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第449回 【本の解説】3C分析でファクトを把握する

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』、去年、私が実業出版社から出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は3-5、131ページ、「3C分析でファクトを把握する」という章についてお話をしていきます。実はね、このページは、3C分析と4P分析を組み合わせていかに戦略を描いていくかという解説をしているページなんですけど、タイトルがね、「3C分析でファクトを把握する」というふうになっているんですけどね、これはちょっと改訂のときに変えようと思うんですけど、「3C分析でファクトを把握し、4P分析で他社と比較する」という、これが非常に重要で。3Cは事実の把握、4Pは他社との比較という、このコンビネーションが非常に重要ですよというお話なんですが、それについてお話をしていきたいと思います。

スライドをお願いします。このスライドの通り、1と2があって、3C分析と4P分析があると。3C分析が何なの?ということ、4P分析が何なの?ということ、詳しくはググってもらえればパッと出てくるので、それを読んでもらって。3C分析って、カンパニー、カスタマー、コンペティター。簡単に説明すると、自分、自社と市場と競合を可視化するということなんですよね。可視化するということは、つまりはバイアスのかかっていない事実を客観的に捉えるということで。特に市場も自分が見たい市場を映し出すのではなくて、本当に現実的な市場を客観的に見る。結構自分たちで調査をすると、自分たちの描きたい方向に描きたい方向に事実が着色されていくというケースが見られるので、どれだけ客観的に見れるかということがすごく重要で。もう本当にフラットに、逆に自分たちが見たくない方向に方向に持っていくということも駄目で、本当にフラットに見るということがすごく重要で。

競合もしっかりと見ていく。この競合に関しては、基本的に自社でどうこうなる話じゃないですよね。市場というのは、いわゆるマクロ調査、マクロデータをベースに見ていくということなので、言ったら公的機関とか国やシンクタンクがある程度データを公開していたり、それからまたそういうデータを販売しているところからデータを買うということはできるんですけど。この競合調査だけは、自分たちの営業が現場でつかんでくるような競合調査なんて競合調査とは言えないので、やっぱり産業系の調査になってくるし、餅は餅屋であって、そういう調査を得意としている会社、われわれの宣伝をしているわけではないですけども、われわれのような会社にやっぱり委託をするということをやらないと、なかなか本当に必要な競合情報というのは入ってこないので、競合調査、競合を客観的に見る。特に競合の競争力をベースにどうやって自分たちの競争力を上げていこうかと、これが市場でぶつかって、初めて勝てるわけなので、自社と競合と見ていくわけですけども。これが市場で戦ったときにどうなるかという、この客観視がすごい重要で。日本企業というのは、なかなか競合を見るというところが弱いというか下手で、対前年比と戦うみたいなね。自分たちの対前年比110%、115%チャレンジで頑張ろうみたいな話で進んでいくケースが多いんですけど、そうじゃなくて、競合が100やっているんだったら自分たちは110やらないといけない。じゃあ、競合は何をやっているの?というところを可視化していくから初めて戦略に役立つ情報になるわけで。この3C分析というのはまさにこの3つのポイントのファクトをつかむ、事実をつかむ、客観視するということはすごく重要。

一方で、4P分析というのは、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションの4つのP、マーケティングミックスを組み立てていくということになるわけなんですけども。ここは4Pというものを4Cという観点で考えていく。4Cはググってください。スッと出てくるので。4Pがつくり手側の観点のマーケティングミックスだとすると、4Cというのは買い手側から見たものなので、どちらかと言うと4Cの観点で考えていかないといけない。この4Pとか4Cというものを競合と比べたときにどうなの?と、日本企業の4Pというのは、基本的にはもう自分たちの商品があって、日本で実績が出ていて、これをベースに、このプロダクト、最初のPのプロダクト、これをベースに、アジア新興国なので若干安くするけども、またプレイスも本当に重要な、例えば消費財だったら伝統小売が重要なんだけど、伝統小売みたいな汚いところは重要なのは分かっているんだけど後回しで、近代小売中心で、プロモーションはできれば実績が出るまで掛けたくないみたいな、そういういわゆる製品ありきの4Pが組み立てられるので、4Pありきでターゲットみたいな話になってしまう。それだと新興国で最も重要な中間層みたいなね、B2Cだったら中間層だし、B2Bだったらローカル企業だし、そういうところになかなか当てていけなくなるので、これはやっぱり競合と比較する。競合と比較してプロダクトどうなの? 競合と比較してプライスどうなの? 競合と比較してプレイス、販売チャネルどうなの? 競合と比較してプロモーションどうなの?ということをやっていくと、もう数値で競合との差異が分かってくる。この差異を埋めるということがマーケットシェアを上げる、売上を上げるということなので、3Cを客観的にファクトの把握をして、4P、4Cで競合と比較するということをしっかりやると、非常に現実味を帯びた戦略ができあがるということにつながります。

ここを正しくやれているのに戦略が間違っているなんていうことはまずあり得ないので、日本企業の戦略がいまいち売上につながらない、シェアにつながらないというのは、まさにこの3Cとか4Pの分析が、やっているんだけどもやり方がまずいというところ、そこをもう1回やり直すとしっかりとしたものが出来上がると思いますので、ぜひ皆さん、今日お話ししたポイントを気を付けてもう1回やり直してみてください。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。