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第402回【本の解説】戦略のベースは「マーケティングの基本プロセス」その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社、私が去年出した本ですけども、この本について解説をしていきたいと思います。

今日は37ページ、「1-8 戦略のベースは「マーケティングの基本プロセス」である」ということについてお話をしていきます。「マーケティングの基本プロセスって一体何なんですか」というところからお話をしていきたいんですが。これはフレームワークです。フレームワークで、世の中には戦略をつくるフレームワークっていっぱいあるんですよね。マーケティングのフレームワークってたくさんあるんですけど。結局、最終的にいずれのフレームワークも、このマーケティングの基本プロセスに集約されます。もしくは、このマーケティングの基本プロセスの一部だったりするんですよね。だから、このマーケティングの基本プロセスをマスターしておけば、その他のフレームワークを学ぶときも非常に効率よく学べるし、事業を進めていく上でも、私は多くの日本の企業のアジア新興国市場、アジアに限らず新興国市場での失敗事例って見てきましたけども、必ず要因、失敗の要因ってこのマーケティングの基本プロセスの中にあるんですよね。また、「こんな失敗、事前に防げたのに」ということは、マーケティングの基本プロセスの前段の部分をやることで、明らかに失敗をするということを、分かっていての失敗というのはしなくて済む。多くの日本企業って、「そんなの失敗するでしょう」ということが分かっているような失敗なんですよね。もう8割方そういう失敗なので。そういうことを防ぐことができるというのが、このマーケティングの基本プロセスで。今、日本企業の新興国市場への展開に本当に必要なものというのは、このマーケティングの基本プロセスだと思うので、少しそれをしっかりと説明をしていきたいなというふうに思います。

スライド、最初のスライドをお願いします。マーケティングの基本プロセスなんですけども、これは何から構成されているかという話なんですけどもね。これは「R」-「STP」-「MM」という、この3つのパーツから構成されていて。「R」というのはリサーチの略なんですね。「STP」というのはセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの略で、「MM」というのがマーケティング・ミックス。皆さん、4Pって聞いたことありますけど、マーケティング・ミックス=4Pなので、4Pの略ですよと。この3つから構成されていて、「R」から順番にこうやってやっていくんですけど。

次のスライドをお願いします。これは2個目のスライドですけど。これがそれぞれの中身なんですけどもね、カタカナがいっぱい出てきて、これを見た時点でもう嫌だってなってしまう人も多いのかもしれないので、分かりやすく説明をしていきますけども。「R」というのは3つのものから構成されていて、マクロ環境分析、ミクロ環境分析、そして、SWOT分析と。「STP」というのは、さっき申し上げた通り、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング。「MM」というのは、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーション、4Pの略称ですよと。これ、カタカナとアルファベットでこういうふうに言われるから何かよく分からなくなってしまうんですけど、要は簡単に平たく言うと、「R」というのは、これから進出をしようとしている、もしくはこれから攻めようとしている市場がどんな市場なの?ということを理解するためのプロセスなんですよね。それは、ぶっちゃけで言うと「どれだけ儲かる市場なんですか」ということを見ていくと。

どれだけ儲かる市場かということを見るためには、例えば経済指標を見ていく、GDPを見ていく、1人あたりGDPを見ていく、物価指数を見ていく、そういうマクロ経済的な数字を見ていくわけですよね。そういう数字を見るというのが1つだし。あと、外国に行く、新興国に行くというのは、当然これは外資規制があったりするわけなので、外資の規制がないですか、どうですかと、こういうところを見ていくわけですよね。それから、宗教もこれは事業に大きく関わってくるので、どんな宗教があるの?どんな文化があるの?どんな国民性があるの?それによってマーケットというかターゲットの趣味趣向が変わってくるわけですから、そういうものを1つ見ていくという、そういうことをやるのがマクロ環境分析なんですよね。これはまさにデスクリサーチでできるわけで、こういうリサーチは比較的日本企業はやれていたりするんですけど。これ、集約すると、ぶっちゃけ本当に儲かるの?儲かるんだったら、どれぐらい儲かるの?具体的にいくらぐらい儲かるの?ということを見ていくというのがマクロ環境分析。

じゃあ、「R」って何?と言うと、そこにどんな敵がいるんですかと。例えば、どれぐらい強い敵が何社いるの?というところを見ないと、儲かる市場だってマクロ環境分析で分かっていても、ミクロ環境分析でもう競合がうじゃうじゃいるよと、自分たちがとてもかないそうにない競合がたくさんいる、そんな市場に出ていってしまったら当然負けてしまうので、当然どんな敵がいるの?ということを見ていく、ということがミクロ環境分析。これはもう産業調査会社に外注するしかないので、自分たちで競合調査なんていうのはできませんので、われわれのような専門家に外注するしかないという部分なわけなんですけども、どんな敵がいるというところを見ていく。

それがね、そこに参入したら何が起こりそうなの?というのを見るのが、このSWOT分析なわけですよね。儲かる市場、でも、敵がたくさんいる、そこに自分たちが入ったらどうなるの?という。これを見ると、自分たちの何が分かるかと言うと、自分たちがどの市場に参入すべきかということが、ここで初めて見極めできるんですよね。もっと言うと、参入すべき優先順位とかが分かってくるわけなんですけど。

多くの日本企業がね、まだタイでも成功していないのになぜベトナムに行くの?とか、ベトナムとタイで実績つくれていないのに、ひと昔前だったらね、今はクーデターがあったのでちょっとミャンマーへ行かないですけど、なぜミャンマーに行くの?とか、伝統小売市場で成功していないのに、なぜいきなりインドに行っちゃったの?とか、アフリカに行っちゃったの?そういう企業はたくさんあるので、これってこの「R」がしっかりできていないんですよね。自分たちの経営資源を考えたときに、そこには行くべきじゃないということがもう明らかに分かるのに行ってしまうという例なわけなんですけども。そういうことを事前に防げるのがこの「R」なんですよね。この「R」がやっぱりできていない、そこがやっぱりもったいないなというところなので。この「R」をやるだけで、「もう明らかに失敗しちゃうでしょう、これは」というようなことは、もう事前に防ぐことができるので、ぜひね、この「R」だけはもう1度やってほしいし、あと、攻めるべき国の優先順位、もしくは都市の優先順位もこの「R」をやることで分ってくるので、順番間違いの新興国展開みたいなことの失敗には陥らないですよというのがこの「R」ですね。

結構、時間がかかっちゃうのでね、これ、1回で1-8を説明しきりたかったんですけども、時間が来ちゃったので今日はこれぐらいにしますけども、また次回ちょっと「STP」から説明をしていきたいなというふうに思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。