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第408回 【本の解説】本当にグローバルで戦うべきかを考える

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から、去年、私が出した本ですが、解説をしていきたいと思います。

今日は、51ページの「本当にグローバルで戦うべきかを考える」、1-11ですね。ページ51、「1-11 本当にグローバルで戦うべきかを考える」ということについてお話をしていきたいなというふうに思います。

なぜこんな話をするかと言うと、2つあって。日本企業の場合、準備不足のまま出ていってしまって失敗をしているケースというのをたくさん見てきましたというのが1つと。もう1つが、出ていくべきでない企業までもがグローバル化なんだということで出ていって、逆に痛手を負っているというケースが見受けられるので。この本当にグローバルで戦うべきかをしっかりと今一度考えるということは本当に重要なことなので、それについてちょっとお話をしていきたいなというふうに思っています。

スライドをお願いします。このスライドなんですが、グローバルで戦うためには、もちろんより多くの経営資源を持たなきゃいけなくて、だから、中小企業よりも大企業のほうがグローバル展開は早いわけですよね。なぜ中小企業よりも大企業のほうが何事においても早く高く上手によくできるかと言うと、経営資源が圧倒的に違うからなわけですよね。これはグローバル化においても同様で、人・モノ・カネ・情報、プラス、ナレッジとかノウハウみたいなものが大変重要になってくると。

そう考えたときに、海外に出るということは自分と市場のこの2つで戦うのではなくて、ここに競合というものが入って、この三角の関係で戦っていくということになるわけなんですね。多くの日本企業は、自分たちのものは素晴らしいからと、競合は品質ではかなわないからと、基本的にはマーケットとの2人の対話なんだということで誤解しがちなんですけども。そんなことはなくて、市場環境と競争環境に対してどうなんだということを考えていかないといけない。自社がどうあるべきなのかと。

そう考えたときに、自社の経営資源と競合他社の経営資源、どちらのほうが強いですかということを見ていかないと、結局、まだまだ自分たちの経営資源が追いついていないのに、無理やりその地に出て戦ってしまうと、これ、結果は火を見るより明らかで。やはり、ある程度近しい経営資源を持った上で戦っていかないと、まったく競争力が違うのに、そこと戦うというのはなかなか難しいと。

多くの日本企業は、この人・モノ・カネ・情報の中のモノというものが非常に良いモノを持っているので。この非常に良いモノというのも、日本人とか日本市場目線で言う良いモノであって、現地、新興国に出たときに本当にそれが良いモノかどうかというのは不明であると。あと、人、個人のケイパビリティというのは非常に優秀なものがあるんだけども、この優秀も、どちらかと言うと何か新しいことを生み出すという面での優秀というよりかは、言われたことをきっちりやっていくという面での優秀さになるので、そこもやっぱりまだ一工夫、二工夫必要になってくると。お金に関しては内部留保が多いものの、じゃあ、それをダイナミックに使う体制があるかと言うとそんなこともないし。一番はやっぱり情報が非常に少ない、情報に対して対価を払って収集するという行為がなかなかなされないので、ここもやっぱり乏しかったりする。新興国市場に関してはやっぱりナレッジとノウハウが著しく低いというのが、これ、中小になればなるほどそうだし、大手でもまだまだ足りていない。グローバルの先進的な大手に比べると。そう考えると、やっぱり準備をしてからしっかり出ていくという発想も非常に重要で、グローバルで戦うための準備、経営資源を整えるということなんですよね。最低限の経営資源も整えないで、俗人的に「おまえが行ってやってこい」という、かつてのやり方ではなかなかやっぱりこれからのグローバルビジネスというのは、特に新興国ビジネスというのは勝ちきれない、勝つことができない。

一方で、中小企業、中堅中小企業の場合は、そもそも国内も取りきってないのに、もしくはそもそもそんなに大企業のように大きな売上とか大きな利益を求めてないのに、なぜわざわざそんなに難しい国に出るんですかというケースも当然あるので、本当にその市場が必要なのか、本当にやるべきなのか、それに対して自分たちは満たされた経営資源をしっかり持っているのかと。武器を持たずに戦に行くなんていうことはもうあり得ない話なので、それを根性論とか何とかでどうこうするというのはなかなかやっぱり難しいので、そこを今一度、客観的に合理的に考えるということが非常に重要ですと。

この経営資源も、補うのに時間をかけていたら、これまた問題で、グローバルに出ないという選択肢は企業によってはありだと思います。大企業は基本的にはもう出ないといけない。でも、結局いずれにしろ日本企業が世界に出なくても、世界が日本に攻めてくるわけなので、いずれにしろ場所はどこであれ、グローバル競争には巻き込まれていくんですよね、今後ね。そうしたときに、この社内の経営資源を整えるということはいずれにしろ必要である。じゃあ、それをスピーディに整えなきゃいけないというときに、外部の専門家だったりコンサルタントにある一定の対価をしっかり支払って瞬時に学んでいく、それを自社で学んでいったら10年かかるものを、外部を使うことで1~2年で習得するという、そういう考え方もどんどん取り入れていかないと、なかなか世界のグローバル競争には勝てないのかなと。なぜならば、最近でもやっぱりASEANの会社とか中国の会社、どんどん、どんどん、欧米的なやり方で、外部の専門家、自分たちの社内に経営資源がないものは外部をどんどん活用してそれを自分たちの資産として蓄積するような活動をどんどん、どんどん、やっているので、それが、言ったら自分たちの経営資源を高めるための投資という概念に変わりつつあるんですよね。一方で日本企業はまだまだやっぱりこのコンサル嫌いというか、専門家嫌いみたいなところがあって、何でもかんでも自前でやるんだということで、自分たちの社員にムチ打ってやらせる傾向が非常に強いですけど、それだとなかなかちょっとグローバルの競争にはスピード的に追いつかないんじゃないかなというふうに思います。

ということで、今日は「本当にグローバルで戦うべきかを考える」というお話でした。また次回、皆さんお会いいたしましょう。