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第423回 【本の解説】導入期の戦略が違う その1

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』 私が去年、日本実業出版社から出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日はね、2-5、86ページ、「導入期の戦略が違う」ということでお話をしていきたいなというふうに思います。導入期戦略、これは本当に日本の大手の消費財メーカーと欧米の先進的なグローバルの消費財メーカーの参入戦略を比べると、戦略の在り方、投資のスタンスにやっぱり大きな違いがあって、なかなか導入期を脱出できない日本の消費財メーカーというのは非常に多いと。これはつまりどういうことかと言うと、参入してから5年10年経つのに、なかなか胸を張った黒字に移行できていない、もしくは、黒字をしたんだけど、マーケットシェアの話をしたときに数%みたいな話になってしまっていて、日本で発揮しているようなプレゼンスがなかなか発揮できていないみたいなね、そういう状況に陥った企業って非常に多いんですよね。

結局、重要なのって現地のマーケットでどれだけシェアを高めるかということなのに、基本的には昨対比でいくらやるかみたいな、「昨対115%やりましょう、チャレンジ120%です」みたいな、敵と戦うのではなくて、マーケットシェアを追い求めるのではなくて、自分の去年と戦っていくみたいな、自分の去年を超えるみたいな、そんな戦いにとどまってしまっていて。結局、導入期から成長期になかなか突入できない。ASEAN市場の経済成長、アジア新興国市場の経済成長が非常に著しい中、昨年比数%上がったとかっていうスピードで競合は成長していないので、もともと、そもそも母数が小さいのに、115%の成長では何十年経ったらマーケットシェア2割獲れるんだろうみたいな、そういう計算になっていくので。市場を待てば成長期に入れる時期が来るんじゃないかって、これもなかなかやっぱり難しくて。敵が300キロで走っているところを、安全運転で40キロで走っていても、なかなかやっぱり成長期には入れなくて。そこの違いがやっぱり非常に大きかったので、このページ、この2-5は結構長く書いているんじゃないかな。86ページから93ページまで書いているので、7ページぐらい書いてるんですよね。

スライドをお願いします。一番上のスライドですけども、先進グローバルの消費財メーカーと日本の消費財メーカーでの導入期の違いが非常に大きくて。結局、日本の消費財メーカーが抱えている課題って、導入期から脱却できないんですね。結局、ASEANに出たんだけど、アジア新興国に出たんだけども、日系小売にしか入っていないとか、輸入品棚にしか並んでいないとか、日本の匂いのするところにしか商品が置かれていないと。顧客は現地の中間層が魅力だって言って出たはずなのに、結局は富裕層とか、エキスパートの人とか、日本人とか、外国人とか、そういう層にとどまってしまっているというのが非常に問題で。

じゃあ、この導入期に、先進的なグローバル企業と日本企業って何の違いが大きくあるんですかと言うと、やっぱり伝統小売の取り組みを導入期にやるということなんですよね。伝統小売の取り組みをやらなければ、導入期から成長期になんて絶対に入らないんですよ、消費財のインダストリーにおいては。成長期に入るということは、入れたということは、伝統小売に手を付けたということなんですよね。近代小売の数なんてたかだか数千ですよ。インドネシアで一番多いところで3万7,600店舗、主要な近代小売。それに対して、伝統小売が300万店以上ある。この市場の構成を考えると、もう導入期に伝統小売に手を付けなかったら、絶対に成長期には入らないと。ここがなかなか理解できなく、まずは近代小売でしょと。まず、近代やってから、そして、成長しつつ導入、伝統小売へ入っていきましょうという、そういう考え方で。確かに正しい。伝統小売というのは、近代小売に置かれていないものは取り扱いませんから、まず、近代小売に入れるのが先なんです。ただ、近代に小売に入れるのなんてすぐなので、秒で終わってしまうので、数カ月でパッと終わるわけですよね。そうすると、それとほぼ同時並行的に、やっぱり伝統小売に手を付けていかないと、導入期から成長期には移行できないと。

その話をもっと深く具体的に次回やっていきたいなというふうに思います。今日はもう時間が来てしまいましたのでこれぐらいにして、また次回、引き続きお話をしたいと思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。