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第433回 【本の解説】近代小売と伝統小売の密接な関係 その2

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』 私が昨年出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

前回、107ページ、「2-11 近代小売と伝統小売の密接な関係」ということでお話をしたと思います。前回は、近代小売と伝統小売というのはどっちかだけ、近代小売だけやっても儲からないし、近代小売と伝統小売を両方やらないといけない。でも、伝統小売だけをやるというのも、これまた難しくて。伝統小売というのは、基本的には近代小売で売れ筋になっているものしか取り扱わないので、狭い店舗なので、いわゆるいかに効率的に履けていけるもの、セルアウトしていけるものだけを置きたいのが伝統小売のオーナーの意思ですから、当然ながら。なので、近代小売でいかに売れ筋になるかということが非常に重要ですよと。なので、この2つはそういう相関関係にあるので、まずは近代小売を導入期に絶対に獲るんだけども、ほぼ同時並行的にその近代小売の周辺の伝統小売も攻略をしていくという、ドミナントでやっていくということが非常に重要でありますよというお話をしました。

その中で、フィリピンの伝統小売が非常に特徴的で、ASEAN6すべてにおいて、今言った近代小売と伝統小売の関係というのは成立するんですけれども。フィリピンはさらにちょっと面白い相関関係があるので、そのことについて今日はお話をしていきたいと思います。

どういうことかと言うと、ちょっと写真を見てもらったほうが早いと思うので、スライドをお願いします。これが写真なんですけど、フィリピンの主要近代小売というのはSMグループ、シューマートとかって言われますけど、SMと、このピュアゴールドと、それからルスタンズを買収したロビンソンズのこの3つが主要な近代小売の大手3小売ですと。その中でこのピュアゴールドというのが比較的本当に庶民のスーパー、ハイパーと言われるようなところで、いろんなところにありますと。

このピュアゴールドに行くと、この写真、左側の写真、レーン9~18と書いていますけど、ホールセールと書いていますよね。これってどういうことかと言うと、レーンは18レーンあるんですよね。キャッシャーが18個あると。相当大きいですよね、この店舗。1~8までは基本的には一般のB2Cの消費者が買い物をするレーンですよと。レーン9~18、半分はホールセールの人、問屋の人たち専用のキャッシャーなんですよね。どういうことかと言うと、問屋の仕入れがピュアゴールドで行われているという話ですよね。

日本でもね、例えばね、外資の、僕はね、最近は楽しみになったんだけど、一時期はもう本当に行くのが億劫だった…、コストコか、コストコというところがあるんですけど。最近は大好きで、あそこで最後ね、アメリカンなピザとスープとアイスクリーム食べて、子どもと一緒に帰るのがいいんですけど。まあ、でっかいこんなのを押させられて、「こんなに要るの?」と、「これ無駄になってない?」と、「逆に言うと高くないですか?」みたいなね、あれも基本的にはいわゆる事業者向けの、コストコって事業者向けのスーパー。スーパー…? スーパーじゃないな。事業者向けですよね、あれね。ショッピングセンターで、ホールセール向け、問屋向けで、会員にならないと入れなくてというところで。そうそう、僕がなぜコストコが嫌だったかと言うと、「AMEXしか使えません」みたいなね、そういうのから、「今度はAMEXじゃなくて、Masterしか使えません」みたいな、そういう使い勝手の悪いというか、それも嫌だった理由だったんですけども。最近は好きですけどもね。そのコストコみたいなものがあるんですけど。

でも、このピュアゴールドって、どちらかと言うと、日本で言うところのイオンみたいなところなんですよ。決してコストコみたいなああいう店のつくりをしていて、倉庫に買いに行くみたいな感じですよね、コストコって。そういう感じじゃないので、本当にスーパーなので、スーパー、ハイパーみたいなところなので、そんなところじゃないと。日本でもコストコに仕入れに行くって、小料理店のね、社長兼料理長みたいな、料理長というほどじゃない、店主がね、食材仕入れに行ったりとか、自分の店に出すトイレットペーパー仕入れに行ったりとか、そういうことをしてますけど。基本的に小さな小売店の人がそこで売るものをね、食材を仕入れに行くというのは理解をするんですけど、お菓子とか飲み物とか、そこで売るものを仕入れていくって、なかなか面白い形態で。だから、その辺のジュース屋さんの店主が、イオンで売るジュースやスナックを買いに行くみたいな、そういう話なんですよね。

