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第404回【本の解説】戦略のベースは「マーケティングの基本プロセス」その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この本、『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から出していますけども、私が去年書いた本ですね、この本について解説をしていきたいと思います。

今日も引き続きね、今日で3回目なのかな。3回目、1-8、37ページ、「戦略のベースは「マーケティングの基本プロセス」である」というところの、今日でね、この1-8は終わらせたいなというふうに思いますけども、お話をしていきたいと思います。

2番目の説明…、2番目のスライドからお願いします。マーケティングの基本プロセスってこういうものがありますよねと、「R」-「STP」-「MM」、それぞれカタカナでガーッと書いていますけども。ぶっちゃけ分かりやすく言うとこういうことですよというところの説明まで前回したんですよね。それをまとめると、「R」をやることで自分たちが展開すべき国や都市の優先順位が分かりますよということと、あと、自分たちがその市場に参入することで自分たちが勝つのか負けるのか、儲かるのか儲からないのか、ということをある程度事前に想定することができますよ、これが「R」ですよと。

そして、「STP」というのは、自分たちが何者であるのかということと、自分たちのターゲットは誰なんだということを明確にするという、これが非常に重要なんだと。この真ん中の「STP」がまずものすごく重要で、これがふにゃふにゃしていると「MM」がふにゃふにゃしてくるよと。日本企業の失敗、新興国市場の失敗の要因の多くは、この「STP」がふにゃっとしているので、結局すごく重要な戦略とか戦術の領域に入ってくるこの「MM」がふにゃふにゃっとしてしまって、なかなかブレークスルーしないという、こういう傾向が非常に強いので。とにかくターゲットを明確にして、自分たちが何者なんだということをしっかりと再定義する。日本の定義がいまいちどこかに置き去りにされているような状況なのであれば、そこから本当に再定義していかないといけないので、この「STP」って本当に、特にポジショニングって事業には直接収益には関係ないんじゃないかと思いがちなんですけど、ものすごく重要なので、この「STP」をしっかりと定義するという。これがしっかりと明確に定義されると、それに対して「何をいくらでどう売るの?」ということを考えていくのが、この「MM」なので。これが具体的になっていくわけなんですね。

4枚目のスライドですけども。特に私が見てきた日本企業で弱いのが、このマーケティングの基本プロセスの中で特に弱いのがもうこの3つですよね。1つがミクロ環境分析。敵の脅威について軽視しがちというか、競合調査とか自分たちの能力分析みたいなことをまったくやっていない企業が多くて、自分たちと競合のケイパビリティを比べたときにどっちがどう強いのか、みたいなことをしっかりと調査して分析していないんですよね。これ、数字で見ていない。敵の脅威が例えば100だったときに、自分たちの脅威って80なの?70なの?それとも30なの?みたいな。30と100で戦ったってこれは勝てるわけないので、どれぐらいなの?というところを見ていかないといけない。こういう分析をやっぱりしっかりしていないんですよね。それで出ていって、自分たちは品質が良いから大丈夫だろうと。戦わずに済むんじゃないかと。いやいや、そんなことないですよみたいな。品質が悪いからきっと勝てるみたいな。いや、プロダクトだけで戦っているんじゃなくて、チャネルの配荷率とかを見たら、もう圧倒的に競合のほうが強いからもう無理ですよみたいな状況をしっかりと見ていなかったりするという、この敵の脅威を徹底的に知るということと。

あと、さっきも言ったけども、この「STP」ですね。この「STP」を本当に軽視している、ターゲットがふにゃふにゃしているので、自分たちが何者であるのかということもふにゃふにゃしていたりすると。自分たちが何者であるかというのはね、ブローのように効いてくるんですよね。あとでグーンと効いてくるんですよね。ある程度顧客基盤が出来上がったときに、それがずっと定着をするかしないかというのは、自分たちが何者なんだというところにずっと顧客コミュニティができたりするときに効いてくる。ブローのように効いてくるので、最初はそんなに意識しないんですけどもね。でも、必ず効いてくるので。ポジショニングも重要なんですけど、強いて言うならターゲティングがすごく重要ですよということ。

最後のプレイス。販売チャネルがものすごく弱い。これはB2BもB2Cもそうですけども、主要なプレイヤーと比べたときに、日本企業の販売チャネルって圧倒的に弱いので、販売チャネルでこれだけの差があったら当然シェアに差があるし、それはずっと埋まらないで開き続けるだけじゃないですかということは、かなり販売チャネルを見たら分かることなので、ここはやっぱり販売チャネルをしっかり改善していくということは重要ですよと。

最後のスライド、4枚目のスライドですかね。マーケティングの基本プロセスというのは、分からないことを可視化する、分からないところに光をあてて課題を整理することなんですよね。自分たちの課題をまず整理すると。課題を整理して対策を考えると、それが戦略になるわけなので、まず可視化をする。可視化をすると課題が見えてくる。そして、その課題を整理する、対策を考える、これこそがまさに戦略なので、マーケティングの基本プロセスというのは、それをやるための非常に便利な有効なフレームワークであるというふうに思いますので、ぜひ皆さん、新興国市場もうすでに参入しているんだけどなかなかうまくいかないという企業も多いと思うので、今一度このマーケティングの基本プロセスに自分たちの事業を当てはめてみると、どこにボトルネックがあるのかということが明らかに見えてくると思いますので、ぜひやってみてはいかがでしょうか。

それでは今日はこれぐらいにして、また皆さん、次回お会いいたしましょう。