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第487回 【本の解説】中小企業には中小企業の『戦い方』がある その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

前回…。スライドをお願いしようかな。前回が、すみません、2枚目のスライドで、前回はこの突進パターンのお話をして、私の前置きが長かったので突進パターンのお話しかできなかったんですけど、今日は2つ目3つ目のお話をしていきたいと思います。

2つ目がこのスライドの通り、他人事パターンなんですけど。突進パターンというのは前回お話した通り、「俺は分かっているから、もう任せておけ」とガーッと突進するんだけども、実はそこにはいろんなリスクがあるんだけど、本人は分かっているつもりなんだけど、実際には簡易的なリスクが潜んでいるということも想定ができていないので、突進して失敗してしまうという。この突進力というのはある意味必要なんだけども、突進ばかりでは駄目ですよというのが1つですよね。

他人事パターンというのは、どちらかと言うと1番とはまったく正反対の性質で、自分たちは中小企業なので、誰かが支援してくれて当たり前、極端に言うとそういうマインドセットを持っているような会社社長をたくさん見てきました。なので、例えばね、行政機関がいろんな海外展開、中小企業の海外展開の支援をしているんですよ。海外で展示会をやったり、調査の費用を半分出したり、いろんなことをやっているんですけど、結局、自分たちは中小企業なので支援されて当たり前というマインドがどこかにあるので、なんかこう他人事なんですよね。いや、自分たちはこれができないからしょうがないとか、自分たちはこれがどうだからどうだとか、こんな人材いないとか、こんなお金ないとか、できない理由がバンバン、バンバン上がってくるんだけど、だったらやらなきゃいいじゃんという話になってしまうんだけども。基本的には「中小企業だから」ということで他人事のパターン。

われわれみたいな支援会社にもね、僕のところにも結構中小企業さんの社長さんが来られて、「いや、うちの商品すごくいいんです。海外で売れます。ぜひ売ってください」と来るんだけども、「でも、お金はないので払えません。売れたら成功報酬で払います」みたいな、そういうお話をされるんですけど、こっちも暇じゃないので、成功報酬ではやれないよというね、そんなことは言いませんけども、心の中ではそう思うわけですよね。それが唯一無二の商品だったら、もちろんぜひやらせてくださいという話なんですけど、多くの中堅中小企業がつくっている商品というのは、ほかの他の企業もつくっていたりとか、もっと言うと、中国でもっと安くつくっていたり。昔は品質の差が大きかったんだけども、今ではほぼ品質は変わらないみたいな。そんな中で誰かが成功報酬で、あなたのためにそれをやるなんていうことはあり得なくて。だったら、自分たちはファブレスでね、中国の工場につくらせて、自分たちのブランドで自分たちでリスク取るんだったら自分たちで利益の全てを取りますよという、そういう発想に、当然これは経済合理性を突き詰めるとなっていってしまうので。当人が取れないリスクを他人が取るなんていうことはまずあり得ないので、「あなたのビジネスですよね」と、何回も喉まで出たことがあったのでね、他人事のパターンの企業が結構いるというのが1つですよね。

あと、3つ目が性善説パターン。すみませんね、厳しいことを言うようでね。でも、本当にそういう企業をたくさん見てきていて、それが案の定やっぱり失敗をしてきているし、10年前20年前から海外展開と言って同じようなところを足踏みしているような企業もいるし。なので、ちょっときついことを言うようですけども、本当にそうなので、ここはあまりオブラートに包まずに申し上げたいなというふうに思いますけども。3つ目が性善説パターンですよね。これはロジックとかよりも出会いと感覚でパートナーを決めて、現地のことは全部相手に委ねると。これは中小企業の場合はパートナーはすごい重要なんですよ。なぜならば、中小企業、また後の章で話しますけど、項で話しますけど、僕は出ない戦略を推奨していて、現地に法人をつくるなんていうのはもっともっとあとで、なぜならば現地で法人をつくるとコストが掛かる。そのコストが利益を上回らないのでだいたいうまくいかないというケースなので、基本的には輸出でやりましょう、中小企業は。なので、絶対、現地にパートナーは要るんです。ただ、そのパートナーが本当に適切なのかどうなのかということを感覚で決めて、また、その決めた相手に売ることの全てを委ねてしまうという、これで成功するのは万に1つなんですよね。やっぱりある程度調査をすることで、本当に適切なパートナーなのかということをスキルセットとマインドセットでしっかりと科学的に見ることができると。確率論なんですよね、これって。パートナーとうまくいく、いかないというのは、最後、いわゆるスキルセットじゃなくて、マインドセット的なところの領域というのは、もちろん最終的には残るんだけども、それでもやっぱりスキルセットで合理的に絞り込んでいかないと、確率論というのは上がらなくて。確率論を上げるために、これは調査でパートナーを選んでいく話なので、やっぱり確率の高い相手とマインドセットをしっかり合わせたほうが成功する確率がさらに高くなるので、そういう意味では、性善説パターンでいくのはやめましょうと。性善説でいけるのってやっぱり日本だけで、なかなかうまくいかないですよと、性善説でいくと。よく海外で騙されたとかっていうのって、だいたいこの性善説で進んでいって、相手は別に騙しているつもりはなくて、なんだけど、結果として騙されたというふうに思ってしまう、日本企業側がね。なので、性善説でいかないということはすごく重要で。性善説でいくとね、逆に騙してくださいと言っているように捉えるお国もしくは企業もいるので、基本的にはそんなに相手を信用し過ぎないということがすごく重要で、ロジックを合わせていくということが大変重要ですよというお話でございます。

ということで、だいたいこの3つのパターンに過去失敗している中小企業というのは収まってきているので、自分が突進パターンじゃないか、他人事パターンになっていないか、性善説でいってないかということを中小企業は常に考えるということが大変重要になってきます。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。