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第436回【本の解説】 「デファクト・スタンダード」へのこだわり

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が去年出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は、114ページ、2-14、「「デファクト・スタンダード」へのこだわり」というところについて、お話をしていきたいと思います。デファクト・スタンダードになるということ、日本企業は非常に不得意としてきていることですけども、これは新興国市場でもその通りでございまして。やっぱりデファクトにはならないですよね。どういう企業がデファクト・スタンダードになっているかと言うと、やっぱり早く出た企業というのがデファクト・スタンダードになる傾向が非常に強い。もしくは、もう桁外れの新たな技術とかテクノロジーでまったく新しい世界観をつくった企業というのがデファクト・スタンダードになる傾向が強いわけなんですけど。スピードか、もう圧倒的なスピードというか、1番になるスピードか、もう桁外れなテクノロジーかというこの2つだと思うんですよね。

アジアのデファクト・スタンダード。例えば、マクドナルドとか欧米の消費財メーカー、食品であったり、日用品の消費財メーカーがなぜあれだけ早く新興国市場に出ているのか、ASEANでもそうだし、世界のトップ10の消費財メーカーというのは全部欧米のメーカーなんですけど。なぜ彼らがそれだけ早く出るかと言うと、結局、飲食業、チェーンストアの飲食業も、マックやケンタッキーや消費財メーカーも、これ、中間層の数の勝負なんですよね。マクドナルドなんて、どれだけたくさんの人の胃袋を捕まえることができるかということが彼らの成長の中で最も重要で。70億、80億の人口がいて3食食べるわけですから、×3なんですよね、彼らのマックスの市場というのが。その胃袋を何個獲れるかということを考えたときに、やっぱり早く未開の地に出ていって、ハンバーガーを食べたことのない人の口にハンバーガーを突っ込んで、「これがハンバーガーなんですよ。おいしいでしょ」ということを教えていかないといけない。

なぜ彼らが、マックがあれだけ子どものハッピーバースデーをやったりとか、子どもにあれだけ力を入れるのかと言うと、子どものときに食べたものは死ぬまでやっぱり頻度はいろいろ個人差があるにせよ、必ず繰り返し食べたくなるわけですよね。どんなにおいしいフランス料理やイタリア料理で、中華料理でも、毎日毎日それだったら嫌になるわけですね。われわれも、「味噌汁と、白飯と、魚と、なんかたくあんがいい」みたいになるわけで。結局、小さいときからずっと舌に慣れ親しんできたものが絶対おいしいんですよね。私はいろんな国の人といろんな食事をするんですけど、よくこんなものを毎日食べれるなと思うのを、「おいしい。おいしい」と言って食べている。ちょっと国の悪口になっちゃうのであれですけど、えーっていうものをずっと毎日食べている人たちだっているわけで。僕が思うに舌のセンサーが日本人に10個付いてるとすると、3つぐらいのセンサーで満足するという人もいるんですよね、世界にはね。だから、そういう意味ではシンプルな味をずっと口に突っ込み続けるというのはすごく重要で。

消費財メーカー、菓子メーカーだってそうですよね。チョコレートの味はこれなんだ。僕らにとってはもう「チョコレートは明治」とかね、あと、ロッテのガーナチョコレートとかめちゃめちゃおいしいな、チョコと言ったらこれでしょと思うんだけども、ハーシーズとかああいう欧米系の甘いやつのほうがいいって多くの新興国市場の人たちはもうすでに思ってしまっているわけで。早く突っ込んでいくということはやっぱりすごく重要なんですよね。それを科学的に理解をしているというふうに言ったほうがたぶんよくて、だから早く出るということのプライオリティが高い。日本企業の場合は「早く出る」ということのプライオリティよりも、「ミスをしない」ということのプライオリティのほうが高いので、なかなかやっぱり早く出れないというのが非常に見ていて感じるところかなと。

映画でもそうだと思うんですけど、デファクト・スタンダードってなぜなれるかと言うと、衝撃なんですよね。速さということの物理的な速度がデファクト・スタンダードを生んでいるというよりかは、僕は衝撃、早く出てまだ誰もそれに近しいものとかそれを見たことがない、味わったことがない人にその衝撃を与える、そのガツンという衝撃がデファクト・スタンダードとして残るという話で。映画とかそうですよね。「『2』とか『3』は『1』を越えられない」というのは、まったくこれまでなかったようなストーリー展開、映像展開のものをガーッと見せられるから、『1』がすごく素晴らしいわけですよ、映画って。何年か後に『2』『3』を出したって、なかなか1の衝撃を超えない。『ダイハード1』の衝撃を、『2』も『3』も『4』も超えないわけですよね。『トップガン』は、35年経って、私、最近、機内で見たんですけど、すごい面白かったです、『トップガン2』。でも、それって35年経って『2』を出しているから、また衝撃がガーンと来ているだけで。『トップガン1』のときにね、僕は中学生ぐらいだったと思うんですけど、あのかっこいい衝撃、あのあと『2』を出しても、何年か後に『2』を出していても、衝撃がやっぱり小さいんですよね。35年ぐらい空いて初めてガツンという衝撃が来るので。デファクト・スタンダードって衝撃を与えるということで、誰も見たことない、やったことない、味わったことないところにどれだけ早く衝撃を与えられるかということがやっぱりすごく重要なことになるということなので。ミスしない、失敗しないということよりも、やっぱり早く衝撃を与えるということを日本企業はもっと優先していくべきじゃないかなというふうに思います。

今日も話が長くなりまして申し訳ございません。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。