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第455回 【本の解説】競合の可視化なくして自社の戦略はない その2

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』、日本実業出版社から私が去年出した本ですが、解説をしていきたいと思います。

前回、142ページ、「3-9 競合の可視化なくして自社の戦略はない」というお話をして、今日はその続きです。その2ということでお話をしていきたいなというふうに思います。前回お話したのは、日本の企業、B2CもB2Bも主要競合の可視化みたいなところの調査が非常に弱いですよと、競合のことを知らなさ過ぎですよと。自分たちの現地、現場の営業マンが現場で拾ってくるような表層的な情報、これぐらいの内容である程度競合を理解しようとしているけども、競合だって競合に渡したくない情報を現場では落としませんから、逆に自分たちの営業が現場で拾ってくる競合情報なんていうのは、言ったらそんなに重要な情報ではなくて、それよりももっと根幹に関わるような情報を知らないといけないし、もっともっと競争力に関わる情報。前回もお話しましたけど、日本の多くの企業は自分たちの競争力の基準値をなかなか持ってなくて。例えば、これはどっちを100としてもいいんですけど、主要な競合の競争力を100とした場合に、自分たちの競争力ってどれぐらいなの?70なの?50なの?30なの?と。もしくは自分たちを100とした場合に競合の競争力って130?150?200?300?どうなの?ということを数値で把握して、自分たちには何が足りていて、何が足りていないのかということを明確に把握できないと、どこをどう改善していいのか分からないので、永遠にシェアが上がらないというジレンマに陥ってしまいますよという話をして。だから、この競合調査というのは自分たちが参入戦略をつくるとき、もしくは参入しているんだけどなかなかシェアが上がらない、そういったときにもう1回再参入戦略をつくるときに大変有効な情報ですよと。この調査に限ってはもう自前でできるようなものではないので、われわれのような専門の会社に委託をするということをしっかりとやってくださいという、そんなお話を前回はしました。

前回のさらいをもうちょっとすると、スライドの1枚目をお願いします。基本的には欧米系、ローカル系、日系、こういった企業群を可視化するということになると。欧米というのは言ったら先進的なグローバル企業が多くて、最近だとローカル企業がもう思いきり競合になってきていて、安いわ、品質いいわで、日本企業のポジショニングがだんだん押しやられているというような状況になっているので。だいたいこの欧米系、ローカル系、日系企業というのはだいたい日本国内でも競合になるのでやっていることは50歩100歩でまあまあそんなにないのかなと、だいたい欧米系、ローカル系かなというふうに思います。

じゃあ、どんなことを調査するの?ということで2枚目のスライドで前回こういうお話をしたんですけど。特にね、この右側の2-2、2-3、2-4とか、こういうところがやっぱり非常に重要。2-5、3、4ですね、こういったところもやっぱりすごく重要で。あと、1-1-4とかね、ディストリビューター周りの話、こんなところも非常に詳しく見ていったりするんですけど。

3枚目のスライドで、もっと具体的にお話すると、やっぱり競合の競争力を見るっていうとね、チャネル戦略がどうなっているんですかということと、ディストリビューション・ネットワーク、チャネル戦略を形成しているディストリビューション・ネットワークがどうなっているんですかということと、そのディストリビューション・ネットワークを動かしている組織と、その組織のマネジメント体制がどうなっているのかという、この3つの可視化にだいたい集約されてくるんですよね。これを競合A、B、C、D社といたら4社、4社調べるということはね、相当予算を使いますからあまりなくて、だいたい2社ぐらい、2社~3社ぐらいを調べていくわけですけども。これを可視化しますと。これを可視化して自分たちと比較することでその差異が初めて明確に具体的に数字で明確になって、自分たちの対策を打つことができるという、これが主要競合の可視化の最大の魅力なんですよね。

