第474回 【本の解説】オフィスと倉庫から見るディストリビューター
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。このシリーズもだいぶ長く続けていますけど、ようやく181ページ、4-6まで来ているので、5章で終わりなので…、6章まであるね、もう少しだと思いますので、ぜひ引き続きお付き合いください。それでは、「4-6 オフィスと倉庫から見るディストリビューター」ということで、この章は実際に編集者、編集者というか出版社に原稿をあげたときには写真があって、写真によって見てもらうのが一番いいので、基本的に大手のディストリビューターと中堅・小規模のディストリビューターというのが一体どういう、いわゆる外観をしていて、中はどうなっているかみたいな、社長はどういう人なんだみたいな、そういう写真をほんとは出していたんですけど。たぶん問題があるんでしょうね、写真を出すのはね。なので、この本書では写真は割愛されてしまっていますけども。大規模と小規模のディストリビューター、ASEANのですね、これはずっとこの前まで、ASEANのディストリビューターの機能の話とか特徴の話をしていて、オフィスとか倉庫を見て、どうやってこのディストリビューターがいいディストリビューターなのか否かを判断するみたいなところの、そういう章なんですけど。
国よってね、結論から言うと、国によって結構特徴が違っていて。でかいところって見たら分かるので、それなりに大きいじゃないですか、倉庫も大きいし、いわゆるオフィス棟みたいなところも大きいし、まあまあ外観通りなんですよね。ただ、特徴的なのは、やっぱりこの企業は一体MTに強いのか、本当にTTに強いのか、どうなんだみたいなところを見極めるときに、セールスのいるフロアに例えば欧米の先進的なグローバル企業、P&GだったらP&Gでもいいですけど、P&Gの社員の詰め所じゃないですけど、部屋があって、毎日とか週に何回か、そこに現地のP&Gの社員が詰めているんですよね。そこで一緒になって営業活動をしたり、トレーニングをしたりしているので、そういうのがあると、かなりTTへのいわゆる攻略のための活動を行っている。なぜならば、現地法人があったら、基本的には近代小売なんていうのはネスレもリーバもP&Gも直接やりますから、基本的にはディストリビューターを介在させないので、わざわざ近代小売をやるのにディストリビューターの事務所に詰めたりはしないわけですよね。そうすると、詰めているということは、メーカーのデスクがあるということは、TTを一緒になってやっているというのが1つですし。あと、セールスのフロアに行くと、壁一面に、だいぶ最近デジタル化になっていますけど、ある程度デジタルで管理はしているんですけど、それを貼り出してみんなの見えるところに出すという、営業成績表みたいなね、そういうものがガーンと出してあったりとかします。いわゆるストアカバレッジを何個獲っているかとか、どれだけ新規契約できたとか、そういう活動の内容みたいなものが貼り出されているというケースがあったりとか。あと、いろいろオフィスに目を光らせて見ていると、GPSの機械がしっかりあって、そういうものを持たせて出ていたりとか。あと、だいたいいつ行っても人がいないみたいなね、セールスマンがいないという。もう朝集合して、そのまま出ているのか、直行直帰なのか、基本的にはセールスがいない。セールスをちゃんとやっているディストリビューターはセールスに会うことはないです。なぜならば、われわれのアポってだいたい早くても9時とかね、だいたい10時とかじゃないですか、10時以降ですよね。遅くても5時ぐらいが一番遅くて、5時にアポをするというのもなかなかちょっといないと思うので、午前、午後一ぐらいが一番多いんだと思うんですけど。そういう時間帯に営業マンが社内にいるわけないので、基本的には会わないというのが特徴的ですかね。あと、倉庫を見ると何がやっぱり一番売れているのかというのが分かりますよね。どこのブランドの商品が一番あって、どれぐらい倉庫にスペースがあってとか、どれぐらい動いていそうかとか、日付とか段ボールに書いてあるので、この荷物はいつ来たんだとか、これだけまだここにあるんだとか、そういうことが分かるので、倉庫を見るとそんなことが非常によく分かると。
一方で、小さい小規模のいわゆるデリバリーだけやるような、ベトナムで言ったらデリバリーだけやるようなところだと、見た目的にも小さいんですけど、基本的には同じような商品ばかりを配達しているので、袋のインスタント麺だったらインスタント麺、ネスレのスリーワンコーヒーだったらそれみたいなものがいっぱい山積みになっていて。だいたいね、国にもよるんですけど、社長自ら配達しているみたいな感じなので、奥さんが副社長としていて、いわゆる事務まわりを切りもりしているという、そういうケースが多いですよね。本当に小さいところへ行くと、日中ノンアポで行くと、社長さんは短パン、Tシャツは暑いから上は脱いでいるみたいな、そういうスタイルで。倉庫なんかもエアコンかかってないですし、だから、基本的に冷蔵冷凍系は取り扱っていないですよね。そういうのが必要ないものしか取り扱っていないので、そういうものが非常に多いと。
これは見てもらうのがたぶん一番早いんですけど、そんなような写真をいっぱい書いていたというのがこの章ですかね。なので、倉庫とかね、ディストリビューターの事務所を見ていくと、特に僕が感じたのは、社風がすごいよく分かるんですよね。大手のディストリビューターなんかへ行くと社風がすごいよく分かる。小規模のところは社風もくそもないので、だいたい人数でどれぐらいデリバリーできるかというのは決まっているし、その1社にすべてを委ねるわけじゃなくて、そういう小さいところを複数使うわけなので、そんなにそこがどうであれ問題はないので、最低限クリアしているかということをチェックしに行くわけなんですけど。大手・中堅になると、やっぱりどういう価値観を大切にしている会社なんだろうとか、教育制度が充実していると、そういうセミナーをやるルームとかっていうのがしっかりあって、そこに結構メーカーが詰めていたりとかして、メーカーからもらったいろんなプロジェクターとか、メーカーの商品の早わかり表みたいなものが結構貼ってあったりするので、メーカーが相当力を入れているなとか、力を入れていないなとかっていうことが結構事務所に行っていろいろ案内、オリエンテーションしてもらうと、よく分かるし。さっき、日中はセールスはいないと言いましたけども、日中に日によっては教育プログラムみたいなものをメーカーが来てやっているというケースもあったり、もう授業みたいになっているんですよね。自分たちのスタッフの中で先輩とか上司が先生役をやって、商品教育とかセールス教育みたいなことをやっていたりするので、そういうことをやっているディストリビューターなので相当しっかりしているなという印象を受けますよね。
そんな感じで、ASEANのディストリビューターもここ20年で相当進化をしておりますので、日本メーカーだから扱いたいなんていうのはまったくもう古い時代の話になってしまいましたけども。ディストリビューターの選定は非常に重要になりますので、ぜひ今日お話したようなポイントを気をつけてみてください。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。