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第473回 【本の解説】日本とは異なるASEANディストリビューターの機能

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですけども、この本の解説をしていきたいと思います。

今日もね、前回が4-5ですかね、4-5、177ページからのところの最後のほうで、この4-5の「日本と異なるアジア新興国のディストリビューター」ということで、ASEANのディストリビューターの特徴の話をしているんですけども、3回に分けて話をしていて、1回目が「販売店と代理店の違い」の説明をしていて、2回目が「ASEANのディストリビューターの特徴」の話で、今日3回目は機能の違いの話をしたいなと、日本とASEANのディストリビューターの機能の違い、非常に面白い特徴があるので、その話をしていきたいと思います。

では、早速スライドをお願いします。これがまさにディストリビューターの機能ということで書かせてもらっていますけど、1つが配送機能、デリバリー機能ですよね。もう1つがセールス機能、これは売る機能ですよね。あとはMD、マーチャンダイジングの機能とか、プロモーションの機能があって。もちろん輸入品の取扱いをするときには、彼らはディストリビューターだけども、同時にインポーターであったりするところもあるので、インポート・ライセンスを持っていたり持っていなかったりという、このだいたい5つぐらいの機能がフルフル、Maxとしてあるのかなと。あと、物流会社とかになってしまうのでね、ストッキストとかね、在庫、倉庫の機能とか、この裏に倉庫は当たり前に持っているので、それは敢えて書きませんけども、だいたいこういう5つの機能があって。

基本的には輸出でやるときには、もうインポートのライセンスを持っているかどうかというところは非常に重要で、持っているところとやるというのがやっぱり重要になってきますよね。輸入できないとなかなか売れないので、輸入業者は別に間をかますと言うと、またそれは二重にマージンを取られることにもなるので、まずインポート・ライセンスというのは輸出でやるときには重要になってくる。ただ、じゃあ、現産現販でやるということになってきたりとか、あと、輸入者は自分たちの現地法人ですみたいな話のときには、基本的にはディストリビューターの機能として、やっぱりデリバリーの機能とセールスの機能という、この2つの機能が重要になってくると。大手になってくれば、このプラスアルファ、MDの機能と、近代小売でのマーチャンダイジングですよね。あと、プロモーションって、これも近代小売でのBTLが中心になってくるので、基本的にはそんなところです。

ただ、私はいろんなディストリビューターを見てきましたけども、ASEANで大手で、プロモーションとか…。マーチャンダイジングはいいですよ。小売に入って欠品したものを倉庫から取ってきてまた並べるみたいな機能を持っているって、これはディストリビューターの業務の1つとしてやらせたらいいと思うんですけど、プロモーションはね、やっぱり彼ら、「日本で問屋にプロモーションをやらせますか」という質問がたぶん一番分かりやすいと思うんですけど、やらせないですよね、問屋にプロモーションをね。そうすると、やっぱり問屋ですから、ディストリビューターって、そこにプロモーションをやらせても、「1,000万円予算ください、年間」と言って1,000万円もらって、じゃあ、その1,000万円が効率よく1顧客獲得単価いくらなの?というところまで出てこないですよね。こういう広告を出しました、こういうプロモーションを打ちました、1,000万円きっちり使いました、これが領収書ですみたいな。何なら領収書なんて、ASEANはいくらでもつくれるし、そんなのもうご想像にたやすいと思うので、プロモーションはやっぱり自分たちでプロモーション会社を使ってやっていくというほうが僕は非常にいいと思います。

重要なのは、もうマーチャンダイジングを持っているということは前提としてね、セールスとデリバリーなんですよね。ただ、国によってはセールス機能を持っていないというところもあって、ベトナムなんかだと、ディストリビューターの仕事というのはデリバリーがディストリビューターの主たる仕事なんですよね。セールスはメーカーの仕事でしょうと。じゃあ、セールスするセールススタッフはいるんですよ、でも、ディストリビューターに。じゃあ、その採用って誰がやったの?と、採用は自分たちがやったのか、メーカーがやったのか、あれですけど、人件費はメーカーが払っていますみたいなね、ただ、うちで雇っていますみたいな。もしくはメーカーからセールスが派遣されてきていますみたいな話で。セールスというのは基本的にはメーカーの仕事、自分たちは運ぶだけ。それって佐川じゃん、ヤマトじゃん、みたいな話なんですけど、そうなんですよね、ベトナムなんかだと。小さいところ、マイクロディストリビューション、TTにね、伝統小売に展開するための小さいところなんて、もう完全にデリバリー機能しか持っていない。セールスを持っているところなんて、北のプータイ、南のメサと言われるような本当に大手のところぐらいで、小さいところは持っていないですよね。なので、徐々に持ち始めてきてはいるものの、でも、メーカーが出すという。だから、僕もとあるメーカーの仕事でバイクに乗ってね、営業マンを組織して、地方のTTに毎日回って伝統小売に商品を売り込んでいくみたいなプロジェクトを過去にも何個もやっていますけども、非常に本当に大変な市場なわけですよね。これって日本の感覚で言わせると、「セールスできないんだからディストリビューターじゃないじゃん、そもそも」みたいな話なので、言ったらインドとかで言うストッキストに近いですよね。でも、インドのストッキストってもっと規模が大きいのであれですけど。本当にデリバリーボーイから派生しているので、「おまえ、これを運んでこい」というところから始まっているんですよね。だから、ディストリビューターというのはデリバリー機能しかないというところが中心になるので、それは注意して見ていかないといけないよということでございます。

今日もこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。