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第421回 【本の解説】 早期参入にこだわる その2

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が去年出した本ですけども、この本の解説をしていきたいと思います。

今日はページ79、「2-3 早期参入にこだわる」ということで前回からお話をしておりますが、前回は、早期参入することにおけるメリットについてお話をしました。一方で、早期参入するということはデメリットも当然あって、だってまだ市場がないところに出ていくわけですから、逆に言うと、出方を間違えるとそれだけ赤字を垂れ流すわけですよね。最初に赤を垂れ流して、あとで儲けるという、そういうリスクを取る。こういう考え方にどうやって彼らは至っているのかということは非常に重要で。もちろん彼らも早期参入と言うんだけども、最初からボーンとお金の投資をかけて出るというのではなくて、やっぱりミニマムで出ていって、あるタイミングと同時に投資額をバーッと広げていく、上げていくという、そういうことをやっていくわけなんですけどもね。なんですけども、リスクがある、早期参入には。多くの日本企業というのは、なかなかやっぱり1番に先陣を切ってそれをやるということにはなかなか至れなくて、なぜ至れないのかなと、なぜ欧米の先進的なグローバル企業というのは至れるんだろうということについて今日はちょっとお話をしていきたいなと。早期参入のメリットではなくて、なぜ早期に参入するというマインドに至れるのかということについてお話をしていきたいと思います。

いわゆる、1枚目のスライドかな。前回お話した世界の10大消費財メーカー、こういう企業の現地法人に私はインタビューを散々この20年の中でやってきていて、その中で彼らが早期参入、なぜあなたたちはそんなに早期に参入できたの?何を判断基準としてそうなっていくのかということを話したときに、やっぱり1つあるのが戦略的なんですよね。このビジネスは、いかにたくさんの人に、いかに速い頻度で、いかに繰り返し永遠に買い続けてもらえるかどうかということが消費財のビジネスでは最も重要であると。特に味覚に関係するところに関しては、どれだけ先にデファクトを掴むかということが非常に重要で、これがチョコレートの味なんだと。われわれがなぜ「チョコレートは明治」だったっけな、明治のチョコが好きだとか、ロッテのガーナチョコが好きだというのは、なぜかと言ったら小さいときから食べているからなんですよね。いかに早く出るかということは戦略的に重要であると。

そうなったときに、彼らのマインドセットの1つとして、僕たちは端から成功しようなんて思っていなかったと、1980年代、最初に出たときに最初から成功しようなんて思っていなかったと。ただ、最初から大きな失敗をするつもりもなかったと。なので、市場を測定するということを非常に大切にしたと。その測定に合わせて投資額を段階的に引き上げていくと。ただ、最初から成功することなんて無理だと思っていると。自分たちの先進国ではない、新興国で、まだ所得もね、1人あたりGDPが1,000ドルに満たないような時代に出ていっているわけです。そうすると、彼らは結局、こういうことを言ったのが僕は非常に、どの企業も同じように近しいことを言うわけなんですけど、「誰よりも早く出て、誰よりも早く失敗をする。そして、誰よりも早く失敗すれば、誰よりも早く成功するんだ。だから、自分たちは早く出るんだ」ということを言って、「結局、失敗しないと学ばないから成功は永遠に来ない。そうすると、とにかく早く動いた者が勝ちなんだ」ということを言うんですよね。なんだけども、それって戦略的に早く出て失敗をする。つまり、どういうことかと言うと、仮説をしっかり持っているわけなんですね。その仮説に対して早く動いて、そして、当然ずれるので仮説を修正して、また次早く動くということをやるという。

一方で、だめな早い動き方というのは、とにかく走りながら考えるみたいな、仮説はまったくない。走りながら考えるんだ。これをやると、大きな穴が開いているかもしれない。そこにはまってしまったらもう出れないということが起きるので、やっぱりそれはだめなんですね。走りながら考えるという、一見耳障りの非常に良い言葉なんだけども、そういうことではなくて、ちゃんと市場をしっかりと調査をするし、仮説はしっかり持つ。その仮説までを早く行くという。そして、修正をする。そうすると、大きな穴にははまらないので、そういうことを非常に大切にしていると。なので、僕は非常に大きな学びだなというふうに感じたのは、早く動いて、誰よりも早く動いて、誰よりも早く失敗する。そして、誰よりも早く失敗をすると誰よりも早く学ぶので、結局早く成功することになるんだということを言っていました。なので、われわれも少しそういう感覚を学んで、結局、アジア、中国で学んだものはASEANで生きて、ASEANで学んだものはメコン経済圏で生きて、同じASEANですけど、そしてASEANで学んだものはインドでまた生きて、そしてインドで学んだものが南米で生きて、最終的にはアフリカの地で生きるという、この新興国でのノウハウというのは必ず生きてくるので、やっぱり今、投資をしてしまうと、今リスクを取るということは決して無駄にはならないんじゃないかなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。