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第463回 【本の解説】伝統小売と近代小売の両方を攻略 その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、この日本実業出版社から出した『グローバル・マーケティングの基本』について解説をしていきたいと思います。

今日から第4章ですね。5章で最後なので、もう少しですね。「第4章 日本企業のためのアジア新興国における新チャネル戦略」ということで、より具体的なチャネル戦略の話に入っていきます。今日は4-1、164ページですね。「伝統小売と近代小売の両方を攻略する」ということで、アジア新興国市場、特にVIPになると伝統小売という存在が消費財メーカーにとっては非常に重要で、シェアを上げていくということになると、この伝統小売がつきまとってくると。基本的にこれはASEANとかアジアにかかわらず、新興国市場というのは必ず伝統小売があって、この伝統小売がかつての流れだと、近代化していって淘汰されるという、こういう見方がずっとあったんですけど、最近いわゆるデジタル化によって、そうではない、新たなデジタル武装した伝統小売の存在なんていうのも目立ち始めてきて、今後数十年どうなっていくのかが非常に予想しにくいような状況になっていると。ただ、間違いなく言えるのは、かつてわれわれが考えていたように、伝統小売が近代小売に飲み込まれて淘汰されていくという世界はおそらくないだろうなと、伝統小売は伝統小売で進化をしていくんだということは1つあるのかなというふうに思います。この164ページは、まず近代小売と伝統小売の整理ということで、基本的に近代小売が何か、伝統小売が何かということはもう皆さんご理解いただいているということが前提でお話をするので、まず、なぜ伝統小売を攻略していかないといけないのかというところを数値的にちょっと見ていきたいんですが…。

スライドをお願いします。これは左がASEAN6カ国の近代小売の数でございます。左上のマレーシアは6,600店舗、だいたい主要どころがマレーシアは6,600店舗で、タイが1万7,300店舗、そしてベトナムが8,200店舗、フィリピンが9,400店舗、シンガポールが1,000店舗で、一番多いインドネシアが3万6,700店舗ということになっています。日本だとセブンイレブンだけで2万店あるので、この数がいかに少ないかということはご理解いただけると思うんですよね。インドネシアは3万6,700店舗なのでそこそこあるじゃないかということなんですが、実際にはこのインドネシアの3万6,700店のうちの3万店以上、3万2,000店ぐらいはインドマレットとアルファマートという地場系のコンビニエンスストアの店舗数なので、それを除いてしまうと5,000店舗足らずということになってしまいます。

一方で、じゃあ、右の図。右の図は何かと言うと金額ベースの総額、いわゆる小売を通じて消費される金額ベースのシェアがどうなっているか。近代小売を通じて消費されるパーセンテージというのは、特にこのベトナム、インドネシア、フィリピン、赤枠をしているところ、13%、15%、22%と、ユーロモニターのデータですけども。一方で伝統小売は、ベトナムでまだ87%、インドネシアで85%、フィリピンで78%ということで、まあまあ8割ぐらいはまだ伝統小売なんですよね。

じゃあ、その伝統小売の数ってどれぐらいなの?と、左側の近代小売に比べて右側の伝統小売の数って、じゃあ、ベトナムとインドネシア、フィリピンはどれぐらいなんですかと言うと、ベトナムなんかは66万店あると、インドネシアも300万店、フィリピンは80万店ありますよという、こんな数値なんですよね。ちょっとインドが載っていますけど、インドなんていうのは1,000万店を超えているのではないかっていうぐらい多いので、基本的には非常に発展途上である、新興国になればなるほど伝統小売というのは非常にまだまだ多く残っていると。タイとマレーシアでだいたい近代化の比率って50%ぐらいなので、基本的にタイ、マレーシアぐらいまでいくと、伝統小売をやらなくてもそこそこシェアが獲れるし、そこそこ利益が出せるというのがタイ、マレーシアの実態なんですよね。でも、まだ半分残っているということなので、非常に伝統小売が多いですよというのが実態です。

今日は一旦これぐらいで切りますけども、次回もっと伝統小売の攻略に何を日本企業が難しさを感じていて、どこに問題が、課題があるのかということを含めてちょっとお話をして、今後伝統小売がどういうふうに進化していくのか、少し冒頭で話しました、デジタル化によって、デジタル武装によって伝統小売そのものが進化をしていく世界というのがこの先にあるんじゃないかということも含めてお話をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん次回またお会いいたしましょう。