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第454回 【本の解説】競合の可視化なくして自社の戦略はない その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』、私が去年、日本実業出版社から出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は142ページ、「3-9 競合の可視化なくして自社の戦略はない」ということについてお話をしていきます。この章は競合の可視化、競合調査ですよね。この競合の可視化とか競合調査というものは自分たちの参入戦略とか、すでに参入しているんだけどなかなかシェアが上がらないときの再参入戦略をつくるときに非常に有効な手段で、今までいろんな企業を見てきた中で1つ言えることは、あまりにも競合の情報を知らなさ過ぎるというか、競合の自分たちの現地の現場の営業マンが現場で拾ってくるような表層的な競合の情報だけで競合を解釈しているので、それが具体的な数値として自分たちの理解になっていないんですよね。

どういうことかと言うと、例えば自分たちの競争力を100とした場合に、主要な競合の競争力ってどれぐらいあるの?120なの?150なの?それとも200なの?300なの?どれぐらいの差異がそこにあるんですかと。ほとんどの場合、競合というのは自分たちよりも競争力が高いということになるので。結局、自分たちの基準値もないので、競合がどれぐらいの競争力を持っているかということも具体的には分かっていないので、自分たちには何があって何が足りないのか、何が足りていて何が足りないのか、何をどう補わなきゃいけないのかというところが具体的にイメージできないので、どうやって現状を改善してシェアを上げていくかという具体的な方策に移れないというケースが非常に多い。なので、より良い製品をつくるとか、よりユーザーにインサイトを見ようとか、消費者のインサイトを見ようみたいな話になってしまって。でも、永遠にそんなインサイトなんか見えないので、結局そこではなくて、主要競合の可視化がないことが実際の問題の大きな要因だったりするということはたくさん見てきていて。今日は主要競合の可視化、競合調査の重要性についてちょっとお話をしていきたいんですけど。

前置きが長くなってしまってすみませんけども、スライドをお願いします。どういう企業を見ていくかということなんですけど、ASEANに限らず新興国市場に行くと、基本的に3つのタイプの競合がいるんですよね。左から欧米系のいわゆる先進グローバル企業と言われるような欧米の大手の競合。最近だとアジアの企業も成長著しいですから、中国を含めたアジア、ローカル系の企業が1つあると。ここは非常にコストが安い。欧米系はコストは言ったら高いんだけども、ブランド力が非常に強い。ローカル系はとにかくコストが安い。昔は安かろう悪かろうだったんだけども、最近は品質もなんなら変わらないんじゃないの?という状況になってきてしまっている。あと、最後、日系と。正直、日系の調査をするということもなくはないんですけど、基本的にある程度想定範囲内のケースが多くて。最近だと非常にね、欧米系よりもはるか、はるかとは言いませんけど、欧米系と同じぐらいに進んでいる日系企業も出てきているので、日系企業の調査をするということもありますけど、主となるのはやっぱり欧米系の競合とローカル系の競合を可視化していくというのが多いんじゃないかなというふうに思います。

主要競合の可視化というのは企業情報とか財務情報、流通構造、川上から川下までの流通、主要な流通プレイヤーやレイヤー毎の中間流通プレイヤーなどの可視化をしていくわけなんですよね。レイヤー毎にどういう役割、立ち位置、機能、マージン等がどうなっているのかということを見ていって、今後の市場参入戦略において必要と思われる情報を収集、分析、整理することを、われわれは主要競合の可視化とか、主要競合調査というふうに呼んでいて。

これができると、自社の参入戦略におけるベストプラクティスを得ることができるので、本当に有効なんですよね。独りよがりの戦略をプロダクトベースでつくるということではなくて、基本的には相対比較で、競合の競争力がこうだから自分たちはここまで持っていくとか、競合の強みはこうで弱みはこうだから自分たちの強みと弱みはここに持っていくとかっていうことを対競合でポジショニングできるので、非常に有効なんですよね。市場に対して競合がいるわけなので、「競合の可視化をしないで何をするんだ、戦略って」という話なので、そもそも競合のことを知らないというのは、やはり非常に問題で、多くの日本企業がこの競合の可視化が非常に足りていないという状況でございます。

次のスライドまでいくと、こんなような項目を調査をしていくんですけど、この競合調査とか競合の可視化だけは残念ながら自社でできる類の調査じゃないんですよね。それこそ市場調査みたいなものを、マクロデータなので、ある程度デスクリサーチでできますと。なので、自分たちでやることもできるし、どこかのコンサル会社さん、調査会社さんにお願いしてやることもできます。きれいにまとめて分析までしてくれるでしょうと。一方でもう1つあるのが、B2Cだと消費者調査とかっていうのはね、基本的にはパネルを使っていろんな手法で消費者のインサイトを見ていくと、これも消費者調査会社があるので、これも簡単にできる。

この主要競合調査とか競合の可視化みたいなものというのは、やっぱりこの領域の調査で経験値のある企業でないとなかなか深い情報まで行き渡らない。これってもう、全部インタビューなんですよね。対象企業の現社員、元社員、取引先、あらゆる関係先にヒアリングをすることでこういった情報を取ってくるわけなんですけど、これだけはやっぱり外部にしっかりと予算を取って発注をしていかないとなかなか難しい。別に営業しているわけじゃないんですけど、20年私どもの会社はこういうことをやってきていますけども。やってきているからこそ、これはなかなか難しいなと。われわれでも情報の取得が難しい地域であったり企業というのはありますから、そんなものだなというふうに思います。

だいぶ時間がきてしまったので、もう少しお話したいので、次回もう1回、この3-9のお話、主要競合の可視化のお話をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。