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第458回 【本の解説】主要競合のディストリビューション・ネットワークの可視化

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から、もう一昨年前になってしまいましたが、私が2021年に出した本でございます。この本の解説、まだ3-11、147ページなので、引き続きやっていきたいと思います。

今日は147ページ、「3-11 主要競合のディストリビューション・ネットワークの可視化」ということで、ディストリビューション・ネットワークのお話をしていきたいなというふうに思います。ディストリビューション・ネットワークというのは、ディストリビューターの集合体です。自分たちが商品を小売に配荷するために、どういうディストリビューターを、どの地域に、何社使って、それをネットワークしているのかという、ストラクチャーそのものなんですよね。2次店、3次店構造になっているときもあれば、1社のディストリビューターにお願いをして、2次店、3次店を使って総勢数十社とか百社とかっていうディストリビューション・ネットワークになるケースもあれば、自分たちで細かいところを直接的に使っていくというケースもあるわけですよね。これって商品の特性によって、ディストリビューション・ネットワークの量、ディストリビューターの量と規模というのは変わってくる。例えば、P&GなんかはASEANでだいたい今、8社ぐらいのディストリビューターを使っていて、比較的大規模、本当に大規模が2社ぐらい入っていて、あとは中堅規模で、もうP&Gの商品しか扱っていませんみたいなね、それでも数十億の売上があるとかっていう、比較的中堅規模と大手を使うという傾向が強くて、それって彼らの商品特性によって、そんなに細かいマイクロ・ディストリビューション、ネスレとかユニリーバみたいなマイクロ・ディストリビューションって要らないんですよね。

一方で、ネスレとかユニリーバって、例えばスリーワンコーヒーとか食品のものすごく、伝統小売といっても、どの伝統小売にも置いてあるような商品、存在するすべての伝統小売にほぼ必ずあるような商品、P&Gの日用品って、別にすべてのディストリビューターになくてもいいわけですよね。日用品専門のそこそこちゃんとしたTTには置いてあるべきですけども、例えばネスレのこのスリーワンコーヒーなんていうのはどこへ行ったってあるわけで、そうすると、やっぱり彼らはマイクロ・ディストリビューションをつくらないといけない、150とか200のディストリビューターを使って配荷をしていくわけなんですよね。

そのディストリビューション・ネットワークがどうなっているのか。主要競合ってどういうふうにネットワークを使っているのかなと。結構、日本企業、最近だと少なくなってきましたけども、1カ国1ディストリビューターで、そこにお願いしたら、あとはお任せみたいな状態になっているんだけども、それだと物理的にやっぱり行き届いていなかったよねみたいなケースというのは本当に多くて。例えば、図でちょっと説明をしたいので、スライドをお願いします。この図の通り、主要競合A社は100社程度のディストリビューターで20万間口をカバレッジしていると。これはベトナムですけど、ベトナムには今、66万間口ぐらい、67万間口かな、TTがあります。その中で100社のディストリビューターを南のホーチミン、首都の、北のハノイ、そして真ん中のダナンというエリアがあって、それのエリアではそこそこ大きいところを使って、あとは小さいところを総勢100社使うと、これで20万間口をカバレッジしている、1社あたりの間口カバレッジ数は約2,000社ですと。

一方でB社。B社は、これも同じ100社程度のディストリビューターを使っている。なんだけども、間口のカバレッジは10万間口ぐらいしかカバレッジできていない。1社あたりの間口カバレッジというのは1,000社ですよと。これ、A社とB社を比べると、同じ数のディストリビューターを使っているんだけども、間口のカバレッジはA社のほうが倍あるということは、やっぱりこの100社のパフォーマンスがA社のほうが高いということですよね。選ぶ100社によって、パフォーマンスってこれだけ違うわけですよ。どういう100社を選ぶかによって、パフォーマンスというのはこれだけ倍も違ってくるというのはA社とB社の違い。では、日系企業はどんなふうになっているかと言うと、多くの場合がホーチミンで1社ディストリビューターを決めて、間口は500間口カバレッジです、以上で終わっていますみたいな、MT含めて500ですみたいな、そういう状態になってしまっているというか、ほぼほぼMTだけで500ですと、TTにはほとんど行き届いていませんみたいな状況になってしまっていると。これだとやっぱりなかなか難しいので、一体、主要競合はどういうふうにディストリビューション・ネットワークをつくっているんだろうと。

これはA社もB社も完成形なので、全土でディストリビューション・ネットワークを張り巡らせていますけど、別にこんなに最初からやる必要はなくて、ドミナントでホーチミンとその周辺エリアだけでまずはやっていくということをやりながら、そこである程度の成功体験というか、型ができあがったら、それを水平展開させていくということでも全然問題ないので、とにかく自分たちのあるべき、ディストリビューション・ネットワークの姿、型を手に入れるということが重要なので。まず、小さく始めて、その型を手に入れるということをやると。そのためには参考となる主要競合の可視化をしっかりやるということが大変重要になってくる。特にベトナムなんていうのは、ディストリビューターがセールスの機能を持っていない。デリバリーの機能しか持っていない。そうすると、自分たちでセールスをやっていかないといけない。そうすると、自分たちの役割とディストリビューターの役割を明確に分けていかないといけない。そんなことも考えると、本当にこのディストリビューション・ネットワーク、ベトナムなんかは大変重要であるということが言えると思います。

それでは今日はこれぐらいにします。また次回お会いいたしましょう。