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第49回 「現地適合化」と「世界標準化」

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アジア新興国で展開する際には、「現地適合化」が重要だと言われます。確かに重要な事ですが、世界中で満遍なく成功するには、その土台となる「世界標準化」を明確に定める事が必須となります。この2つのポイントをどのように組み立てるのか、解説いたします。

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皆さんこんにちは。スパイダーの森辺です。
今日は「現地適合化」と「世界標準化」についてお話しします。
多くの日本の消費財メーカーがアジア新興国で展開する際には現地適合化が大変大切だという風に言われます。このことは確かに事実である。しかし、この現地適合化というのは世界標準化という土台の上にのっかって初めてその効果を最大化できるのです。今日は「現地適合化」と「世界標準化」について一緒に学んでいきましょう。

まず、最初に申し上げたいのは、日本 ではあまりにも現地適合化の議論だけがされて、世界標準化の議論についてはなかなかされていない、そんな風に感じます。
まず 、現地適合化。現地適合化というのは、アジア新興国では確かに必要。ただ、基本的には効率は悪い。そして、ブランド力は浸透しにくい。ノウハウは溜まりにくい。オペレーションは管理しにくい。それぞれの国で、それぞれの現地適合化をしてしまえば、基本的 には各国でバラバラなことが行われ、そのノウハウやナレッジはヘッドクオーターやリージョナルヘッドクオーターに蓄積されず、成功 する国では成功するかもしれないが、失敗する国では失敗する。こういう効率 の悪さを生むのが、実は現地適合化。
一方 で、世界標準化というものはどういうものかというと、世界的に標準化されているので、効率がいい、ブランド力が浸透しやすい、そして、ノウハウも溜まり易く、オペレーションも管理し易い。各国で統一していると、こういうメリットがある。この現地 適合化も、世界標準化もアジア新興国市場を攻める上では両方必要なんです。どういう風に活用していくかというと、まず、本社 の世界標準化ルールという土台があった上で、変えていい部分、変えていけない部分が切り分けられて初めて現地 適合化が乗ると。そして変えて いい部分をいかに現地に適合させていくかということが大変重要なんです。先進 グローバル消費財メーカーの多くは、この世界標準が明確に決まっていて、土台としてしっかりと確立されており、その上に現地適合化が乗っている。なので、世界中で満遍なく成功している。一方で、日本の消費財メーカーはインドネシアでは成功したけども、フィリピン、ベトナム、タイではダメだとか。ベトナムでは成功したけども、ベトナム以外の国では全く難しいという企業は少なくありません。これは世界標準化がなく、たまたまベトナムでやった現地適合化が、10年いた駐在員のノウハウで上手く回ったんでベトナムでは成功したとか。インドネシアではたまたま組んだパートナーとの現地適合化が上手く行ったんで成功したとか。世界標準化されていない。それが本社 のナレッジやノウハウとして溜まっていない、というのが最大の要因です。
大切なのは、世界 標準化という土台を持った上で変えていい部分、変えていけない部分を明確に設定し、その 上で現地適合化をそれぞれの国で乗せていくという、この世界 標準化と現地適合化のミックスが重要なんです。
それではみなさん、また次回お会いいたしましょう。