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第429回 【本の解説】近代小売と伝統小売をレイヤー化する

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 私が去年、日本実業出版社から出した本ですが、これについて解説をしていきたいと思います。

今日はね、99ページ、「2-8 近代小売と伝統小売をレイヤー化する」ということで少しお話をしていきたいなというふうに思うんですが。皆さん、伝統小売はもう十分ご承知かと思います。近代小売と伝統小売という2つの小売がASEANを含め新興国市場には存在して。実は伝統小売の攻略をしっかりしていくということが、ASEAN、特にVIP並びに新興国市場では大変重要になってくると。その中で、効率的に伝統小売を攻めるということが実はもっと重要で。伝統小売にもたくさんの種類があるんですよね。たくさんというか、いくつかの種類があって、そして、できるだけROIの良い攻め方、Return Of Investment、つまりは費用対効果の良い伝統小売の攻略をしていかないといけないと。そうなったときに、例えば、伝統小売って、大都市の人口密度の高いほうが、基本的には伝統小売の数も人口密度に応じて多かったりするんですよね。ほぼほぼたぶんそういう構造になっているので、VIPなんかは。そうすると、やっぱり人口密度の多いエリアから攻めていくとか。そもそも伝統小売というのは、近代小売で取り扱っている売れ筋のモノを取り扱うという傾向があるので、基本的には近代小売の周辺の伝統小売を攻めていくとか、そういうドミナント戦略が非常に重要になってくるんですね。

一方で、今日は種類を少し説明をしたいんですが。スライドをお願いします。この図の通りで、MT1、MT2、GT1、GT2、TT1、TT2、TT3、TT4というふうにありますけども。MTというのは写真の通り、近代小売のことですよね。基本的にはね、近代小売の定義というのはPOSレジがあるか、ないかということなんですよね。そういうものを近代小売と呼んでいて。伝統小売というのは一番下のTTで、いわゆるパパママショップですよね。これもいくつか種類があって。もちろん一番上のMTのいくつか種類があって。真ん中のGT、これ、GTというのは基本的にはTTのことを言うんですよね。TTのことをGTと言ったりします。ただ、うちの社内では、このGT(General Trade)の定義を、いわゆるMTでもなくTTでもないグローサリーみたいな、これはTTとは呼べないけども、MTじゃないよねみたいな店をわれわれはGTというふうに定義をしていて。まあまあ複数人の店員がいて、店も広くて、エアコンもかかっていますと。ただ、ドアは開けっ放しでとか、閉まっていても簡素な感じで、レジを見ると1つ2つぐらいしかなくて、POSレジは入っていないみたいな、そんなところなんですけども、意外にこのGTというのが重要になってきたりするんですけども。

MTというのもやっぱり2つぐらいには分ける必要があって。これはベトナムの例で言っているんですけど、例えば、ベトナムとかだとコープマートとか、メトロとか、ビッグCなんかが主要どころ、ロッテマートとか、イオンとかも主要ですけども、そういうところを主要として定義して、主要じゃないMTというのもやっぱりあるので、主要どころをどれだけ攻めるかということを重要視したほうがいいですよね。近代小売を攻めるときも、自分たちにとって主要なので、別にこれは規模が大きいから主要というふうにしてもいいですけど、そうしなくてもいいわけで。自分たちにとってプライオリティの高い近代はどこなんですか、先に攻めるべき近代はどこですかと、そこには他社より良い条件を出しましょうよと、そして、その近代を獲りましょうということをやるので、しっかりレイヤーを分ける。

GTも、われわれなんかはしっかりレイヤーを分けていて、地域一番店のようなグローサリーとかミニマート、こういうところって、実は夕方から問屋をやっていたり、朝と夕方は問屋機能をやっていたりとか、地域のTTに商品を卸していたりするので、かなり商品が出たりするんですよね。こういうところをGT1、規模の小さいところをGT2みたいな定義をしたりとか。

あと、TTでも、都心部や交通量の多いところに立地するTTの売上って、やっぱり水を売るにしても全然日販の水が出る数とかっていうのは違うし、まったくTTの中でもやっぱり優劣があるわけですよね。一番下のほうにいくと、リアカーや路上販売レベル、TT4、これは無許可のTTなので、ちょっとあまり商売を一緒にやるということはおそらくないと思いますけど。TT3,ドアがない、屋根がない、お店と言い難い、こういうレベルも無許可のケースが多いので、TT2までがだいたいあれなのかなというふうに思いますけど。まず、TT1を攻略できてないのにTT2をやるというのは効率が悪いので。

やっぱり効率なんですよね。ROIをしっかり見ていって、MT、GT、TTをそれぞれレイヤー分けして、ROIを見て、よりROIの高いところから攻めていくということをやらないと、時間は有限ですし、コストも有限なので、基本的にはその競争に打ち勝っていくということは、レイヤーに分けて効率のいいところから攻めるということが大変重要。このレイヤー分けというのがなかなか日本企業はできてないというケースが多いので、今日はその話をさせていただきました。

それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。