言うのもあれなんですけど、ほんと本を読むのが苦手で、文字を読むのがすごく苦手で、書くのも苦手なんですけど。(笑)ある程度、人が説明して耳から入ってくるほうが、僕は吸収がしやすいので、そんな動画があってもいいのかなということで、ちょっとそんなことをやっていこうかなというふうに思いました。

早速ですけども、第1章の、目次はザーッと飛ばしてもらって、第1章の12ページの「1-1 グローバル市場における日本企業の立ち位置」ということで、これ全部を詳しく説明していってもなかなか、それほど深く説明する必要もないような項目もありますので、僕が本当にしっかりとここはお話したほうがいいなというところはしっかりと説明しますが、飛ばしてもいいんじゃないかなというところはちょっとザーッと飛ばしてですね。

まず、1-1ですね、12ページから、グローバル市場における日本企業の立ち位置ということで。この本はもともと消費財メーカー向けに書いた本なんですよね。もちろんB2Bの製造業にとっても十分に役に立つ内容だと思います。自分たちの事業に置き換えて捉えてもらえれば、基本的にはB2CもB2Bも同じなので、日本企業の弱点という意味では攻略しなければいけないポイントというのは同じなので。ただ、B2Cのほうがリテールが入る分、一階層多いんですよね。なので、もしかすると少し複雑、また消費者、日本の消費者とは大きく異なる消費者の商習慣であったり文化というものが大きく影響しているので、少し難易度が高くなるかもしれませんが、そういう意味でB2C向けに書いていて。その中で「グローバル市場における日本の立ち位置ってどうなの?」というお話をしているのが1-1で。

かつて、80年代90年代、「Japan as No.1」と呼ばれた時代が確かにあって、私なんかも80年代90年代シンガポールに住んでいましたけども、まあまあ日本人であることの優位性というか、というものを非常に子どもながらに感じていました。なんて素晴らしい人種なんだと、なんでこんなにASEANの市場で尊敬をされているんだろうということをすごく感じた時代がありましたので。ASEANに行ってもやっぱり目に移るものというのは日本製が多かったですし、今みたいに中国製があんなにたくさんあるような時代ではなかったですし。そんな中で日本の優位性というのはすごく感じていて、そんな時代だったと。

ただもう皆さんご承知の通り、今はそんなことはなくて、特にこの本においても、消費財メーカーを対象にして書いているわけですけども。その消費財メーカーの業界においても…。ちょっとスライドをお願いします。このスライドのように、これは世界の10大消費財メーカーとそのブランドになるんですが、コカ・コーラからペプシコ、ジェネラルミューズ、ケロッグ、マース、ユニリーバ、ジョンソンアンドジョンソン、P&G、ネスレ、クラフトということで、これは決して欧米の話をしているんじゃなくて、世界、アジアも含めて、ASEANも含めて、世界の10大消費財メーカーと言うとこういう状況になっている。日本の味の素であったり、花王であったり、キッコーマンですら、ここにはなかなか入ってこれない。もちろん何をもって「世界の10大」というふうに呼ぶのかということなんですけど、売上、時価総額、知名度、ブランド力、いろんな指標がありますけども、いずれの指標においてもだいたい10大消費財メーカーというと、この10社になってしまうということで、日本の存在感というのは年々低下をしていると。もちろんマーケットシェアもです。日本で消費財メーカーでやっぱり網羅的にアジア新興国市場で成功していると胸を張って言えるような企業というのは、やっぱりユニ・チャームと味の素、この辺りにどうしてもなってきてしまうんじゃないかなというふうに思います。

なぜこんなふうになってしまったかという要因なんですが、やっぱり日本企業はどうしても品質の高さみたいなところが自分たちの優位性のコアになっているので、そこがやっぱりマーケティングの中でも最も重要視されて。例えば4Pで考えるときに、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションと4Pがあったときに、プロダクトの品質の良さというものが前面に出てしまって、ほかの3つのPが置き去りになっちゃうんですよね。けど、消費者に物理的に商品を届けるのはチャネルなのでプレイスですし。じゃあ、小売店に並んだ商品に消費者の手を伸ばさせるというのはプロモーションの力なので、実際にはチャネルとプロモーションが最も重要で、プロダクトというのはもちろん重要なんですけども、じゃあ、それが、品質がいいからほかの3つのPを置き去りにしていいかって言うとまったくそんなことはなくて。むしろ品質の良さというのは食べたあとでしか分からないですし、日本人がいいと思う、日本人が求めてる高い品質を本当にアジア新興国の人たちが求めているのかと言うと、またそれもそうじゃないので、そこってむしろある程度世界標準化した上で現地適合化をしなきゃいけなかったりするので。なかなか品質オンリーになってしまって、それがプレゼンスを下げているという要因につながっているわけなんですけども、マーケティングというのは1Pではなかなか進みませんので、4Pが非常に重要だと、もっと言えば4Cの観点で考えていかなきゃいけないということをこの1-1では書いているんですね。

ちょっと時間が長くなっちゃいましたので、今日はこれぐらいにして、また次回にいたしましょう。