チャネル戦略の可視化って簡単に言うと、このたぶん3-10とか3-11でチャネル戦略の可視化ってどういうこと?ディストリビューション・ネットワークの可視化ってどういうこと?組織とマネジメントの可視化ってどういうこと?ということは詳しくやっていくので、ちょっと概要でお話すると、チャネル戦略の可視化って、主要競合ってチャネル戦略をどう考えているの?と、販売チャネルって大きく言うとストラクチャーがチャネル戦略をどう考えているの?と、まさにストラクチャーそのものなので、どういうふうに考えているかによってどういうふうにストラクチャーがデザインされるかということになるわけだから、直販なのか、ディストリビューター経由なのか、ハイブリッドなのか、だいたいハイブリッドですけども、B2Cの場合は消費財の場合はMTが直販で、TTにディストリビューションをつくるということなんですけど、そういう基本的なチャネル戦略がどういうストラクチャーになっていますか?ということと。

ディストリビューション・ネットワークの可視化というのは、それをどういうふうにネットワークしているの?と。消費財だったらP&G型なの?ネスレリーバ型なの?どうなの?と。B2Bでも、1カ国1ディストリビューター制なんですか、もしくはインダストリー毎に分けているんですかと、どういうふうにディストリビューション・ネットワークしているんですかと。1カ国1ディストリビューター制でマーケットシェアを高めていけるなんていうのは、なかなかちょっと今のASEAN、新興国では現実的ではないので、基本的にはやっぱりネットワーク化していくわけですよね。ディストリビューション・ネットワークというものが力になっていくので。それがどういうふうなネットワークになっているの?自分たちが1社しか使ってないけど、敵は100社使っていますよと。100社がこういうエリアで、こういう役割で、こういうふうにネットワーク化されていますよということを見たら、一目瞭然で競争力の差が出てくるわけですよね。

3つ目の主要競合の組織とマネジメント体制の可視化というのは、じゃあ、このディストリビューション・ネットワークを動かすのはどういう組織なんですかと。もう組織の体制でも負けているというケースも往々にしてあって。それを、じゃあ、その組織をどういうふうに動かしているの?と。組織って優秀なスペックの人材を100人集めても、それを動かすマネジメントの仕組みが良くなかったら、パフォーマンスは出ないわけですよね。出ないというか、本来出る100というパフォーマンスに対して70とか60のパフォーマンスしか出ないわけで。でも、このマネジメントの体制が非常に素晴らしければ、本来は100ぐらいのパフォーマンスが110、120出たりするわけなので、それがどうなっているのかということを見ていくわけですよね。

こういうことを見ていくと、自分たちの戦略が具体的になる。日本企業は決して戦略をつくるのが下手なのではなくて、戦略をつくるための競合のインプットが足りなさ過ぎると言ったほうがいいのかなと。それをじゃましているのが自分たちのやっぱり製品の良さに対する過信が競合を可視化していくということを遠ざけてしまっているような気がします。この20年間、たくさん企業を見てきましたけども、やっぱりどれだけ海外で長くやっていても競合のことを本当にこんなに分かっていなかったなんていう企業って多くて、これだけ具体的に数字で分かると、次の手が1つも2つも3つも増えてくるので、ぜひ主要競合の可視化も1度見直してみてはいかがでしょうか。

今日で2022年の放送最後になると思います。また年明けからこのSPYDER CHANNELも引き続き続けていきたいというふうに思っております。2023年は、いよいよコロナも収束して、もう2022年後半から私は海外出張が始まっていますけども、海外にも行く機会が増えてくると思うので、海外の現地レポートみたいな動画も増やしていけるんじゃないかなというふうに思います。

本当にこの1年、お世話になりました。登録者数もだいぶ増えてきて、視聴者数というか、再生回数も、こんな番組なのでね、娯楽番組と違ってなかなかたくさんの人に見てもらうというような番組ではないですけども、この番組を通じてご連絡いただいたり、お問い合わせいただいたり、セミナーに参加していただいたりという方も非常に増えてきておりますので、モチベーションになっております。来年も引き続き、しっかりとした番組づくりをやっていきたいと思いますので、皆さん引き続きご愛顧いただけましたらありがたく思います。

それでは皆さん、良いお年をお迎えください。本年度の放送はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。