第467回 【本の解説】強固なチャネル構築に必要な3原則 その1
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。今日は170ページ、「4-3 強固な販売チャネル構築に必要な3原則」ということで、販売チャネルをつくる上で必要な能力というか、3つの能力というか3つのこと、3原則、原則と言っていいのかあれですけど、3つの非常に肝となるプロセスがあって、そのことについてお話をしていきたいなというふうに思います。
まず図をちょっと出してもらって、この図の通りなんですが、1つがデザイン力です。そしてもう1つがマネジメント力、そして3つ目がコミュニケーション力という、この3つの力がやっぱり強固なチャネルをつくる上では非常に重要で。「デザイン力って何?」言ったときに、これはお絵描きの話をしているのではなくて、チャネルそのものをどういうふうにデザインするのか。自分たちが売りたいターゲットに対して、チャネルづくりって水道管をつくるみたいな、張り巡らせるみたいなものなんですよね。自分たちのターゲットのいる目の前まで水道管を張っていかないといけない。そのデザインをしっかりしましょうねと。自分たちのターゲットが中間層ですと。中間層の例えばこういう小売店で商品を購入する人たちですというところまでは最低限決まるわけですよね。もっとインサイトに関しては別にあったとしても、例えばフィリピンの中間層、SM、ピュアゴールド、ロビンソンズで買い物をする人たち、そうすると、絶対に自分たちの水道管をSMとピュアゴールドとロビンソンズに伸ばさないといけない。もっと言うと、SMの中でも「このレーンのこの棚」とか、ピュアゴールドの中でも「この店舗のこのレーンのこの棚」というのが決まってくるわけですよね。もっと言うと、中間層なので、それ以外に80万店あるうちの最低でも20万店の伝統小売みたいな、そこにどういうふうに水道管を張り巡らせるんだという、このデザインがまさにチャネル構築の一番最初の一歩なんですよね。これがしっかりデザインが描かれないと、強固なチャネルなんていうのは絶対できなくて。これは一瞬にして、一夜にしてできるものではないので、基本的には時間をかけてチャネルをつくっていく、最終形に持っていくわけですよね。もちろんその最終形もチャネル構築をやっている過程でどんどん、どんどん、変わってくる。変わってくるんだけども、それをそのときどきに合わせてつくり込んでいかないといけない。そうしたときに、5年後にどういうふうなところまで配管を伸ばすんだと、ストアカバレッジを伸ばすんだという姿がしっかりあって、それに応じてデザインをしていって、そのデザインを毎年毎年クリアしていくわけですよね。そのクリアというのはつくり込んでいくわけですよね。5年後には最初に描いたデザインに到達していくという、そういうことなんですけど。
そもそもデザインがないのに行き当たりばったりでチャネルをつくっても、これはやっぱり強固なチャネルにはなっていかないので、基本的にはこのマーケットを獲るためには伝統小売、さっき言ったように主要小売のこの3社と、伝統小売20万店を獲らないといけないので、物理的にそこにしっかりとストアカバレッジを伸ばせる、配荷が伸ばせるチャネルにしないといけない。そのためのデザインと、もう1つは競争環境を考えないといけない。主要競合がここまでやって、このシェアを上げているから、自分たちもやっぱりここまで持っていかないといけない。じゃあ、それを何年でやりますかということを設定して、それを毎年毎年クリアさせていくということなわけですよね。
なので、そういうデザインをまず最初にやらないとなかなかこの強固なチャネルづくりというのは難しいですよと。デザインは非常に重要で、日本企業が最も欠けているところの1つと言ってもいいんじゃないかなと思います。
今日はデザインの話ですけども、次回はマネジメントと、また、さらにはコミュニケーションの話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。