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第494回 【本の解説】重要なディストリビューターの選定 その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日も237ページ、「5-6 重要なディストリビューターの選定」ということで、前回の続きのお話です。じゃあ、早速スライドをお願いします。5-6、最初のスライド。この図の通り、前回お話しましたよね。ちょっと前回の整理を含めてちょっとお話をしていくと、ディストリビューターの選定というのは非常に重要ですよと。このディストリビューターの選定、強固な販売チャネルをつくるということというのは、適切なディストリビューターをいかに発掘選定するかということと、そのディストリビューターといかに適切な契約交渉をするかと。そして、最後、その契約したディストリビューターをいかに適切に管理育成していくかという、この3つがあって初めて強固な販売チャネルというのは現実のものになると。

それで、今回の話というのはこの発掘選定と契約交渉の話で。前々回かな、ターゲティングの重要性みたいな話をしたと思うんですけど、「誰と」売るかよりも「誰に」売るかのほうが圧倒的に重要ですよと。その上でターゲットを明確にしてくださいねと。そのターゲットに売れる人が一緒にやるべき人なんですよ。つまり、ディストリビューターなんですよと。そのターゲットに売れるディストリビューターを発掘選定していかないといけない。そのときに、自分の手の届く範囲のディストリビューターだけを選んで、そこから決めていくという方法は駄目ですよと。陳社長のA社が一番良いと思っていたら、実は全然自分の手の届かないところに王社長が率いるB社というのがあったと、そっちのほうが全然いいじゃんということをあとで気付いても、なかなかそっちに乗り換えるというのは現実的じゃないですよと。そうなってくると、全部を網羅的に見て、その中で最も適切なところを選んでいくと。少々時間と労力はかかるけども、そのほうが確実ですよねと。確率論を上げられますねと。何事も確率論をどれだけ上げられるかなので、その上げるための労力に対して上がった確率論のほうが全然メリットが大きいので、そこで少々苦労しましょうよというのが、このまさに適切な発掘選定をしてくださいということで。

ディストリビューターを、もう各業界でディストリビューターの数なんていうのは1カ国数十社ですよ。主要どころは。そのロングリストから、自分たちの例えばね、タイの、B2Cで言うと、セブンとテスコに売りたいんだってなったら、セブンとテスコに売れるディストリビューターを選んでいくと。そこを具体的に詰めていく、どういうふうに売れますかと、なぜ売れますかと、今何を売っていますかと、それでどんどん、ミドルリストからショートリストということで絞り込んでいって、それを詰めていけば詰めていくほど、このまさに契約交渉のところなんですけど、どういうふうに今売っているから売れていて、じゃあ、自分たちの製品は、どういう組織と、どういう日々の活動で、どうやって売っていくんですかということを詰めていくと、ある程度、「ああ、なるほど。これで初年度いくらできるな」ということが具体的にイメージができるようになってくるんですよね。

これを、ただ、なんか良さそうだ、「売れる」と言っていると。それで契約しましたと、当たり障りのない契約をしましたということで、神頼みのように1年間待つって、こんな無駄なことはないので。契約締結したときに、その後1年間で売れる売上がしっかり締結のときにイメージできる状態にいかに持っていくかということがすごく重要なので、そのための契約交渉なんですよね。ここがしっかり握れなかったら、もう神頼みになってしまって、神頼みのビジネスほど無意味な時間と労力はないので、いかに契約交渉までにそこを詰められるかということが大変重要です。

中小企業の場合は、その詰め方もね、大企業ほど詰めなくてもいいんですよね。ただ、簡単に言うと、やっぱりディストリビューターの選定というのは網羅的にある程度、抜けが多少あってもいいと思いますよ。大企業の場合は抜けは許されませんけど、抜けが多少あってもいいから、このロング、ミドル、ショートのプロセスを、自分たちで当然できないので、われわれじゃなくてもいいですし、そういう支援会社を使って、しっかりと1回網羅的に見て、必ずしもでかいところが良いというわけではなくて、皆さんのターゲットとしているところに皆さんの商品が物理的に売れる、これはスキルセットですよね、物理的なスキル、そして、売りたいと思ってくれている、オーナー社長が、マインドセットですね、この2つがしっかり自分たちで感じられるところ、ディストリビューターのオーナー社長に絶対会わないと駄目です。会って感じられるところと、じゃあ、契約をしましょうよと。この契約をするときも、どういうマンスリーのスケジュールで導入していくのか、配荷していって、店舗獲得していくんですかと。1年間、初年度いくらやれますかと。例えば、結局そこで事実上、独占でやるわけですよね。ほかのディストリビューターを使わないわけですよね、輸出でやるのにね、自社内競合するし、狙うのは首都だし。そうすると、例えばタイのバンコクに限定して、独占をチラつかせたら良いと思うんですね。向こうは絶対「独占くれ」と言ってくるので、それに対して、「いいよ」と言って、何の条件も付けずに渡してしまうというのは、もう間違いなので。「じゃあ、初年度1億円買ってくださいね」とか、分からない、皆さんがどれぐらいの売上を望むのかですけども、中小企業の場合、取りあえずまずは数億円というところから始まるので、「じゃあ、まずは5,000万、7,000万、買ってくださいね」と、「コンテナ10本買ってくださいね」とかっていうことを条件として付けて、それで達成できるのであれば、独占契約を別に3年5年継続したらいいんですよね。なぜならば、どうせ独占でやるわけだし、コミットメントをもらえるほうがこちらとしても良いし、何よりもディストリビューターは独占にしてくれると、彼らは多少のリスクは取り始めるのでね。自分たちは独占的にこれを取り扱っていると、それが長期になればなるほど、自分たちは経営資源を投下していきますから、例えば人やチームやお金、多少のプロモーションコストも彼らは捻出するので、そういう意味では独占をしっかり、こっちから「独占あげる、あげる」なんて言う必要はないですけど、向こうが「独占欲しい」とチラつかせて、そういう話があったときに、「検討する」という名のもとで少し時間をかけながら、「じゃあ、これぐらいの数量を買ってくれるのであれば、独占を毎年更新していきますよ」というような条件を付けるとかね、そういうことをしっかりテクニカルなことをしっかりやるということはすごく重要で、そういった上で契約交渉していくと。

ここまでの話が契約まででできないところって、「契約したんだけどパッとした結果が出ないよね」とかね、「契約したんだけど全然売れないね」みたいな、ただ契約しただけみたいな話になってしまうので、そこはやっぱりしっかり詰めていくということが大変重要かなと思います。

じゃあ、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。