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第482回 【本の解説】近代小売(MT)との有利な交渉の進め方

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は207ページ、「4-13 近代小売(MT)との有利な交渉の進め方」ということでお話をしていきたいなというふうに思います。ASEAN市場に限らず、新興国市場の最大の特徴は、近代小売と伝統小売が存在する、2つの流通が存在するということで。伝統小売が大きいわけですよね。例えばASEANでもVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンだと8割ぐらいが伝統小売ですと。この伝統小売を獲るためには、まず近代小売でそれなりの目立った存在にならないといけないという意味から、近代小売というのはもう絶対的に重要ですよというのが1点です。近代小売をやらずに伝統小売をやるということはほぼ存在しないので、伝統小売をやるためには近代小売をやらないといけない、MTをやらないといけない、TTをやるためにはMTをやらないといけないというのが1点ありますよと。

さらに、このASEANの近代小売の特徴としては、近代小売に商品を導入する、配荷するということは、お金が掛かるんですよね。まず、リスティングフィーという商品を1SKU、1店舗あたりいくらと、数千円ぐらいのリスティングフィーというのが掛かってきて、また、どの棚に置くかによっても棚代が掛かってきて、四半期周期で参加を促される小売が主導でやっているようなチラシであったりキャンペーンへの参加。なので、近代小売の棚に置くということは、コストが掛かるわけですよね。なので、ある一定以上売れていかないと当然コストをカバーできなくなるので、基本的にお金を取りますよと。不動産業みたいな話なんですよね。店舗をつくって、棚をつくって、そこの棚を貸しますよと、棚代を取りますよと。なんだけども、売上に対しても流通マージンを取りますよ、ダブルで取りますよという、そういう構造になっているわけで。そうすると、やっぱり相当売れていかないといけないと。だから、伝統小売も、近代小売をやって、そこがショーウインドウであって、伝統小売で稼がなければいけないという、そういう構造があるんですけど。できればこの近代小売でもできる限りコストは低く抑えたいというのが、たぶん各社の願いだと思うんですよね。その中で、どうやって、じゃあ、近代小売の導入コストを抑えながら、リスクを最小限にして最大の効果を生むかと。最小の投資で最大の効果を生むかということについて今日はお話をするわけですけども。最もROIの高い、Return On Investmentの高い、ROIの高い近代小売の攻略方法について今日はお話するという、そういうお話でございます。

前置きが長くてすみません。スライドをお願いします。このスライドを見てもらって、まず重要なのが3つの選択をしていくということはすごく重要で。主要なMT、スーパー系、業態をまず選ぶということはすごく重要で。スーパーマーケット、自分たちの商品ってスーパーマーケットでよく売れるんだっけ、コンビニエンスストアで売れるんだっけ、ドラッグストアなんだっけ、どこなんだっけ、ということをまず選択していくということはすごく重要で。同時にやれば、それだけリスティングフィーも棚代も掛かっていくわけなので、まだ売れるかどうか分からないわけですよね。日本では、それはもう1億2,700万人の知名度もあれば、購入実績もあるし、みんな知っていると。皆さんの商品をみんな分かっているし、みんな買うと、置けば買うと。ある程度売れるということが分かっていても、ASEAN新興国市場では分からないという状態の中で、できる限り手広くやるのではなくて、小さく始めて勝ちパターンを掴んで、そして広げていくということが非常に重要ですと。

その中で、このスーパー系なのか、コンビニ系なのか、ドラッグ系なのかを選ぶということなんですけど、仮に、じゃあ、コンビニ系を選んだとしようと。このコンビニで、コンビニという業態を選んだら、次に選ぶべきは、じゃあ、コンビニも、ファミリーマートもあれば、セブンイレブン、ミニストップもあるし、サークルKもある、いろいろあるよねと。インドネシアに行けばアルファマートもあるし、インドマレットもある。どうしますかという中で、どの小売に最も適しているのかということで、小売ブランドを選ぶわけですよね。じゃあ、ファミリーマートもサークルKもローソンも数百店数千店が関の山なので、タイだったらタイで1万店以上ある、じゃあ、セブンイレブンで始めようみたいな、セブンイレブンから選んでいこうということで、A社、セブンイレブンを選んだりするわけですよね。

セブンイレブンを、じゃあ、選んだ中でも、どの店舗が最も適しているの?と。バンコクのこのエリアに集中して200店舗を選ぶとか、この、例えばタイのセブンイレブン1万店を一気にやるというのはなかなか現実的ではないので、200店、数百店舗を選んでいくわけですよね。そのセブンイレブンの数百店舗で確実に実績が出れば、他の店舗が「取り扱いたい」と向こうから言ってきてくれると。うがった目で見られて、「お願いします」というスタンスではなくて、「ぜひうちの店舗で取り扱いたい」という話になってきて。セブンイレブンでどうやら売れているらしいよということになると、ほかのコンビニが「ぜひうちでも売りたい」という話になってくるので、他のコンビニとの交渉力が非常に楽になるわけですよね。コンビニで売れていると、「なんかコンビニすごい売れているらしいよ」と、「スーパー用のパッケージにしてもらって、スーパーでも売ろうよ」という話になってくると、今度はスーパーでも交渉力が楽になる。

結局、小売との交渉力でリスティングフィーだったり棚代というのは下がってくるわけですよね。もちろん、例えばコカ・コーラとかP&Gとかネスレなんていうのは、日本企業ほど各種導入費を請求されていませんから、彼らの商品が小売に置いていないということは、小売にとって恥ずべきことなわけで、ないと困ると。そこまで強くなると、小売との交渉力が強いわけですけども。別に日本の消費財、なくて困る商品というのはなかなか多くはないわけなので、やっぱり小売との交渉力が非常に大変であると。1SKUあたりリスティングフィー、だいたい目安として数千円取られるんですよね。数千円、どうですかね、今の為替だと後半にいってしまうのかな、1店舗あたり。だから、結構数百万とか、1千万とか、そういう金額が最初に出ていくわけですよね。それは単にリスティングフィーだけなので。なので、やっぱり絞って、小さく始めて大きく生んでいくということが非常に重要ですよということでございます。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。