第398回 【本の解説】「輸出型チャネルビジネス」への大転換 その1
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺でございます。今日も引き続き、去年私が出した本の解説、この本ですね、『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から出していますけども、この本の解説をしていきたいと思います。今日なんですけども、今日はね、「1-5 「輸出型チャネルビジネス」への大転換」というページ、27ページのところの解説をしていきたいなというふうに思います。スライドを取りあえずお願いします。このスライドの通り、海外販売というか、海外に販売をしていくというときにステージは大きく分けて2つあると。1つは輸出でやるステージ、黄色い部分ですね、もう1つが現法のステージ、現地に法人を持って、ないしは現地に生産工場を持って販売法人を持って現産して現販、現地で販売するという、もちろんね、例えばベトナムでつくったものをASEAN全体で販売すると、これも国は違いますけども同じASEANなので現産現販に属しますけども、だいたいこの大きくわけて2つになると、輸出のステージ、そして現法のステージと。段階を踏んで海外展開していくわけなんですけども、もちろんある程度この国の成長を見越して、もう実績はないけど工場投資するんだということでドーンと工場を投資して、そしてその国で販売をする、輸出を飛ばしていきなり現法ステージというケースもなくはないですけれども、一般的には輸出のステージから始まって、そして段階を経て現法のステージと、現産現販のステージというふうに移行していくわけなんですね。黄色から緑に移行していくわけなんですけども。
このときに、やっぱりなかなかどちらのステージにおいてもチャネルビジネスがうまくできていないというのが日本の消費財メーカー、これは消費財に限らず、B2Bもそうですね、製造業の特徴で、このチャネルビジネスをそれぞれのステージでもちゃんとやってくださいねと。例えば、輸出のステージで言うと、輸出ってグローバルビジネスでも何でもなくて、単に港から港のビジネスをしているだけなんですね。中には自分たちで輸出そのものの行為をせずに、基本的には輸出入、輸出会社、貿易会社にお任せをするというケース、こんなの本当に国内決済ですよね。自分たちの商品がおそらくタイに行っていると、おそらく香港に行っていると、おそらくどこどこに行っているというのはある程度把握はしているんですが、基本的には国内決済をしているだけなので、これは別に海外ビジネスでも何でもないですよね。なので、自分たちの商品が、どの国のどのインポーターを通じて、ディストリビューターを通じてどういう小売にどういうふうに並べられて、どんな消費者がそれを手に取って何を思って買っているのか買っていないのかということがまったく分からないビジネスというか、無視しているビジネス。このビジネスってやっぱり伸びないですよね。単に輸入される量だけが勝手に輸出されていくので、自分たちのマーケティング努力とかも一切関係ないわけですよね。手を挙げた人のところに商品がいくと。
だから、それを戦略的に拡大させようなんていうことはなかなかできないので、単なる輸出をやっている人というのは永遠に現法のステージに行くというのはなかなか難しいと。これは中小企業が輸出で大企業は現法ステージと、そういうわけでもなくて、大企業でも最初は輸出から始めるわけなんですけども、この多くの輸出のステージ、これは別に輸出のステージを否定しているわけじゃなくて、輸出のステージにいる企業さんが単なる輸出ビジネスをするのではなくて、輸出型でもチャネルビジネスをしましょうと。チャネルビジネスって何なのかと言うと、自分たちの商品が売られている国の流通構造、チャネル構造を全部理解するということなんですよね。自分たちの商品がどういうインポーター、ディストリビューターを通じて、どの国のどの都市のどの小売りのどの棚にどういうふうに並べられて、どんな消費者がそれを手に取って買って、何を思ってリピートしているのか、していないのかということを追っていくと。これをやると、自分たちがどういうマーケティングで、どの国のどの都市のどの小売りを狙うべきだということが明確になると。基本、輸出でやるということは伝統小売を無視していいわけですから、B2C、消費財の場合は。近代小売の中でも狙うべき小売というのはここだよねと。自分たちが手薄な小売というのはここだよねと。もしくは自分たちが使うべきディストリビューターってここじゃないんじゃないの?あっちなんじゃないの?ということも見えてくるので、流通を可視化した上で輸出をする、つまりは自分たちが戦略的に対策を打てるという、そういうことなんですよね。この状態を築けるかが、やっぱり次のステージに行ける非常に大きな足掛かりになるので。同じ輸出をやっていても、売上が1億しかいかない会社と10億まで行く会社というのは、やっぱりこれはチャネルビジネスができているか、できていないかなので、そこをしっかり意識した輸出をやっていくということは大変重要ですと。
現法ステージのほうの話がちょっと時間なくて今日はできなかったので、また次回ちょっとこの続きをやっていきたいと思います。今日はこれぐらいにして、皆さんまた次回お会いいたしましょう。