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第406回 【本の解説】「R」で負け戦に出て行かずにすむ その1

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、私が昨年出した『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社について解説をしていきたいと思います。

今日は、47ページ「1-10 「R」で負け戦に出ていかずにすむ」ということで、前回に引き続き、すみません、もう少し「R」の話をさせてください。「R」をやれば、わざわざ負けがもう分かっているような戦をせずにすむということが1つ一番大きな要因としてあるということと、その分、出るべき国であったり、都市の優先順位が明確になりますよという、そういうお話をしたと思うんですけども、そのことについて今日は中心的に話していこうと思うんですが。

長年、日系企業のアジア新興国展開を支援してきて思うのが、この程度のいわゆる失敗であれば、なぜ事前にもっと「R」をしておかなかったんだろうというケースがだいぶあると。どちらかと言うと日本企業の場合、とにかく出ますと。出るという結論はもう決まっていて、出てから何とか駐在員が俗人的な個の能力で何とかしろという、そんな中で四苦八苦してやっていくと。ただ、ひと昔前の高品質が武器として通用するような時代はそれで何とかなったんだけども、昨今マーケティングが武器として、マーケティングしか武器にならないような時代になってくると、なかなかそれが俗人的なやり方が通用しなくなってきたと。その中でこの「R」の重要性というのは非常に増していて。

「R」が何かというのは前回もお話しているのでここでは説明しませんけども、こういうことですよね。スライド、最初のスライド。どんな市場で、どんな敵がいて、何が起こりそうなのかと、マクロ環境分析、ミクロ環境分析、SWOT分析ですよというお話をしていて。

結局、日本企業が新興国市場に展開する際に、私が1つものすごく感じるのは、もう圧倒的にインプット不足なんですよね。圧倒的に調査していなくて、情報を持たなさ過ぎなので。なぜ日本企業って戦略がないと言われるかと言うと、「よく分からないんです」という企業が多いわけですよね、「何をどうしていいのかよく分からない」と。なぜ、何をどうしていいのかよく分からなくなるかと言うと、情報がないからなんですよね。たくさんの正しく客観的で深い、粒度の細かな情報をしっかり持っていれば、それを分析する能力というのは、日本企業や日本人というのは非常に優秀ですから持っているわけで。それを分析すると、それが戦略に、アウトプットに変わっていく。インプットがやっぱり圧倒的に少なくて。とにかく出たとこ勝負的な、まずは動いてやってみるみたいな。

動いてやってみるということも非常に重要なんですけども、重要なんだけども、動いてやってみて成功、たまたま成功しても、その成功って再現性がないんですよね。なぜならば、たまたま成功しているから。しかも、俗人的な個の力によって得た成功なので、再現性がない。なので、日本企業の場合は、A国では成功しているんだけど、B国、C国、D国では成功していないとかって、結構ASEANの中でも多くて。

そうすると、仮説というものがやっぱりすごく重要で、その仮説に対してインプット、情報を集めてこないといけない。そのインプットを分析することによって戦略というアウトプットを出すという、この行為がすごく重要で。仮にそれが外れても、仮説に対してインプットを集めてきていますから、また仮説を修正して、インプットを集め直して、分析してアウトプットを出していくという、この好循環の繰り返し作業ができるんですね。そうすると、俗人的にならないので、戦略的になるので、成功のノウハウとか失敗のノウハウがしっかり社内に蓄積されます。なので、ASEANでも、インドネシアでの成功がフィリピンでの成功に繋がって、ベトナムでの成功に繋がったりするわけですよね。なので、10年20年駐在している駐在員がいたから成功したとかっていう話にはならない。ここのインプット力の少なさというのはやっぱり非常にあるなというふうに思います。

その話でちょっと今日は終わっちゃうな。次回にしましょうかね。次回、「R」をやることで国別優先順位が決まるんですよということについて少し詳しく説明をしていきたいなというふうに思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。