ピュアゴールドというのはホールセール向けのサービスを非常に充実させている小売の1つでもあって、この次の写真を見てもらうと分かるんですけど、この黄色いのは、これはまさにTTの、伝統小売の店先をイメージしているようなものなんですけど。向こうでサリサリショップ、SSSとか呼ばれる、サリサリショップというのはいわゆる伝統小売のことを指すんですけどね。言ったら、「伝統小売売れ筋10」みたいなものが置いてあるわけですよ。これを買っていくと、だいたい伝統小売で最も売れているものはこの10個ですよ。この10個を間違いなく買っていきましょうね。その伝統小売のオーナーの経営支援みたいなことをすごくやっていて。日本企業の商品は、残念ながらこのピュアゴールドが推奨する伝統小売売れ筋10とか、15とか、20の中にはね、なかなか入ってなくて。これがまた、なかなか日本の消費財メーカーのまだまだ課題がある部分でもあったりするんですけど。

ピュアゴールドの店舗を見てみると、この「Aling Puring Program(アリンプリンプログラム)」というのが、このまさに伝統小売の店主を支援するピュアゴールドのプログラムなんですけどね。こうして10個入りとかで売ってますよね。これは袋を開けてバラすと1個1個小さい個包装になっているんですけど、こういう形態のものがちゃんと売っているんですよ。これ、個人で買わないですよね。個人はもっと大きい袋で1個入っているものを取ったりとか。これって小分けなんですよね。伝統小売の最大の魅力って、今欲しい分だけを今買えるというのが最大の魅力で。実は近代小売よりも伝統小売のほうが10%から20%ぐらい1個あたりとかグラム単価が高いんですよ、実はね。伝統小売のほうが安いように見えますけど。だから、伝統小売というのは、少ない量、今欲しい分だけなんですよ。ポテトチップスでっかい袋を買ったら残っちゃうじゃないですか。家で残っても別にまたジップロックして、また食べたいときに食べればいいんだけど、伝統小売というのは残っちゃ嫌なんですよね。今食べたい分だけなので、ポテトチップスやスナック菓子もちょこっとなんですね。そのちょこっと入りのパッケージの商品がこうして「Aling Puring Program」にいっぱい並んでいて。

ここにやっぱり日本の菓子メーカーもなかなか入り込めていないというね。ここに入れると、伝統小売のオーナーが買っていくので、自分たちでわざわざ伝統小売を攻略する必要もないわけですよ。ディストリビューション・チャネルをつくって。80万店、伝統小売がフィリピンにある中で、この「Aling Puring Program」を通じて仕入れている伝統小売は相当数ありますから、ここをうまく活用するということがなかなかできていないというのは非常にもったいない実態なんですけど。こんな面白いね、僕、最初に見たときに、結構面白いな、これと。イオンで買うんだと。僕らは商店やっていてイオンで仕入れていくって、日本だとそんな発想ないですよね。なぜならば、日本はイオンで売っているものも、商店で売っているものも、基本同じ大きさ、同じ値段みたいなパッケージで、むしろ小さい商店のほうがちょっと割高だったりするわけですよね。イオンのほうが大量仕入れでセールをやっていたりするわけですけど、小さい商店のほうがこうなっていると。
向こうは、基本的には割高は割高なんだけども、サイズが全然違うわけですよね。イオンでは大きいサイズ、でも、商店では小さいサイズ、伝統小売では小さいサイズで今使いたい分だけと。頭痛薬なんか分かりやすいですよね、24錠入っていて、48錠入っていて。だいたい頭痛薬というのは2錠飲むわけなんですけども、48錠で2錠、今、頭が痛いから飲んだ。残りの46錠をいつ使うか分からないわけですよね。なのに、何千円も払わなきゃいけないという、このキャッシュフローがフィリピンの人たちにとっては負担なわけですよね。まだフィリピンって、多くのケースで給料日が2回あるんですよ、月にね。それってやっぱりキャッシュを回すということが個人の生活にとって本当に大変で。そうすると、いかに今使いたい分だけ、多少割高になってもということですよ。ローンなんかまさにそうですよね。キャッシュフローが悪くなるからローンを組むわけですよ。でも、ローンで買うよりも絶対に現金一括払いしたほうが安く買えるわけですよね。だって、ローンってローン分の金利があるので。なので、僕はローン絶対しないですけど。なので、キャッシュフローというのがすごく重要で。これを支えるのが伝統小売の構造なんですよね。

だから、このピュアゴールドと伝統小売、近代小売と伝統小売のフィリピンの構造は、非常に僕は面白く見ているんですけども。ここをもっとね、日本の消費財メーカーも活用していくと、まだまだ伝統小売の市場を伸ばせると思うので、ぜひ考えてみてはいかがでしょうか。

今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。