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第464回 【本の解説】伝統小売と近代小売の両方を攻略 その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が一昨年前に出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。前回に引き続き4章、164ページ、「4-1 伝統小売と近代小売の両方を攻略する」ということでお話をしていきたいなというふうに思います。

ちょっとすみません。早速スライドをお願いします。前回と同じスライドになりますが、前回はこのスライドを使ってご説明をしたわけですが…。非常に、ASEANでなくとも、今回はASEANの話ですけども、伝統小売が非常に多いですよと。特にVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンというのは、私はVIPを後進ASEANというふうに呼んでいますけども、この3カ国は非常に伝統小売の比率がまだ高くて、8割ぐらいが伝統小売というふうに考えてもらって。SMT、シンガポール、マレーシア、タイというのが先進ASEANで、首都だけ見たらもう完全に先進国ですよね。シンガポールは淡路島ほどの小さな国ですから、人口も400~500万人の小さな国ですので、基本的には先進国ですけども、タイだってね、マレーシアだって、ひと昔前はインドネシアとかフィリピンとそんなに…。ひと昔前って、私が住んでいたのは30年以上前ですけども、それぐらいの前はそんな感じだったんですけど、今はバンコクなんて完全に先進都市ですし、クアラルンプールだって、マレーシアの、先進都市なので、首都だけ見れば非常に先進的なんですけど、それでもまだ50%は伝統小売が残っているという、そういう市場で。

この図の通り、近代小売だけを見ると、非常に近代小売の店舗数ってまだまだ少ない。一方で、右側の図の伝統小売の数を見ると、66万店、ベトナム、インドネシアで300万店、フィリピンで80万店という、非常にたくさんの伝統小売がある。この中で高いマーケットシェアを獲ろうと思うと、つまりは売上・利益を出そうと思うと、基本的にはこの両方を攻略しないといけない。多くの日系企業というのは近代小売で止まってしまっている。特に近代小売も日系のにおいのする、日本食材近代小売とか、例えばメインのローカル系の近代小売でも輸入品の棚に置かれてしまっているとかって言うと、これはまた近代小売に入っているとはなかなか胸を張って言えない状態。アジアンマーケットを狙っていると、それも一つの大きなマーケットではあるものの、いわゆるベトナム、インドネシア、フィリピンとか、VIPに行けば行くほどそのマーケットというのは小さいので、日系アジアマーケットで一番大きいのはアメリカですよね、最大マーケット。その次が例えば親日国、香港とか韓国とか台湾とか、そういったところは大きいですよね。ヨーロッパも一部大きいですけど、ASEANとかになってくるわけですけども。やっぱり近代小売もメインストリームに入らないとなかなかいけないと。その上でさらに伝統小売を攻略しないと、基本的には利益が取れない構造になっていて。

でも、じゃあ、伝統小売のパパママのオーナーのお父さんお母さんはどういう商品を仕入れるのかと言うと、基本的には限られた店舗の狭いスペースに売れない商品は置きたくないわけですよね。しかも彼らは現金で買ってくるわけですから、売れ残って返品なんてできないので、基本的には絶対に売れ残らない、絶対に売れる、しかも早く売れるというものを買いたがる。ということは近代小売で確実な実績、確実な売上、確実な人気のあるものしか彼らは基本的には取り扱わない。なので、卵が先かニワトリが先かみたいな話なんですけども、伝統小売で売るためにはまず近代小売で売れるということがすごく重要で、近代小売で売れ筋になって初めて、それを例えばばら売りに変えるとか、グラム数を減らすとか、入数を変えて伝統小売に投下するという、こういうコンビネーションになっているんですよね。それをほぼ同時にやっていくということがすごく重要で。多くの日系企業というのは、この近代小売のところにはなんとか入ったんだけども、伝統小売のストアカバレッジを伸ばすのに非常に苦労しているというのが今のステージなのかなというふうに思います。

過去にこの番組でも伝統小売の攻略方法とかって詳しく話をしているので、また検索してちょっと別のエピソードを見てもらったらと思いますけども、次でこのエピソードは最後にしたいなというふうに思いますけど、このいわゆる164ページの「伝統小売と近代小売の両方を攻略」ということは最後にしたいなというふうに思いますが。少しね、次回は、なぜ伝統小売をやらないといけないのか、伝統小売のデジタル化みたいなところについてお話をしていきたいなというふうに思います。

それでは皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。