HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第407回 【本の解説】「R」で負け戦に出て行かずにすむ その2

動画番組 スパイダー・チャンネル

第407回 【本の解説】「R」で負け戦に出て行かずにすむ その2

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この、私が昨年出した『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社ですけども、この本について解説をしていきたいと思います。

今日の解説はページ47の「1-10 「R」で負け戦に出ていかずにすむ」ということで、前回、前々回ぐらいからここの話をしているんですけど、私の話が長くてすみません。今日でこの「R」の1-10は終わりにしたいと思いますけども。

国別の優先順位が「R」をやれば明確になりますよと。つまりは、なぜそんな国に先に出たんですかと、もっとやるべき国があるじゃないですか、というような失敗をせずにすみますよと、「R」をやればですね。「R」が何なのかというのは、前回とか前々回の動画を見てもらって。

今日はね、2枚目のスライド、私、話が長いので、前回を振り返らずにどんどんいっちゃいますけども、2枚目のスライドで。後進国から新興国、新興国が生まれるまでの過程みたいなものを整理したものなんですけど。今ね、ミャンマーは軍事クーデターが2020年だったかな。私が最後にミャンマーに行ったのが2020年の1月で、そのあと軍事クーデターになっているので、そこから行ってないんですけども。あんなことになっちゃったのであれなんですけど。ミャンマーブームというのは過去に何回もあって、猫も杓子もミャンマーみたいな時代が2014、2015、2016ぐらいにあったんですよね。そのときに中小企業、大企業でもまだ実績が出ていないのに、中小企業までが「ミャンマー!」と言っているような時代があって。日本のメディアもミャンマーを煽って煽って、雑誌・テレビでも「ミャンマーすごい、ミャンマーすごい」と散々やって、じゃあ、今、蓋を開けてみたら結果どうなったんですかと。クーデターがあったから全部チャラになっちゃったんだけども。仮にクーデターがなかったとしても、結局成果の出ている企業なんていうのはほとんどなくて。あれがまさにこの「R」不足で、単なる、当時ね、安倍政権下でミャンマーとの連携をしっかりやっていくということで、マクロの大きな政治的な話でミャンマーとしっかりやっていきますよということで、そういう話があったんだけども。じゃあ、それが企業、大企業、中堅中小含めて一民間の事業として本当に成立するというのはほんの一握りというか、もうほんのこれぐらいの話なので。そこを勘違いしては本当にいけなくて、見誤ってしまった企業というのは非常に多いと思うんですけども。それがまさにこの「R」をやらないで政治的なパフォーマンスに乗っていって失敗してしまったというケースが多かったので、その「R」の重要性について説明をしていきたいんですけども。

新興国ってどうやって生まれるのかという話なんですけども、後進国って最初はやっぱり政府の開発援助、ODAなんかを受けるわけですよね。今のASEANのどの国に行っても、日本につくってもらいました、空港ですとか、フィリピンですね。日本につくってもらった橋です、道路ですと、日本政府っていろんな政府開発援助をやっているんですよね。こういうことがバーッと行われて、ある程度最低限のものが徐々に整いだすと、その国は外資企業誘致政策みたいのを打ち出すんですよね。「海外の企業の皆さん、ぜひうちの国でモノをつくってください」と。「工場の敷地、建屋、そこで働く工員、全部揃えます」と。中国なんかが発展したのはまさにそれですよね。1980年、1990年、2000年ぐらいにワーッと行きましたけども、そういう政策誘致がなされると。そうなってくると政府と民間、日本の場合は民間と言うと、商社とかね、銀行が官民インフラ整備プロジェクトみたいなことをドーンとやりに行くわけですよね。ベトナムでも今いろいろやっていますよね。ホーチミンの街中でも地下鉄つくったりとか、インドネシアとかでもやっていますけど、いろいろやると。

民間進出第一号というのが、第一陣と言ったほうがいいですかね、一陣というのがこの図の通り、インフラ事業者なんですよね。まずはインフラを整えに行きますよということなので、インフラ事業の大手にまつわるような周辺メーカーさんとかはまさにこのタイミングで出ていく。これが整うと、工場がとにかく建てられると。そうすると、やっぱり民間進出第二陣というのはだいたい自動車メーカーなんですよね。自動車メーカーが次に行きます。自動車メーカーが行くと、その次に民間進出第三陣として電機メーカーなんかが行って、最後に民間FMCG、いわゆる食品とか日用品なんかのわれわれが生活に非常に密接に関係してくるような親しみやすいメーカーがどんどん出ていって、新興国になっていくと。生産拠点としてたくさんのモノを輸出していくわけですよね。安い労働力を使ってたくさんのモノを輸出していくので、その国に外貨が入って、それが潤って新興国になっていくと。

こういう展開をしていくので、2000…、20年前のミャンマー進出って、本当に適切だったんですかと言うと、あのときまだ電気メーカーもほとんど出ていなかった、自動車がようやく出ていて、これから、さあ、電気メーカー受け入れだねというタイミングで、まだタイの市場すら、ベトナムの市場すら成功していないような消費財メーカーがいきなり、じゃあ、ミャンマーをやるかと言ったらそうじゃなくて、当時、タイとかベトナムで活躍していた味の素がやりますと。これはいいと思うんですよね。エースコックがやります。これもいいと思うんですよね。ただ、そういった実績のないような企業がそこでやりますというのはなかなか難しいので、こういう順番でできていきますよと。

じゃあ、具体的にアジア新興国の難易度をグループAからDに分けたときに、次のスライドなんですけども、難易度が低いのがA、難易度が高いのがDというふうに分けたときに、やっぱりグループAの香港とか台湾、シンガポール、韓国というのは先進国なので、日本企業、日本の市場に近しいですよね。中国の主要都市、一級都市とかは非常に先進的な市場だし。SMT、シンガポール、マレーシア、タイ、それからVIP…。シンガポールだけはAグループに入っているので、MTとしていますけども、マレーシア、タイですね。で、ベトナム、ラオス、ミャンマーと。このインドもニューデリー、ムンバイ、コルカタと、カンボジア、ラオス、ミャンマー。まあまあ、とり方によってはね、このCLMがグループDだったり、Cだったりということもあるので、参考程度にだいたいこういう分類で進出をしていくと。そうすると、やっぱりグループAを攻略できていないのにグループCとかDとか行くってなかなかハードルが高いんですよね。なので、そういう意味では、この「R」をやればしっかりとこの辺の優先順位が明確になりますよというのが今回のお話でございました。

では、今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。